一番ブイが7ft/ 13sec @NNW (340)となった。
「もうソフトサンドリーフは大きすぎるよ」
とフレちゃんはメジャーリーグベイに向かった。
「もしかしたらメジャーリーグベイは混むかも」
と俺たちはイナリーズをチェックする。
イナリーズはこのように掘れ度は花マルなのだが、
小さいのと、波が速すぎてメイク率は5%にも満たないようなので、
大きいということを知りつつ、昨日行ったソフトサンドリーフへ向かった。
ガタビシ道を越え、到着するとこんなパーフェクションだった。
すばらしいのだが、うねりが340°だとまだ正面から来すぎていて、
沖にゲッティングアウトするのが大変だった。
カビアあっちゃんとショアブレイクまで降りて行き、
「まずはいつでも海に飛び込めるようにリーシュを付けて」
と現地講習をする。
ゲッティングアウトの指導は、あくまでも予測と勘でしかない。
なので指導するのはむずかしいのだが、
1.セットの見方
2.セットの頻度
3.うねりの向き
4.セット波の本数
5.セットの種類
を見極め、インサイドに発生する強烈なカレントと共に沖に向かったのです。
ミドルセクションでやってきた一本の波、それを俺はギリギリ回避し、あっちゃんは喰らってしまう。
これが勝負の分け目で、俺はその後一本も喰らわずに沖に出られ、
あっちゃんはスープ波の向こうに行ってしまった。
分厚い波がピークして押し寄せてきている。
こんなにいい波を見たのは何年ぶりであろうか。
大きすぎず、掘れすぎず、たるすぎず、理想の波が現実に目の前にある。
しかも慣れ親しんだボードを乗って、沖に浮いている俺。
エルサルバドル旅でコール本人から受け取り、使用していたコールフィン。
それはカリフォルニアオフィスに忘れ、ようやく戻ってきたので、早速BD3に装着してみた。
こんなソリッドな波の日にフィンを変えるのはあまりよくないのだが、
このフィンはマンゴ岬でも試していたので、性能とフィーリングは実証済みだった。
俺が乗る一本目がやってきた。
少し奥から(20mくらい)テイクオフしすぎたので、
トップを走り、掘れ始めたところでリエントリーする。
俺はいつもこんな美しい波壁を夢みていて、今その現実がやってきた。
フルボトムターン。
BD3の持つ総性能がここで試され、ボードは全速力で波を駆け上がる。
波の際で切り返し、そのままインサイドまでボードを傾けている悦楽。
もう俺は死んでいるのかもしれない、と思うほどの無温度、無音、無感覚が続いていった。
「無=ナーダ」ということは、開高健名誉師範が名著書『オーパ』に書いていたが、
このナーダ感覚でサーフするのって、生まれて初めてかも。。
パドルバックしながら、そして次の波を待つ間、
うねりでたわむ水平線と青い空を見ながらそんなことを考えていた。
無の極地で乗って、ナーダなボトムターン。
こんな自由で奇天烈なターンはどのHOW TO本には載ってはいないけど、
もしあなたがここにいたら同じことをしていただろう。
そうだ、D大先生にこの写真を送ろう!
彼もこのターンに取り憑かれている一人であります。(笑)
少しあって、カビカあっちゃんが沖に出てきた!
「すごい!根性が半端ではない」と褒め称えると、
「何度もくじけましたけど、この波に乗るまではあきらめない!と決意してダックダイブし続けていました」
カビカの一念ですね。
あっちゃんの一本目はピークに吸い込まれてしまった。
やがて戻ってきて、
「死んだかと思いました。あそこには宇宙、いや無重力の世界がありました」
と正直に報告され、
「?」と俺はまだ死んではいないことを知る。
「でも本当にいい波だよね?。こんなの見たことある?」
と聞くと、
「20年前にロンボクでこれに近いサイズは見ましたけど、
波質は違うし、こんなに無人ではなかったですから」
とカビアあっちゃんは本当に満足そうだ。
「後悔だけはしたくないので、気合いを入れて波に乗ります」
と言って、カビカあっちゃんが次に攻めたのがこの波↓
↓これが本物のローラーコースター(死語)
すごいや。
と沖を見ると、すばらしいレフトが来た。
この先はドライリーフ(珊瑚礁が海面から露出しているということ)なので、
数回ターンした後、キックアウト。
「ヘヘー」とD先輩のように喜んでいると、
↓こんなすばらしいボウル波がやってきました。
もう現実とは思えず、ありえないようなすばらしい波でした。
それから何本も乗って、最後にこの「ホワイトセット波」を体験し、
岸に上がるときに、インサイドでものすごい流れに遭遇!
