海賊岬。
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北に住むシェーンから「こちらに来ないか?」
という連絡が突然あった。
あちらに住むセイジが、
「リンコンいいですよ!混んでますけど」
そんなSMSを受けた。
慌てて、
「今出ました」と出前の催促電話風の返答をし、
時速75マイルで北上していく。
サンクレメンテからリンコンまではロスアンジェルスを経由していくので、
渋滞がなければ2時間強で、
渋滞していると軽く4時間はかかってしまう。
新年渋滞もあるから今回は何時間かかるのだろうかと恐々としていたら、
3時間で到着してしまった。
けれど、
途中で「メジャー(リンコンのこと)ではサーフしたくないなぁ」
そう本音をぽろりとセイジに伝えると、
「どこでもNAKIさんの好きなところでやりましょう!」
それを受けて、
「海賊岬はいかがでしょうか?」
ワガママを言うと、
「OKです。先に見てきます」
理由も聞かずにセイジは先乗りしてくれた。
そうしていたら海賊岬が見えてきた。
岬がその場所で、
岩だらけなのでほとんどサーファーはいない。
例えばリンコンに100人のサーファーがいたら、
ここは5人くらいだろうか。
そんなマイナーな場所は、
ソルトクリークのロッキーショア系の岩だらけの岬波。
フリーウエイ101号を降りる手前で、
またこんな岬波を発見した。
しかも無人なので「むむ」とうなってしまった。
小島の向こうにリンコンはある。
そんな位置関係。
さらにはベンチュラ・ハイウエイ沿いにて、
1970年代の名曲のメロディを思い出していた。
海賊岬は、
これだけ多方面からのうねりとサイズがあると、
それは見事なセッティングとなっていた。
バックドアやパイプラインのようなバレル多数に
奄美大島のセッションを思いだすに至る。
こちらがセイジ。
正式名をベンチュラハイウエィ・セイジと言って、
二児の父でもあり、
文化的の香りをまとった知識人。
この近くで葡萄農園を営まれていて、
今はオフシーズンなので、波乗り三昧だという。
シナノスマイルというそれはおいしい品種の米国唯一の生産者で、
植物のことはやたらと詳しい人でもあります。
今回はNationのミッドレングスシングルフィンに、
タイラー・ウオーレンのミニボンザーを持ってきた。
ウエットは今年のトルネードと、
2年前のネックエントリーを。
インナースーツも今年のと、去年のを。
これはもう一回入りたいときに濡れたのを着ないで済むようにと、
予備で持ってきているのです。
2枚ある至福。
あとブーツは水温12度程度なので、
北には必携品ですね。
2時間以上に及ぶ最高のセッションを終え、
iPhoneでボンザーと少しオンショアになってしまった夕陽波を撮って、
インスタグラムにポスト。
ここにはフェイスブックと同じようにタグ付けができるのと、
文章が書けるのだが、私がこんな量を書くのは稀です。
普段は、
インスピレーションの1行だけで終えるようにしている。
なぜならそれがインスタグラムだと思っているのと、
閲覧する人のクイックさも考えてそうしている。
「1970年代に完成したボンザーシステムを深く掘り下げたい」
そんな感動があったセッションでした。
キャプション内の3本のバレルは、
ミニチューブ、
そしてテイクオフしてそのままスタンディングで入った大きなものと、
最後は3つのセクション内を走り抜けた長いものだった。
それぞれ特徴的なチューブだったので、
強くこの海賊岬の記憶を焼き付けられたと思う。
ただ、複雑な地形を受けてテイクオフが可能なものと、
そうでないものがあり、
さらには尖った大きな岩だらけのスリリングなセッション。
上がってくるときに満潮となってしまったので、
ほぼ拷問のように難儀したが、
だからこそこのブレイクが空いているのだろう。
「波乗りは、ときにハードボイルドとなる」
寒空の下でそう再確認させられた。
四国出身のセイジは、
「やはりこういう波でやらないと、サーファーとしての刃先が丸まってしまいますね」
そんな共通する印象であった海賊岬のパワフルな波に乗った日に乾杯。
Cheers!
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