千葉県上総一宮。
一ノ宮とも表記するが、地名は一宮となっている。
とにかく一の宮がある海沿いの街であります。
春分の日のポストにも書いたのですが、
ここにある玉前神社は、
数日前の太陽黄経0度で真正面から朝陽が入り、
それは遠く西の出雲大社に抜けていく。
世の始まり、宇宙の入り口だと認識した。
それから毎日のようにこの水平線正面からの朝陽を拝み、
神式にサーフしている。
特別な信仰はないが、
日本人なのでご先祖さまから神道は細胞レベルで感じられるものだとわかる。
さてさて、
昨日ポストしたスタッフミーティングの模様ですが、
萩生田(はぎうだ)人気が高く、
「あのカットバックの連続写真があるのなら、ぜひ見てみたいです」
というご要望を神奈川県の藤沢市のSさんからと、
遠くは高知県のKさんからいただいた。
「ありますよ〜。本日ブログをお楽しみに」
そんな約束をした萩生田ラウンドハウスカットバックシークエンスです。
Tyler Warren’s Dream Fish 5’3″
テクニック解説もしちゃいます。
カットバックの場合の「入り」は浅いボトムターンが良い。
速すぎず、遅すぎず。
波の前、つまり緩斜面に出ていく。
斜面の前に出たら「戻るターン」、
つまり背中側に長い加重がやってくる準備をすること。
体を開かず、具体的には体勢を小さくして、
反対(波)側のレイルを入れるため重心を膝側から背中側に切り替えていく。
上の画像はちょうど中間地点ですね。
背中側に切り替えがはじまった瞬間。
よく左右の加重を50%50%でと言われますが、
これは55/45状態。
後ろ足の下にフィンがあるので、
その舵を踏んでトラクション(この場合は操作性)を高めると安定する。
ボトムターンの勢いがあるので、
レイルを入れ替えるために体勢を整えていると、
あっというまに波トップ、
または斜面(セクション)外側にこうして出てくる。
65/35
ここまで来たらフィンのトラクション、
そしてレイルが波に入っているので、
背中側に強く、長いターンを開始する。
75/25
ちょうどカットバックの始点でもあるが、
実際にはラウンドハウスを円弧とするのなら中央点(頂点)がここ。
波を滑りながら絶妙の加重で操作していく愉楽。
90/10
ターン頂点を通過したので、
ここからさらに加重して、
波の内側の切り立ち部分、または泡トップに目を入れて、
そこにターンを集中していく。
これが速いと、それはかっこいい。
95/5
フルターンの萩生田。
だが、波の緩斜面に対して、
加重させすぎてレイルを波面に切れこませ過ぎてしまった。
ここでは100/0という左右のレイルバランスだが、
ここも95/5でも良かったのではないかと解説者は力説する。
やはり100%以上入り込んでしまった。
普通の人ならここで終了。
ワイプアウトというピリオドがやってくるだろう。
だが、萩生田は持ち前のバランス&日々の修練で会得した
「体を開かずにターンを継続する」
ということができるので、この
110/-10という不利なバランスでも目的の切り返し位置に向かっていけた。
さらに良かったのは、
ここで加重を解いたところ。
110%まで跳ね上がっていたレイルを抜き始め、
絶妙なる98/2と戻してきた。
これがこの位置での黄金比である95/5であろう。
すごい。
完璧である。
が、しかし履歴である110%がたたり、
失速しながらも次の、
そしてラウンドハウスカットバックの切り返し地点である泡際が近づいてきた。
どうするのかと思ったら、
ここで展開を変えてレイルではなく完全にテイル加重とし、
左右50/50の、
前後80/20の緊急切り返ししながらストールという判断を下し、
それを実行した萩生田。
さすがベテランサーファーであります。
さらにすぐに切り返さずにそのままの体勢を残し、
波からの跳ね返り(バウンス)を待つ。
ストールしているので、速度は落ちていく。
思ったよりもバウンスは少なかったが、
完全な切り返しまではいかないにしろ、
無事にラウンドハウスの印を結んだ瞬間がこれ。
彼は「おーし、しめしめ」と感じているはずだ。
この速度だとボードは泡に吸われるように失速するので、
低い体勢と、
加重を一切変えない忍耐が要求されるセクションがここ。
もう少しで脱出できる。
ボードが足の下に戻ってきて安定姿勢になっていく。
そこで目線は進行方向に固定し、
首や肩を一切動かさないのがワイプアウトしないコツである。
テイルを押しつけつつ、
ボードが浮いてくるのを待つ。
待っている間は、
インサイドレイルがぶれないように押しつけると良い。
ボードはその浮力と、
泡からの押し出しによってその推進力を得ていく。
波斜面内に出てきた。
これをリエントリー、最出発という。
そして次のセクションに向かっていく。
たった一瞬のことだけど、
あり余るほどのドラマがあり、
それを瞬時に察知し、加重を入れ替えたり、
切り替えたり、または耐えることで、
こうして8の字、
無限の字となる長いターンの円い波乗りが成り立っていくのがわかりますね。
ここでは普段日ごろから
「波乗りはテクニックではない」
と書いていますが、こうして解説すると、
技もサーファーの幸福のために必須で、
そして直感がもたらすものを、
いかに全身でコントロールしていくのかがわかります。
釣りとかと違ってまぐれもありませんし、
もちろんビギナーズラックもない世界。
萩生田はこれでひとつの経験値を上げて、
さらなる波に挑み、印象的な滑走を得て、
それは彼生涯の記憶に刻み込まれるだろう。
嗚呼(ああ)波乗り。
Surfing is happiness.
We live for surf!!
◎