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naki's blog

夜明けソフトサンドリーフ_小さい俺。大きな海_サーファーズチャンコ【鍋道序章】_(3397文字、短編です)

2010_NH_V5644

おはようございます。

新月ですよ?。

11月最初の土曜日をいかがお過ごしですか?

後八回土曜日が来たらもうお正月なんですよ。

カレンダーを眺めていたら気づきました。

知っていましたか?

ついこの間までは

「暑い暑い」

と言っていたのに、

すぐ目の前に冬がやってきています。

最近の日進速度が信じられません。

加齢するということはこういうことなのだろうか。

P1060335

ノースハワイはいまだに北うねりが続いている。

日曜日から届いているので、

すでに5日目となる。

この14号は奄美大島に記録的な豪雨をもたらせたもので、

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/16679

あの日から16日経っても、

台風からの波動を太平洋の真ん中で受け取っていることに驚きを感じた。

海はすごい。

そうだ、

とすると、俺は飛行機でうねりを追い越したようだ。

波情報を見ると、

Surf down from its peak.

波はピークを越えたようだ。

Still solid waves still rolling in.

だが、相変わらず強い波が入ってきている。

Most spots are still seeing surf easily in the 15′ face value range.

多くの場所で軽く4.6m程度の波を見るだろう。

Buoy 1 is reading 9.2 feet @ 12.1 seconds

ブイ1は、2.8m@12.1秒の計測。

.

