Nation Dream Crusher 5’6″
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奄美大島では、
忘れられない波があった。
それは忘れもしない台風波だった。
娘と一緒にサーフトリップにやってきて、
うねりの大きさを一日読み違え、
ほぼクローズアウトというコンディションに私たちは佇んでいた。
南にもいかなかったおかげで誰もいない、
誰もやってこないエリアでサーフすることになった。
波が大きいとき、
誰もいないところでサーフするのは大冒険である。
あの波に遭遇してからずいぶんの時が経つが、
あれから乗ることはおろか、
見る機会はもなかった。
もっと書くと、
このときは台風だったので、
これがどこのリーフだったか定かではない。
あの沖か、
この沖辺りだろうかと、
いつもあいまいになってしまう。
またあのサイズにならないとわからないまま、
風化というか記憶が薄らいでいった。
いつ乗ったのだろうか。
調べてみると、
6年前だった。
(巻末リンクを参照ください)
こうなってくると、
もはや約束の波だとわかる。
今回は友ちゃん、
おやっさんに導かれたかのように、
約束の波があるこの地に戻って来ることができた。
ありがとう。
到着すると、
大気
地のパワー
食のエネルギー
島人のすばらしさ
朝陽
風
波
リズム
ビート
コーヒー
かなりのパワーを受けている。
空いた時間は細野さんの著書をむさぼり読みつつ、
空海関連の書を開いていくと、
それぞれが同一の視点だと気づいた。
で、
やはり細野さんは即身しているのだと気づいた。
(即身については、巻末リンク*2を参照ください)
世の中は深いようで、
ひとつの軸というか、
そんな四方八方がちょっぴりと見えた。
夜明け前に車を走らせたのは、
波予想からではなく、
天気が良さそうなので朝焼け狙いだった。
ただ波が良くなる予感はあった。
木曜日くらいから、
ざわざわだけの海面がまとまりはじめ、
波はラインダンスの様相を帯びてきた。
ラインダンスについての詳しくは、
高橋幸宏さんが表現されているので、
巻末リンク*3をご覧になってください。
到着すると、
こんなにも波があった。
パドルアウトすると、
セットごとにサイズとパワーを増しているのがわかる。
不思議なこともある。
けれど波があるのはまぎれもない事実だ。
水を飲みに上がった。
セッションが長くなりそうなので、
たっぷりと飲んでおきたかった。
そのときに波のことを調べてみると、
予想はもちろん、
実況ですら、
波が上がっている様子ではなかったが、
実際に波があるのだ。
やはりMSWも届かない辺境であるからの理由だろう。
Tyler Warren / Bonzer 6’3″
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もしかすると、
明日来るはずのうねりが早く到着したのだろうか。
聞きこみ調査をすると、
「気圧のすきまから強い風が吹き出していたのでしょうね」
ゆりむんのケンちゃんの想像が一番しっくりときた。
ちなみに彼は最後の波でチューブに入り、
うれしそうに上がっていった。
彼にとってもグッド・デイだ。
そう片岡鯖男さんのブンタイの真似をした。
サーフィン研究所奄美支局特派員として、
一番参考にしたのはこの情報だ。
これによると、
昨日のその時間は、
1mに満たないうねりで、
しかも5〜6秒間隔なので、
目の前の波の理由にしては不完全だと思った。
ちなみにこれを書いている現在は17日の未明。
今日は南西からのうねりが2m以上もあるのがわかる。
昨日の倍近い強さのオフショア。
どうやら今日も波がありそうだ。
満潮波にたっぷり乗って、
ふと見ると、
遠くのリーフでサーフしている人がいた。
ちょうどヒロくんが横にいたので、
そこを指さしてみると、
「あそこはいい波ですよ〜」
へー
「でもナキさんなら今より干潮がいいと思います。
干潮になると、ものすごい波になりますよ〜」
そんなことを教えてくれた。
で、
大雨に遭い、
また晴れたら強いオフショアになった。
やがて干潮になると、
あそこがこのようにベロリとブレイクしていた。
「行かねば」
そんなブンタイとキハクでそのリーフに対峙すると、
軽く這い蹲(はいつくば)されてしまった。
いつかのコスタリカと同じである。
(巻末リンク*4を参照ください)
そこで、
あの世界クラスのWBP波を思いだし、
シャッチョさんの世界一を思いだしつつ、
『マンダロリアン』
ディン・ジャリンとボバ・フェット
Photo by Lucusfilm ltd.
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フォースをまとい、
タキビ詩(巻末リンク*5)の効力をも祈りつつ、
空海密教の真言までも口にしていた。
ここの波底はトゲトゲの、
まるでアンキロサウルス (Ankylosaurus) の背中である。
「低く低く」(体勢を)
「もっと漕いで」
そんな具体を自分に言い聞かせた。
でないと、
この波は乗れないだろうし、
アンキロの背中に刺さったまま海中に連れ去られそうで怖い。
ノーズが落ちるまでパドリングしたら、
底に突き刺さらないようにレイルを合わせつつ、
波底にアンキロの影を見る。(笑)
次は、
ナナメ下に飛び込む気持ちでボードを落とした。
落とすだけでは飛ばされてしまうので、
Catch Surf® Skipper Fish Ⅵ 6’0″
Nakisurf Original Twin + Vektor VT
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片側のレイルを全て押しつけて、
失速させながら斜面に張りついた。
この位置からは、
これ以上加重せずに、
抜重というのかな、
少しずつ減圧していった。
減圧すると、
「クン」と速度が出るので、
サーフィンの愉楽はここにあるとわかる。
そして、
アンキロサウルスの恐怖は霧散していた。
「おしん」のように耐えて、
もっと耐えてからの開放だから、
爽快というか、
気持ちが軽くなって、
先ほど書いた愉楽へと直結したのだろう。
この波を滑って、
瞬時にあの時の「約束の波」はここだったとわかった。
「味覚と音楽の記憶は色あせない」
これは、
前出したメディスンマンである細野さんたちが教えてくれた言葉だ。
「波の記憶は色あせない」
5年前に乗った約束の波に再び乗ることができた。
人生も押し詰まってくると、
こんなことがただただうれしい。
おやっさん、ありがとうございました!
グリーンヒルTをサーフウォッシュして、
怪我してサーフできない緑くんにSMSで送ると
「奄美は最高よ〜」
そう返信されてきた。
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怒濤の巻末リンク5連発。
(文字総量は、本日分を合わせて2万6千字!
ですので、
全部読まずにいつかのときにでも読んでみてください)
【巻末リンク:約束の波】
【巻末リンク*2:即身とは?】
【巻末リンク*3:高橋幸宏さんとラインダンスについて】
【巻末リンク*4:昨日に似た波機会。これが11年前】
【巻末リンク*5:タキビ詩の効力とは?】
Happy Surfing and Happy Lifestyle!!
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