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【サーフィン研究所】寒気がやってくる_丸木という火星人のことについて_(1729文字)

Cosmos Surfboards

The One / 6’4″ x 19-5/8″ x 2-5/8″

Nakisurf Original Twin-Fins

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令和5年1月の大寒日。

いまが冬のピークだという。

あとは越えるだけで春がやってくる。

あと60日で春分の日だ。

春よ来い。

海野十三(うんの じゅうざ)の

『火星兵団』を読了した。

これは少年時代に読んだ記憶がある。

調べてみると、

昭和14年(1939年)より、

460回続いた*新聞連載をまとめたものだ。

とすると、

私の祖父が読んでいたかもしれない、

いまから80年以上前の大SF物語だ。

*『少国民新聞』→『大阪毎日新聞』、『東京日日新聞』

「海野十三は未来を予見していた」

私は、

海野十三に完全に感嘆してしまった。

昭和14年。

そのころ日本は、

政府が『米穀配給統制令法公布』し、

金製品を国民から強制回収していた時代だ。

海野さんの他の文献を探してみると、

『五十年後の世界』というエッセイを見つけた。

これは翌年に書かれる

『三十年後の東京(1947)』

のきっかけとなったもので、

全集に入っていないともあった。

その内容はこうだ。

——1996年ごろには——

どの家にもテレビ電話があつて、

電話をかけると相手の顏も見ゑるのです。

父は會社まで出勤しなくても、

テレビ電話を使つて會社の人と話をし、

家で仕事をやります。

會議室は、

重役を取り卷ゐてたくさんのテレビ電話があるだけです。

まさに現在そのものである。

東京日日新聞社

昭和16年(1941)再版本

.

さて主題の作品のことを少し。

『火星兵団』

(戦時中は火星魔と改題)

千葉の湖に不時着した火星人は、

友永千二(ともなが せんじ)少年と出会い、

黒マントと、

黒い中折帽をかぶり、

大人のふりをしてまるき(丸木)と名乗った。

この火星人が地球で欲したのはボロンという薬で、

その後ふたりは、

もはや光速に近い速度であっという間に千葉から東京銀座まで出ていった。

その精製されたボロンを3瓶ほど手に入れようとすると….。

(1瓶二円三十銭)

長い物語はそうやって始まる。

このボロンというのは、

『ホウ素』だとあった。

調べてみると、

「ホウ素は宇宙線による核破砕、

超新星爆発時に起こるニュートリノ反応、

このふたつの核合成経路によって生成したもの」

そんなことが書いてあり、

これはまるで宇宙からの符号だと感得した。

気になって、

海野さんのことを調べ始めた。

これは、

仲良しだった江戸川乱歩による海野十三への碑文。

「神と悪魔の面を兼ね備えている科学にわれわれはとりつかれている」

海野さんは、

外(宇宙)世界の息づかいを感じさせる世界を描いていた。

「大宇宙からの黒船は、

いつ地球へ、

とつぜん姿をあらわすかもしれません」

海野さんの言葉がいまも心に残っている。

海野さんはもしかすると丸木、

つまり宇宙人だったのだろうか。

ご本人によるこんな述懐も見つけた。

「見聞したあちらの事情を、

科學の目を通じて思ひ出すままに」

とすると、

宇宙からの帰国子女ということかもしれない。

この強烈に作用するノスタルジー味のファンタジーに誘われて、

ウルトラセブンは、

光の国(M78星雲)からやって来た

恒点観測員340号だったことを思い出した。

このあたりのプロップも信憑(しんぴょう)性がある。

そのまま円谷プロへネットサーフし、

第17話『ウルトラ警備隊西へ(前編)』を見る興奮に包まれた。

これは、

55年前に神戸で撮影されたエピソードだ。

富士山麓から全国各地に

『シークレット・ハイウェイ』がつながっていて、

そのルート9は六甲山中へ出ていたことを知った瞬間、

意識が現在に戻ってきた。

冷静に考えると、

これらの未来はもはや過去のものだったのだ。

そとは小雨が降っていて、

これから南風が吹いて一度暖かくなるというが、

その後は冒頭にも書いたようにこの冬一番の寒気が到来するという。

ならば、

海野さんの著書でも読みあさろうか。

読書の厳寒期。

【巻末リンク:モロボシダンの言葉】

Blue誌_NAKISURFアパレル発売です_タキビシが導いたウルトラセブンと蛸さんの勝浦リーフ_(2088文字)

【巻末リンク*2:美しいもの】

【サーフィン研究所】心を打つ日_(1269文字)

Happy Surfing and  Happy Lifestyles!!