銀鯖道の夜
ジロバンニの切符30
そのときキヤラバンのずうつとうしろの方から、
聞きなれた歌のふしが聞えてきました。
よほどの機關で鳴らしてゐるらしいのでした。
ジロバンニは頬をかがやかせながら大ぞらを仰ぎました。
いつともなく誰ともなくその歌は歌ひ出され、
だんだんはつきり強くなりました。
思はずジロバンニもシギパネルラも一緒に歌ひ出したのです。
♫♬♪ ♫♬♪ ♫♬♪
一夜明ければ12秒
2メートルはすごい
もちろん外はどしゃぶり
スクラムまでずぶぬれ
タイトーあたりで浪見て
またタマサキへ
オンオンガタゴト
【古語解説】
聞きなれた歌のふし=「ろっか・ばい・まい・べいびい /(OFL-10)」のこと
機關で鳴らしてゐる=機関で鳴らしている。オーディオセットのことを指している
歌ひ=歌い
12秒/2メートル=波高平均値のこと。
スクラム=直列3気筒660cc DOHC /四輪駆動車/109
オンオンガタゴト=御御ガタゴト
【解説】
(84へ続きます)
文責:華厳旭 D.G.P.
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