HIGH SURF ADVISORY FOR NORTH AND WEST FACING SHORES THROUGH SUNDAY
ハワイ州に大波注意報が発令されました。
Surf along north facing shores will be 18 to 22 feet this afternoon.
ブイは16.1ft 14sec.と計測している。
サンセットではオニールワールドカップが開催されていて、こんなにいい波。
↓www.surfline.comから3枚
サンセットは10?12フィートですね。
これをたった4人で、とはものすごく豪華です。
と、昨日に引き続いての大波だが、三日月湾へは行かず、かといって限界を超えたソフトサンドリーフは見る気も起きず、この冬いまだブレイクしていないイナリーズへの期待があった。
別動したフレディが「メジャーリーグベイが今年一番だな、砂がようやく動いたようだ」と留守番メッセージに残してくれた。
ーー大波日は飛行機に乗る前のような無常観への境地まで一瞬で凝縮して悟らせてくれる。
水平線の彼方に海が動く。
セットだ!
チャンネルに、沖に向かって一心に漕ぐ。
やがて波が近づいてくると、それは決して逃れられない切り立ちを、静かなおそろしい牙を見せる。
その波は目の前で崩れ、こちらにやってくる。
ボードを離し、息を思いきり吸う。
心を閉じる、気持ちも閉じる。
そして世界を捨てる。
ここまで書くと自殺者の気持ちのようだが、こちらは「なんとしても生きて帰りたい」のが大きな違いだ。
でもそれを前面に出すと、その弱い気持ちが先に出てしまい、海の下から浮かび上がれなくなるので、上記した「無常観」というのが重要になってくる。
簡単に言うと、ここで一度「全てにさよなら」して波の下に潜るのだ。
人によって違うだろうが、俺は乗っているときよりも沖に出る際に喰らった波の方がはるかに苦しい気がする。
乗っているときは、その愉しさがあって、ミスをしたりしていきなりズドンとやられるからなのかもしれない。
沖に波が入ってきて喰らってしまうのは、ジワリとした恐ろしさがある。
でもそれでも沖にパドルアウトしてしまうのは、この恐ろしさ以上に楽しいことがあるからに違いなく、それを求めているのだろう。
俺はビッグウエイバーではない。
だからこそ波に対して畏怖がある。
その畏怖を持って接しても沖に大セットが入れば、ズッドーンとやられてしまう。
これが無常なのだ。
ある人は恐れない故により大きな波に乗れる。
それを真似できる時もあるし、できないときもある。
そういえば去年の去年の大波の日、イナリーズでカメラ片手に、足ヒレをつけて沖で波を撮っていた。
セットが入る。
写真の場合はサーフボードがないので深く潜れるので波の下に行くのはたやすい。
しかし、この大波の日は少し違っていた。
波の威力がすごく、海底までを引き剥がすパワーを持っていたのだ。
1本目のセットが入る。
ちょうどインパクトの真下付近にいた俺は、
大きく息を吸い、ゆっくりとカメラを持って水底に沈んでいく。
あまりにも大きいので、目を開けて海中波(泡)に当たらないように潜っていくと、深すぎるのか暗く、ヒンヤリとしていた。
上で「ドゴン」と波が海面とぶつかった重い音が聞こえる。
動悸が激しくなる。
ここには俺一人だけだ。
幸運にも波(泡)には当たらずに海面に浮いた。
またさらなるセット波が来ている。
精神を閉じて潜る。
また深く、ものすごく怖いがここでは戻れない。
海面に上がる。
さらなる波が来ている。
少し息苦しいが、1度だけ大きく呼吸したらまた潜らなくてならない。
先ほどと同様に、だがそろそろ呼吸が苦しくなってきた。
少し足ひれのキックを強めて、潜る速度を速めた。
浮かぶ。
大波はまだ来ている。
怖いが、こんな大波を喰らったらジ・エンドである。
また一息だけ大きく吸い、深みに潜る。
暗さには慣れたが、この圧倒的な量の海水の動く速度と、波がブレイクするインパクトの大砲みたいな音に恐怖する。
少しでも早く浮きたい、と気持ちが弱くなったのが結果となったようで、背中に波が当たった。
