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【サーフィン研究所:文芸編】波と悟り_(1160文字)

Catch Surf ®Skipper Fish 6’0″ Taj Barrow Pro

TW Captain Twin + VEKTOR VT Trailer

Amamian Backdoor, Amami Oshima

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フリードリヒ・ニーチェは、

“男が熱中できるのは遊びと危機の二つだけだ”と言った。

ダライ・ラマ14世は、

“Approach love and cooking with reckless abandon.”

「愛と料理は燃やしなさい」と伝えている。

快晴無風。

大きなうねりが遠くから届いていた。

時折波群がやってきて、

その青い色を持ち上げ、

姿を白く変えて揺れるように動いた。

崩れる瞬間に見せた斜面の曲線が誘う。

あの波に乗ると、何を得られるのか。

何を感じられるのか?

そんなことを考えながらパドルアウトしていった。

ゆっくりと波が来る場所に近づいていった。

大龍のような波先。

轟音と共にそれは雲のような泡壁となった。

意識を切り、意識を海中に放っていく。

そして「無」となった瞬間に私は解き放たれる。

この状態となると、

畏怖することはなくなり、

光を獲得し、海面を目指して浮き上がっていける。

——まだ一瞬だが——

この「無」という感覚が少しわかるようになってきた。

ヨーガではこの状態を「悟り」とし、

それをプラクティクスの目標としているという。

仏教では、

「悟りから涅槃にいたるまで」という修行があり、

この「悟り」をその壮大なる世界の入り口と伝えている。

波は流れて散っていった。

行く波、来る波に自分を映してみる。

縁があって乗る波もあるし、

大切なことを教えてくれる波もある。

遊びだった波乗り。

これはその次のステップなのだろうか?

真摯に波に乗る、

波を感じる「波乗道」という道を発見した。

そこから見えるのは、

他者を顧みない一途すぎる波乗り、

テクニックだけに傾倒するサーファーたち。

多くのサーファーたちは、

「波に乗る意味」がわかる日はいつ来るのだろうか?

波に対話を求めてみると、

一本の波がドラマとなり、物語となる。

波乗りに真理を求めるのもいいし、

または愉楽を感じてみるのもいい。

もしあなたがその門に立っていると感じられるのなら、

歩を進めてみよう。

そこには私たちが求めているものがあるだろう。

新しい旅はすでにはじまっていて、

波に乗るという行為、思想、想像は輝いている。

波に「悟り」を求めると、

深遠なる世界があり、

自身の内面への冒険と挑戦が続いている。

「あるとあらゆる色とかたち、

音、味わい、香り、触れるものであり、

好ましく愛すべく意に適うもの」(ブッダ)

(これは2012年頃、

Blue誌コラムに書いたものをベースに書き直しました)

Happy Surfing!!