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【サーフィン研究所・新春特大号】合否勝敗の刹那サーフィンじろう編_(1999文字)

The One / 6’4″ x 19-5/8″ x 2-5/8″

Nakisurf Original Twin-Fins

at the Hamamura

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先日ここで紹介した無名リーフには、

35年前にはブレイク名があったと聞いた。

あそこは、

『ストリーマーズ』と呼ばれていたそうだ。

例によってここも無人。

けれど、

少し離れたピークでは。

数十人が真剣に波を取り合っているようで、

「ヘーイ!」という声が時折聞こえるほど賑わっていた。

これはジローが、

サーフィンのコンテストに出たときのものだ。

3年前だろうか。

たしか、

ジローはビギナーズ・クラスで出場したが、

あまりいい波に乗れなかったという。

ジローは、

それまで自身の目標を

「ぷろサーフィンのせんしゅ(選手)」

とかかげ、

毎日サーフィンする大人生活を夢見ていた。

だが、

この敗退によって、

将来のキボーは、

「eスポーツのチャンピオンかユーチューバー」

となってしまい、

サーフボードを持つことを、

ゲーム・コントローラーやブラウザの操作に変えてしまった。

これはある意味ジローの転機であったと思う。

ただただ、

悔やまれるのが、

もしこの時にコンテストに出場しなければ、

ジローはいまも

「サーフィンで生きていく」

という幸せに満ちた希望を抱いていたかもしれない。

本番で上手にできないのはよくあることで、

しかも波相手だと、

ご存じのように運も作用する。

「サーフィンの選手」

というのはそういうものだが、

選手でなくとも、

サーフィンを毎日できる生活を目指せるはずだ。

つまり、

勝敗など関係なく職を得ることはサーフィン界でも可能だ。

いまこの相当の量の活字を読んでいる諸姉諸兄ならおわかりの通り、

ジローくんの作文能力を活かして、

片岡義男さんもなしえなかった

「サーフィンをする小説家」というのがある。

または、

サーフィンの写真を撮る写真家としても、

食べものが好きならば、

サーフ系のフード専門店でもいいかもしれない。

とにかく、

この競争=勝負ということによって、

子供が人生の勝負だと感じなくとも良いのでは?

そう思ってここに書いてみた。

長くなったついでだが、

話をちょっぴりそらしてみる。

先日、

南に住む友人に会った。

週末にサーフィン級認定があったらしく、

3級になれたことを彼はとてもうれしく思っていた。

のみならず、

意見を求められたので本音を言ってみた。

「全くのムダな3級です」ワタクシ
「えっ?」
「その受験料と認定料を寄付したと思えば、
ムダではないでしょうね」

「級なんか関係ないと…」
「はい、これが技能として履歴書に書いたり、
褒章等がもらえるのなら肯定できるのでしょうが、
それでも人生で全く意味がないものの一つでしょうね」

話はそこから墜落気味に盛り上がらなくなったが、

前述したジローのこともあって、

こんな勝敗とか合否をサーフィンに持ち込まないでほしいと、

あらためて切に願った。

そんなことを考えながら波乗りに行くと、

ほとんど波らしい波は来なかったが、

長い時間を待っていると、

ついに、

それはすばらしいAフレームの膝波が来た。

で、

長く乗れるはずのレフトに行こうとすると、

保母さん帽の人がレフト側で同じ波に乗ろうとしていたので、

私はライトに振って乗っていった。

ファーストセクションが過ぎ、

カットバックしようとして振り返った。

先ほどの保母さん帽の人は、

ヨタヨタと、

なんとかテイクオフすると、

突然こちら側に曲がってきた。

初級者なので、

偶発的にレイルをセットしたように見えた。

ただ、

波の芯が彼女側にあったので、

私はその進行方向への状況を見ていた。

立ち上がってやがて安定した彼女は、

こちら側に滑ってきつつ、

なんと私を押しだそうとする。

あれあれ。

仕方がないので平穏にキックアウトすると、

その1秒後、

彼女は私側に強制プルアウトした。

「やれやれ」

瀧朗の気持ちになっていると、

今度は、

「ルールは守ってくださいね!」

こちらを睨(にら)んでそんなことを言う。

ふーむ。

さきほどの勝敗合否の行方はこんなところにもあり、

もしその変なルールがなければ、

みんなが楽しく波に乗っていけるのにやっぱり変だ。

ジローは5年生となって、

人生は、

「かんたんでした」ではないと悟りはじめてしまった。

そんな喪失感を受けるのは、

せいぜい中学生とか高校生のときでいいのに、

タローという中学生の兄がいるからか早熟だ。

まとめると、

きっと教育が、

子どもたちに合否を求めることによって、

かんたんではないと悟ってしまうようだ。

けれど、

人生を決めるにはまだ早すぎる。

十人十色(じゅうにんといろ)

そんなことをジローから、

そしてサーフィンを取り巻く世界から知った令和5年。

あけましておめでとう。

【巻末リンク:深淵の入口】

なぜいまシングルフィンなのか_なぜオルタナティヴサーフ(ウナクネ)なのか_明日のジ・マンライのために_(2520文字)

【巻末リンク*2:ちょっと深い】

【サーフィン研究所&ドラグラ・プロダクションズ】バレル・ライド研究[ウエッジ編]_ホーオーパンナとラカ法王のマーチ_(2385文字)

Happy Surfing and Happy Lifestyles!!