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【タローマン特大号】タヌキマンはエイハブ船長!?_土佐清水食_(3122文字)

Catch Surf ®ODYSEA Skipper Fish 6’0″

Taj Barrow’s Tri-fin

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波が出て3日目。

波は止まる気配すらなかった。

片岡鯖男さんならこう書かれるだろうか。

「波の細かな飛沫が空中に溶け、青い空と同化していた。
右手にブルードラゴンと名付けられた半島が見え、
萩岬から回り込んできたうねりが、
おたがいに少しずつずれては何段にも重なり合い、砕けている。
地鳴りのような音が、膨らんではしぼみ、そしてまた膨らむ。
その音は玉石を震わせ、水を伝わって両脚から体にらせん状にのぼって来る。
そして心臓をとり囲む。
水平線はぼうっとかすみ、
時折くすんだブルーと紺色を溶かしこんだような色で特大セットを伝えてくる。
そんな波の日だった」

この波では、

[難攻不落]という言葉の意味を知ったり、

さらには[絶望]とか、

[祈り]という単語が波の中からわさわさと、出てくる。

いい波はいい波だけど、挑戦的な無敵波である。

または妖獣とか魔獣、野獣系でありました。

大きな敬意をなみなみと払い、

自身が出せる最大の、

極みパフォーマンスによるテイクオフではないと、

この波に乗ることはできない。

もっと言うと、

ピーク周りに激烈なカレントが沖に出ていて、

近づこうものなら瞬時に100m漂流するほどの流れだった。

この神話のような猛烈な流れも含めて、

前出した妖獣波だと言っているわけであります。

さて、タローマン。

何かと評判が悪かったり、

または人気者だったりの、

マンガのキャラクターを実写版にしたようであり、

周りからの迫害にも悪口はもちろん、

悪態すらつかずに常に笑顔でいる。

けれど、よく言えばかなりマイペースである。

昨日も

「エイトサーティから9時の間にサーフするよ。

それからソーアンでランチだね。マグロのポキらしいよ」

そんな調子であったが、

タローマンは終日登場しなかった上に、

ソーアンの日替わりランチはその通りであったという奇妙。

”タローマンには浦ノ内タヌキが(取り)憑いている”