例のドライリーフに吸い込まれてしまう。。
何度も危機は免れたのだが、最後に膝をしたたか打ってしまった。
けどパニックにならないように、次の波、そして次と対処してなんとか岸にたどり着いた。
歩けないほど痛いのだが、気合いとアドレナリンで何気ない風を装って車まで戻る。
傷口を見るとこんなになっちゃっている。
「あそこ(ドライリーフ地区)は地獄の入り口のように危険」ということを思い知った日。
あの波が押し寄せるところをこの単数裂傷だけで帰ってこられてよかった、と前向きに考え、
さらにはまあこんないい波に乗ったのだからこのくらいの痛い目に遭わないとまずいよな、
と今もズキズキする膝でこれを書いています。
めでたしめでたし。
■
(おまけ)
先日、長老フレちゃん家の夕食に招かれました。
おいしいパスタとサーモン、さらにはBoony Doonという秘蔵ワインもごちそうになり、
大満足です。
フレちゃん、キム、そしてミッシェルありがとー!
毎日、毎日、波良過ぎでしょ?(笑)
お怪我の方は大丈夫ですか?
リーフの傷にはたっぷりレモン汁ですか?なんて書いたら背中が寒くなりました。
お大事に!!
はじめてコメントさせていただきますタナカと申します。
ナキさまのブログは毎晩デサートを食べながら読ませてもらっております。
しかし素晴らしい波ですね!本当に夢の世界のようですね。いつも美しい写真と楽しいお話を公開していただきありがとうございます。ご怪我の方どうぞお大事に。
本日の湘南は鵠沼でヒザ・・・・
シンジラレナーイ!byボビー
同じ地球でこんなにも違いがあるなんて。
久しぶりにナデナデボトムターン、しかと拝ませて頂きました!
ps:あっちゃんもさすがです!ケガに気をつけ、良い波に乗って下さいね。
ソフトサンドリーフ・・・
名前からはもっとイージーな波のイメージです。
私にとってはかなりハードなサイズですが、すばらしい波ですね。
私の地元ではありえない波です。
ナキさんのブログではNHのいろいろな情報を見れて楽しいのですが、やはり良い波だったという日のブログは最高です!!
いつかはノースハワイと夢を見させてくれますから。
それから、50歳にリーチがかかってる私ですが、フレちゃんには脱帽です。
Fgさん、
今、波は旬を迎えているようです。
怪我は痛いですが、なんとかやっています。
レモン汁でなく、オキシフルと抗生剤のフェーズ3状態ですが、4に引き上げないように気合いを入れていますよ。
タナカさん、
初コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
本当にいい波でした。
またコメントをお待ちしていますね。
ALOHA!
umiかひぇ三平さん,
波はいいのですが、圧力がすごかったので、喰らうと苦しかったですよ。
あっちゃんも「すごい波です?」を繰り返して言っています!
佐藤さん、
もうすぐ50才なのですね。
すばらしいです。
とすると、フレちゃん年齢まであと16年です。
どうぞどうぞ海と波を楽しまれてください。
ブログですが、こんないい波の日はいくらでも書けてしまうので、すこしペースダウンしながら書いていますが、
どうしても文体に差が出てしまうようです。
ありがとうございました!
本当に自分が波に乗れない日波の無いときなどは船木さんの乗っている波で
癒されます
TAKASHIさん,
ありがとうございます。
風邪は治りましたか?