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naki's blog

波に乗れ 永遠の波に乗れ_(872文字)

海があって、波がある。

波に乗るのは、

人間だけではなく、

魚、イルカやアザラシ、

ペリカンなどが滑走、滑空していく。

波に乗る(飛ぶ)ペリカンを眺めていると、

彼、彼女らは何年そうしてきたか、

何万回波に羽ばたいたかはわからないが、

「波乗りとは藝術(芸術)である」

と深く感じてしまう。

乗るものと、

波とが相互に作用し合うことが芸術。

(誤解を恐れずに言えば、

テキサスから来た旅行者が、

レンタルボードのノーズを天に向けつつ、

泡波に押されているのは波乗りではなく、

それは波遊びといえよう)

波に乗る芸術というのは、

自然からの波と、

生きものの自覚的な意図が合致して、

ひとつの表現を指すものだ。

音楽もまた芸術であるように、

サーファーたちは、

さまざまなボード(楽器)を使って、

それぞれの表現を求め、今日も海に浮かぶ。

浮かべないときは、

想像力で行き、そして夢想波を滑走している。

海の意志か、

ただのきまぐれなのか、

波は毎回手を変え、品を変えて俺たちを誘(いざな)い、

そして美しく現れては、儚(はかな)く消えていく。

海は深淵かつ深遠で、

そしてどこまでも始源だ。

波が遠くからやってくる。

水平線のたわみ、ゆがみ、

そして持ちあがりの起伏で、

それが欲しているものかどうかを見極める。

やがて目の前に願い続けたうねりが現れるだろう。

そのようやく巡り会った波との合致をめざして、

漕いで漕いで、そしてさらに漕ぐ。

やがて、ボードが浮かび上がるように、

そして降下がはじまると、

地上のこと、

つまり世間や世俗のことは全て霧散する。

波の上に羽ばたくように上昇し、

そして切っ先からまた滑降する。

泡になったら進めるだけ進む。

波に巻かれるときもあるし、

巻かれないときもある。

ただ、波に乗っている瞬間や、

波に向き合っているあいだは、

街の喧噪も、日頃のもやもやも全てない。

何もない。

そこにあるのは自分自身と、

ふくらませた想像力だけ。

自信の意志が海とつながった瞬間。

それが波乗り。

これが藝術。

「波に乗れ 永遠の波に乗れ」

こうして自分に言えるのがうれしい。