タキビシンは、
ギンサバ文体である旧字仮名でこう言いました。
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ジロバンニはトマトの皿をとつてしばらくむしやむしやたべました。
「オン父さま。
ゴシンコーはきつと間もなく歸つてくると思ふよ。」
「ああさう思ふ。
けれどもおまへはどうしてさう思ふの。」
「だつて今朝の新聞に南タマサキのうねりは大へんよかつたと書いてあつたよ。」
「あつたけどねえ、
南タマサキは風が惡いかもしれない。」
「きつと出てゐるよ。
ちやうど大汐の干きになるよ。」
「この次はおまへにゴシンコー浪をもつてくるといつたねえ。」
(現代語意訳)
ジローはタキビシンからもらったトマトを食べました。
「父ちゃん、
シンコ・デ・マヨがもうすぐ上がると思うよ」
「オレもそう思うけど、
ジローはどうしてそう思うんだい?」
「今朝のナウファスが、
2m9秒の東うねりの計測なんだ」
「そうだけど、風が悪いかもね」
「風よりもちょうど大潮干潮だよ」
「(そういえば)今度ジローにいい波が来ると、
タキビ神の預言にあったね」
まさにギンサバの文体でこんなような夢を見た。
ギンサバというのは、
毎週日曜日正午からここで連載されている
『銀鯖道の夜』のことだ。
誰も読んでいないと思っていたが、
なぜか人気があり、
旧字仮名遣いの文章が、
不思議な気持ちを織りなすことが気に入って、
何度も読み返している。
昨日掲載された「三十」は、
138年も前の物語なのに、
スマートフォンが示唆(しさ)されていて、
ついに気がおけなくなったきた。
週末となると、
ジローの言うように東うねりが2mもあり、
しかも9秒台だったので、
潮位が合うサーフスポットでは、
波高3mはあっただろう。
夜明けごろに行きたかったが、
くだんの大潮満潮なので、
潮が動いてから行ってみると、
そこまで上がっておらず、
多くのサーファーが沖で波を待っていた。
上画像は、
マグヤンのジョウブツ前のヒトコマ。
おいしいもの研究所
@sky_and_sea_muroto
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この場合カタカナは、
「ヒトコマ」以外は全てドラグラ用語だ。
仲間は全員ドラグラ用語を使いこなしているが、
マグヤンだけは世間一般の固有名詞を出してくる。
例えば、
ブバラカではなく部原とかそんなことだ。
ちなみにジョウブツはフィンが砂に付くまで乗ること。
これは昨今テクニックにおぼれ、
ワンターンをするだけで瞬満足し、
ビョーンと故意ワイプアウトをするサーファー諸姉諸兄への、
痛烈な真のアンチテーゼ(反命題)なのかもしれない。
波を最後まで乗るというのは、
全体主義者たちへの逆説的かつ基本メッセージであり、
真のサーフィンを体現するのがジョウブツだと熱く語っている。
(沖のピークに人があふれているのも、
このジョウブツがないからで、
その理由は波の滑走距離を考えるだけで一目瞭然だ)
ということで、
タマサキの土曜日、
混雑のまっただなかにいた私(たち)は、
ジロバンニとオン父さまの会話を思い出し、
ゴシンコー・デ・マヨというキーワードが浮かび上がったのだ。
(ゴシンコー・デ・マヨについては巻末リンク*4を参照ください)
タマサキより20分南下すれば、
そこは南タマサキだ。
タマサキがなぜここまで広い範囲なのかというと、
古事記(712年)由来で命名されているからに他ならない。
それによると房総半島の、
このあたりに神さま(海神・豊玉姫命)が上陸したとあるからだ。
ゴシンコーデマヨ(以下ゴシンコー)に行ってみると、
すでにタキビ神だけが波待ちしていた。
Takibi God on 9’2”
@supertakibishiyasu
.