波は終熄に向かっているようで、

名残り惜しいのと、

うねりが北向きに廻ったので、

明日ホノルルに発つ聖(きよし)さんに

「波、たぶんめちゃくちゃいいよ。

ダブルくらいできっとアッパートレッスルズみたいかも」

とそそのかし、

夜明け1時間半前に待ち合わせし、

メネフネマートでイナリ寿司を買いつつ、

ソフトサンドリーフに向かった。

聖さんが借りているJEEPのコマンダーは四駆なのに、

入り口付近で砂地にはまってしまい、

タイヤの空気圧を抜いて脱出したが、

もう少し坂を下っていたら、

今日中に帰ってくることはむずかしかったので、

途中で確認してよかったと胸をなで下ろした。

聖さんは、

「この四駆は、やっぱり”なんちゃって”なんですね」

と言い放ったが、きっとそうで、

レンタカーは気をつけなくてはいけないと覚えておくことにした。

201011_Softsand reef_V5707

ソフトサンドリーフに夜明けが訪れた。

闇から蒼、

蒼から暖色となって見えてきた波を見ていたら、

それはいい波で、

「YES YES!!やったぁ?!!」

と二人で喜んでいた。

そんな喜びもつかの間、

次の瞬間にすごいセットが入り、

それはクローズアウト爆弾となり、

ブレイク全域をさらっていった。

201011_Softsand reef_V5745

右から入ってくるうねりは流れがすごそうで、

岩場のボイルがあっというまに左に流れていく。

軽くトリプルオーバーヘッドはあるだろう。

「今日の波情報は正確だ」

と悔しく思いながら放心している聖さんを見ると、

「いったい、どのくらいのサイズがあるんでしょうね、あれ」

と言うので、

「6フィートくらいかな?」

と答えると、

「とすると、フェイス(計測)で15フィートくらいでしょうか?」

と彼の表情が硬くなった。

「どこまでも誰もいませんね、

見に来る人もいないのでしょうか?」

「こんな日はみんな三日月湾方面に行っているんだよ。

あっちには30カ所くらいのブレイクがあるし、

めったなことでは外さないからね。

ここに来るのはギャンブルみたいなもので、

良くないと、2時間かけて北まで戻らなくてはならない場所なんだよ」

「そうなんですね、

もちろんノーライフガードですよね」

「そうだね、携帯も圏外なんだよ」

という会話をしながら朝焼け波の写真を撮っていると、

「あの波に乗ってみたい」

という気持ちが芽生えてきた。

無論、やらないという理由はいくらでもあったのだが、

最近はすばらしい人とお付き合いさせていただいているので、

自分をさらに高めなくてはならないような気がしたのと、

なぜか上手く乗れるような直感があった。

また、あのオバケセットを喰らう心の準備も出来てきたので

「何本か乗ってくるね」

と聖さんにカメラを渡すと、

「あのー、

船木さんに何かあったらぼくはどうすればいいのでしょうか?」

と聞かれ、

「大丈夫だよ、ちゃんと帰ってくるから」

とだけ答え、

BWG5’5″ +ツインスタビ・セッティングにワックスアップする。

201011_Softsand reef_V5755

まだ夜が明けきっていないから、

視界も開けておらず、

茫洋とした海原の沖が波で動いていた。

2010_Softsand reef_V5781

この位置からセットを見るのだが、

ピークまで300m位の距離があるので、

タイミングがわからないから、

「まあいいや」と、

大セットが沖でブレイクし始めたときにパドルアウトした。

パドリングを始め、

インサイド泡にダックダイブすると、

海にさらわれたようにいつまでも左後方に沈められてしまった。

ものすごいパワーだ。

ようやく浮かび上がってきても

このか弱いパドルでは全く進んでいないようだった。

何十本もの波をくぐり、

ようやく水平線が見え、

そこから全力で沖に向かって漕ぐのだが、

全身が泡立つようで、

あまり力が入らなかった。

“こわばる”

という言葉があるが、まさにそれで、

自分ではこの波に対峙して、

平気なふりをしていたのだが、

体が自制していたのだろう、きっと。

その遅きパドルのまま、

だましだまし沖に進み、

深いところまでやってきてから位置確認のために岸に目をやると、

「ここはどこだ?」

というほど流されていた。

2010_Softsand reef_V5716

上流側に視界を移していくと、

およそ500m先に聖さんがカメラをかまえているだろう崖が見えた。

ここからがマラソンパドルで、

30分以上もパドルしてようやく狙った位置に戻ることができた。

体の泡立ちはずいぶんと消えていたが、

両肩がきしみ、そして重かった。

.

セットが入った。

位置的に少し後ろだったが、

逃げるのも嫌なので、

そのままテイクオフしていった。

レイトだが、

BWGデザインが俺を壁に張りつかせてくれた。

201011_Softsand reef_V5832

この壁を滑降して、

インサイドセクションに入る。

バレルになるのと、

そうでないのがあるようで、

これはリッパブルだが、

波にボードをぶち当てようとは思わないほど、

俺のスピードが付きすぎていた。

201011_Softsand reef_V5833

でも、写真で見ると、

とってもいい波だなあ。

実際には、

モノスゴイ勢いで動く海の壁でしたよ。

.

この後また45分間のパドルがあって、

肉体的、精神的にも試練セッションとなり、

うねりでたわむ水平線を見て、

俺はさまざまなことを考えていた。

2010_Softsand reef_V5844

波乗りという遊びを真剣に続けてきて、

27年が過ぎ、

「物事を極めるのは10000日かかる」

と、ある導師から教わったが、

このまま進められるともうすぐその日となる。

「荒れた日もボード片手にひとりで沖に出ていき、

すばらしい波乗り体験をする自分」

というのは20代の頃には想像すらできなかったけど、

じんわりと進み、

目標のボトムラインである

“安全に楽しく、愉快に”

という目的は果たせていると思う。

そして波乗りは、

いや海は自分を磨いてくれるのだと感じながら、

陸に戻ってくることができた。

新しい俺になった気がする。

これだけの海を動かしてしまう波。

その波に乗ることができる自分。

その強大なエネルギーを受け、

俺はこれから何を発していけばいいかをまた少し知った、

魂を目覚めさせたセッションを終えた。

201011_Softsand reef_V5878

小さい俺。

大きな海。

そんなことがわかった今回の台風14号波。

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/17006

16日目か….。

永いような短いような。

帰り道にはご覧のような虹が現れ、

聖さんの記念にもなりました。

2010_Kiyoshi san_V5902

ありがとうございました。

街に戻ってきました。

2010_NH_V5919

めでたしめでたし。

閑話。

俺は自称?道八段だが、

最近鍋道の門を叩いて日夜勉強をしている。

奄美在住だった元関取のいでっちにも

“塩ちゃんこ”鶏ダシの取り方を教わったので、

これから修行を加速させていきます。

P1060265

目指すは究極のサーファーチャンコ。

でも鍋って、

野菜もたっぷり食べられますし、

究極なる料理のような気がします。

ああ、日本人でよかった。

今日もnaki’s blogにお越しくださってありがとうございます。

波乗りは、

大きさよりも質や楽しさですね。

今日はすごくて、

そしてかなりいい波だったけど、

明日はどうなるのかなあ。

ではまた明日!

Sweet day to you!!