吸い込まれるように回転し、少し波の動きに持っていかれた。
波から外れると、今度は足を蹴って海面まで真剣に泳ぐ。
遠い、苦しい。
海面、大気を思いきり吸う。
波に持っていかれたおかげで少し次の波との距離が出ている。
3mはかせげたかも。
3回ほど大きく息し、また海に潜るのだが、体があまりうまく動かない。
酸欠か過呼吸か、あまり深く潜れないので、波に捕まった。
背中から頭にかけて持ち上げられるように吸い上げられると、カメラを抱いたまま後ろから高速回転させられた。
悔しい。
が、どうにもならないので、波のなすがままとされる。
右の足ヒレが外れた。
靴紐をリーシュ代わりに使っていたので、紐がねじれて足首が痛い。
波から外れたら、と思っているが波は俺を容赦なく責めたてている。
ようやく波から外れた。
よーし、浮くぞと足を蹴るのだが、足が動かない。
腕はまだ動くので、腕を使ってゆっくりと浮上する。
浮上。
浮上。
と念仏のように唱えながら「浮くこと」それだけを考えて上がっていく。
海面近くまで来た。
波が移動した流れに引き込まれるようで、ここからがなかなか上がれない。
もう50cmが遠い。
考えることはただひとつ
「次の波が来ていたらやばい」
ということだ。
なんとか浮かび、朦朧とする視界で沖を見ると泡だらけ。
変だ。
それは岸側を見ていたからで、沖を見るともう波は来ていなかった。
助かった….。
これが海の恐ろしさで、なぜならこの後5本の波がやってきても何も不思議ではないからだ。
やったぁ。
とか弱く喜び、少し動くようになった足を使い立ち泳ぎする。
息が切れている。
もう岸に上がりたい。
世間に戻りたい。
と上がり、放心状態でさっきまで自分がいた恐ろしい海と波を見ていた。
大事なのは無理はしないことですね。
■
(おまけ)
大自然の暖色放熱。
アニービーチ。
息を止めて読んでしまってたので
苦しかったぁ。
これより文章が長かったら
ヤバかったです~
(>_<)
読んでて苦しくなった~(笑)
沖からセットがモリモリ来るときの、胃からなにかこみ上げてくるような感じ、何発か喰らってもうかなり苦しい状況で再びモリモリが見えたときの絶望感……
なのにまた沖に向かっちゃうんですよね……
自然は無情なものであるが故に、その輝きを放つと思うのです。人の無情は許されませんが、自然は無情であるからこそ自然なのでしょう。。
おそらく、サーファーと価値観が合うのは「登山家」でしょう。
彼らの哲学「そこに山があるから」と私達サーファーの「そこに波があるから」とは同じ煩悩でしょう。
どちらもリスクを伴いますが、それ以上の「陶酔」
とでも言いましょうか、何か「神懸かり的」なものがあるからこそ、その境地へ進みたいのではないでしょうか。しかし、相手は「怪物」。
プラトンでしたっけ?こう言ってますね、
「怪物を臨む時、また怪物もこちらを臨んでいるのだ」と…。
まさに、命を掛ける事と言わざるを得ません。。
フォースと共にあらんことを。
毎度息を呑むお話、今回も体を硬直させながら読んでしまいました(笑)。
この辺りのお話をまとめて、書籍化してくれたら嬉しいな?なんて思ってます。
下手な教則本よりも、よっぽどサーフィンの真実を伝えてくれている気がします。
毎日楽しく拝見させていただいております。とにかく体だけはお大事に!あまり無理はなされないでください。いつもありがとうございます。
息をしながら読んでくださいね。
いつかもっと長いのを書きますね。(笑)
絶望感、そのとおりですね。
若い頃は胃にこみ上げてきて、咳き込んでいましたが、最近咳き込まなくなりました。
経験が積まれたのですかね。
怪物以上の怪物です。
ちょっと前まではあんなにおとなしく、平和な海だったのにこんなに凶暴になるのだ、と大自然の凄さを噛みしめています。
フォースで波を止めたいときがあります。
ありがとうございます。
それではWEBでまとめてアーカイブ化しますか?
教本もいいなあ。
はい、それだけは気をつけています。
jinさんも良い波に巡り会いますように!