ボヨボヨだけど、
ウェッジィでピーキーかつ、
トリッキーな波質だ。
ちなみにこのカタカナはドラグラ用語ではなく、
れっきとしたサーフ用語だ。
「レホト(レフト)が掘れますが、
わりとすんなりしていて、
ライトは見た目がおとなしいですが、
じつは*オオトラです」
*オオトラとは、
ジローが7歳のときの用語だ。
ジローは、
トラウマを虎と馬に分解して、
トラが強くてウマが弱いと、
トラウマは、
相反するふたつの名詞だと理解したのだ。
(巻末リンク*2を参照ください)
よって、
オオトラとは、
この場合『大きなトラウマ』という意味となる。
Cosmos Surfboards TheOne6’4”
Original Twin + Twinzer
Shape, Design and glass by @hiroyuki_maeda
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私は、
迷わずにそのオオトラにテイクオフすると、
銀鯖道の灯りが明滅したような気持ちとなった。
まるでバンザイ・パイプライン気分であるが、
オートマチックでバンザイをさせられた心持ちだった。
ちょうど静波でスタブ・ハイをやっていて、
もしここで開催したら10mのエアが見られたかもしれないと、
サーフ後に現地にいたタキローに連絡してみた。
Nathan Fletcher 2024 June
Photo by Takiro
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すると、
タキローはネイト(ネイザン・フレッチャー)と一緒にいて、
その画像が送られてきた。
オオトラは、
冒頭に書いた明治時代の波のようであり、
そしてまたギンサバ世界に戻ると、
“本当の幸せ”とは何だろう?
そう悩むジロバンニとシギパネルラに自身を重ねていた。
ゴシンコーはショアブレイクなので、
あっという間にジョウブツできる。
ピークにいるタキビ神に、
**アレシボ・メッセージを送ると、
「オンオンオン〜」と聞こえてきて、
私は天文学者カール・セーガンの気持ちになるのだった。
(**アレシボ・メッセージについては巻末リンク*3を参照ください)
10時半に来店予約があり、
ナキサーフに戻った。
ややあってポパイ・ケイスケとニノちゃん夫妻が、
毎週末恒例となったマンダラコーヒーを求めに来てくれた。
NAKISURFタオルも、
カムウイズミーT、
そしてデカダンスTのPure Loveにありがとう!
NAKISURFでは、
エンスーラボでスクリーンプリントしたジミTを何枚か展示販売している。
このブランクスが気に入っていて、
GOAT社で*エシカルTを発見した。
(*1980年代USA風アパレルを製作するマニア系メーカー)
詳しくはまた書きますが、
かなりのできの良さに感動している。
6980円
先週ウェットスーツの達人たちと知り合った。
ちょうど夏至だったので、
紹介くださったトリスさんやナオくんには感謝しないとならない。
達人たちは、
それぞれウェットスーツ製作歴20年以上あり、
シンプルライフを求め、
仕事を簡素化させるべく、
ウェットスーツの修理専門業を始められたという。
なるほどそれらには一流以上の風合いがあり、
聞いてみると、
みなさんもご存じのウエットスーツの工房で、
20数年間を鍛錬してきた熟練者たちだとわかった。
NAKISURFとして、
マスターのおひとりとお話すると、
なんと直接取引をしてくださるというので、
プレミアム・ウエットスーツの修理を開始します。
これは中間業者やメーカーが入らないので、
適正価格というか、
安価で上質修理という相反事項を実現しました。
たとえば、
冬のスーツのオーバーホールがなんと7800円というお値打ち価格。
お見積もりいたします。
お持ちになられるか、
画像を送ってください。
修理後は、
プロによる冬までのウエットスーツ保管方法も伝授いたします!
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【巻末リンク:タキビシンとジローとフィッシュゴッド編】
【サーフィン研究所:動画あり】宇宙へ向けたアレシボ・メッセージを放つ仲間たち_サーフィン名勝負動画!!_(1656文字)
【巻末リンク*2:トラウマ発表論文】
【巻末リンク*3:アレシボ・メッセージについて9000字ほど】
【特大号:NALU誌特集記事】エントロピー:ーENTROPYーアムステルダム・コミュニティというメッセージ_(9172文字)
【巻末リンク*4:ゴシンコーの裏側】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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