そんなことを、

ウナクネ安倍晴明が観じたのは土佐中村のことであった。

うねり3日目のことでありました。

Taroman on Catch Surf ®ODYSEA Skipper Fish 6’0″

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そのタヌキマン、じゃなかったタローマンは、

キャッチサーフのスキッパーフィッシュでやってきたと思ったら、

ガビューンと彗星のように波に乗った。

一本目の波であります。

そのアッパレ度と、

底抜けの笑顔にうれしくなって、

タローマン世代にとって、最大級の讃辞である

「シャア・アズナブルだね」だと伝えると、

「止めてよ〜。じゃあさ、金田正太郎って言ってくれる」

「なにそれ?」

「ナキくんなら知っているでしょう」

「誰だろう?金田正太郎、野球選手?」

「アルファ・ロメオのディスコ・ボランテとは?」

「え、鉄人28号!?」

「そう、それ。ナキ君世代でしょ?」

「鉄人は10歳も上の世代だよ」

「知ってますよ。でも海外でも人気があったんでしょ。テツジン」

「良く知っているね」

「英語ってなんだっけ?」

「Gigantor(ジャイガンター。非常に大きいという意)だっけ?」

「それだ、それだ!」

「本当にタローマンは昔のことに詳しいね」

「オーテピアで調べただけだよ」

「へー、あそこに鉄人28号があるんだね」

「オーテピアを利用すれば、駐車場1時間は無料だよ。

それとね、昭和32年版の『少年』という月刊誌を探しているからさ、

もし見かけたら連絡くださいヨロシク」

「はいはい」

そんなレトロ方面にすらマニアックなタローマン。

スキッパーフィッシュ6フィートで、

この波を軽々とテイクオフして、

インサイドボウルでバレルライダーとなり、

タヌキ界では、

初のCTチャンピオンを狙えるグライドを見せた。

キックアウトは、

彼のトレードマークである敬礼ポーズ。

「なぜ敬礼するの?」

そう聞いてみると、

「白鯨を探しているんだよ。僕はエイハブ船長なんだよ」

「エイハブ?(ハーマン)メルヴィル小説の?」

「そうだよ。エイハブが僕で、鯨取りのスターバックがマコちゃんさ」

「そんな”ごっこ”なんだね」

「バイザ メインマスト。スターバック リーニング アゲインスト イット」

「何それ」

「なんだ、ナキくんなら知っているのかと思っていたよ。38章の始まりの原文だよ」

「ふーん」

「そんなの知らねえよ!タローはいい加減なことばかり言いやがって」

土佐清水のマナブくんが笑顔でやってきた。

彼が現れると、

タローマンは霞みのように姿を消した。

白鯨が書かれてから168年。

スターバックは世界的なコーヒーチェーン

(実際にこの物語から命名されたという)となり、

捕鯨していたことはDNAから削除して、

反捕鯨を掲げる会社となった。

深い意味はないが、

これも諸行無常であるなと思ったのであります。

そのタローマンが言う

スターバック一等航海士のマコちゃん。

海上がりの本人が堤防にいたので、

「スターバック」

ふざけてそう呼んでみると、

「(そんなことを)タローマンから言われたことありませんし、

そんな世界も全く知りませんでした」

ということらしい。

ということは、

まさにタヌキに化かされた思いであるが、

気になって白鯨、

『モビィ・ディック』の原文を先ほど調べてみると、

本当に38章にその描写があった。

CHAPTER 38. Dusk.

By the Mainmast; Starbuck leaning against it.

頭の良いタヌキなのか、

取り憑かれているタローマンが、

元々持っていた基礎頭脳だったのかはわからないが、

すごい世界を見せつけられた思いであります。

ガシヤンこと岡ちゃんは、

タローマンとは何かの盟友で、

さらには彼のことを尊敬している。

しぶとく、

強いライディングラインが彼の特徴で、

力強く美しい波に乗っていた。

水深が激浅なのと、

波底から砂利由来の、

『ガシガシザリザリザリ』

そんな音が聞こえていたことだろう。

しんじょう君似のヤスくんの、

「グラブレイル・レイバック・タックイン』

というレトロとモダンのブリード(混血)ターン。

クラッシック&クール。

ナッキーのネクストレベル道場。

強烈な視界と教訓と歓喜。

香南市から吉田武史さんもやってきていて、

さすがの波乗りをしていた。

ミャアという名の猫。

名の由来は、実際に見たらわかります。

(常にミャアミャアと鳴いている)

【波乗りとその周辺】

少し前のことだが、土佐清水にいた。

それぞれの道の駅では、

絶品のシフォンケーキがあったり、

米粉ごはんパンも良かった。

浦ノ内のタローマンが言う

『割引率王』が須崎のマルナカであり、

この日は半額祭りになっていた。

「閉店のさ、15分前には90%引きになるよ」

私たちはまたダマされているのかもしれない。

大谷のエンゼルス球場の大看板。

文字通り看板選手です。

土佐市高岡のがしら亭と、

河合さんとタマちゃん。

時代は変わり、

時代は創られる。

土佐清水の老舗。

マンボウの天ぷらとか、

メヒカリのカラアゲ、

さらには、

サバのハランボ・ニンニク醤油焼きは、

マニア心をくすぐる単品メニューでありました。

クラシックな店内。

ランチビールを注文する人たちが50%くらい。

土佐清水はアメリカナイズされているようだ。

マナブくんが、

「大切なのはソーダブシです。味のビートはここで決まります」

そんな宗田節の正規販売店。

加久見のふれあい市は、

ポイくん御用達であり、

このような大きなブリの切り身が200円。

魚の値が50年も前のようであり、

もしかすると、

この値段もタローマンに化かされているのかと思った日。

Happy Surfing!!