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【サーフィン研究所】土佐民話シリーズ2「ふしぎなお遍路さん」_オオモンハタ_(1198文字)

土佐民話

ふしぎなお遍路さん

土佐弁監修:ベンチュラ・セイジ

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とんと昔、

ある村の地主の立派な食堂へ、

ひとりのみすぼらしいなりをしたお遍路さんがやって来たそうな。

門口に立って、

御詠歌を歌い、

何がしかの寄進を乞うたと。

すると、

そこのタヌキ顔をした番頭は、

「このせわしいときに、

お前なんぞにとりあっていられん。

さあ、とっとと出て行き」

と言うて、

邪険に追い払ってしもうた。

この様子を、

板長(総料理長)が見ていて、

こっそりおにぎりを作ると、

いそいでお遍路さんのあとを追いかけ、

「お遍路さん、お腹が空いたでしょう。

これでも食べて」

と言うて、

お握りを渡したと。

するとお遍路さんは、

「これはほんのお礼です。受け取って下され」

と言うて、

荷車から古いサーフボードを取り出して、

板長にくれたと。

あくる朝、

板長は熊ヶ浜に行き、

お遍路さんからもらったサーフボードで波に乗った。

すると、

信じられないほど上手に波に乗ることができて、

熊ヶ浜小屋に集まったみんなから、

「忍者みたいやった」

「天才やね」

「昨日とずいぶん違いやな」

と言われた。

「どうして」

「何をしたら、そうなるん」

みんなが根ほり葉ほり聞くので、

昨日のお遍路さんの話をすると、

それが番頭の耳にも届いた。

三度の飯よりも波に乗るのが好きなタヌ番頭は、

「ほんなことなら、私も何ぞやるがじゃった」

と残念がり、

女中さんたちを呼びつけると、

「ええかね、

今度あのお遍路さんを見かけたら、

じきに知らせてよ」

と言いつけたと。

それからしばらくして、

そのお遍路さんはまた村へやって来た。

ちょうど板長が見つけて、

家へ招き入れたと。

「この間、私にサーフボードをくれた方が見えました」

と言うたら、

タヌ番頭はニコニコして、

「さあ、何でも欲しい物をあげるよ」

と言うて、

酒も何もかんも、

女子供のものまでも手あたり次第に物をやったと。

するとお遍路さんは、

お礼だと言って、

サーフボードをくれた。

喜んだタヌ番頭は、

すぐに熊ヶ浜に行き、

波に乗ろうとこぎ出すと、

サーフボードは泥でできちょって、

波に乗ろうとしたら溶けてなくなってしもうた。

そのままワイプアウトして、

波打ち際の岩の上に打ち上がってしもうたき、

岩の上で踊りゆうみたいに見えたと。

踊りゆうのを熊に見られて笑われてしまい、

タヌキ踊りと名付けられたそうな。

おわり

【第二部】

この日は魚がやたら跳ねていた。

陽が落ちる前に竿を振ると、

オオモンハタがかかった。

それはフィッシュ・フライとなって、

サルサソースとトルティーヤを使って、

フィッシュタコスとなった。

それにしてもこのオオモンハタ。

昨年はほとんど釣れなかったのに、

海とは不思議だと感じ入った。

【巻末リンク:土佐民話シリーズ】

【サーフィン研究所渾身土佐号】東南東2m11秒のうねり到来_室戸民話『ラカ法王がござった』_(1089文字)

【巻末リンク*2:ドラグラ登場人物奇譚】

【サーフィン研究所:ドラグラのはぐれ方】熊狸狐とラッコ法王_7代目スキッパーフィッシュ_(1576文字)

Happy Surfing and Happy Lifestyles!!