またもや深夜に目が覚めた。
3日同じ冒頭で恐縮だが、
今日の違いは3:31分ということと、
昨夜よりも月の位置が高く、
はっきりと丸かったこと。
雲の間にまん丸と、煌々(こうこう)と輝いている月。
昔の人はこんな満月を見て、何を想ったのだろうか?
現在を生きている俺は何を感じるのだろうか?
しばし放心する。
外を見ると東側に雨が降っていたので、
またもや月光虹を探しにカメラを積んで出発した。
いつもの「丘」に到着。
雲が多いので、こんな幻想的な色だった。
時に緑に、時に青く、ピンクや赤、黄色にブルー。
虹のかけらをチラチラと見せてくれていた。
3時間ものあいだ「丘」で月光浴をして、
結局月光虹は現れなかったけど、
なんだかたっぷりと月光エネルギーが満たされたようだ。
夜明けを見届け、
それからカイラを送りに空港街まで行ってから学校にドロップオフし、
一気にカラヘオまで戻って、長老フレちゃんと合流して、
海軍基地内のプアキニキニリーフに行く。
「鬼門」である闘牛岬も無事に通り過ぎ、
イシハラマートがあるワイメアタウンを越え、
サーファーで混んでいたトムクンズも左手に見ながら、
コーン畑を抜け、海軍基地のゲートを通過し、
メジャーリーグベイ駐車場までやってきた。
この目の前に「ミンチ・リーフ」
という物騒な名前の浅い棚があって、
そこはこんなパーフェクションだった。
激パーフェクトとはこのことを言うのだなぁ。
とその美しいライトハンダーに見とれていた。
そういえば、
去年ここでこれを撮ってもらったんだけど、
この日もいい波だったなあ。
.
ぱっと見がイナリーズと似ているんだけど、
こっちはこれがリーフブレイクだということ。
だから「ミンチ」(=挽肉)という名前なのだと納得。
こんなので巻かれたら「つくね」になっちゃいますよね。
さて、このリーフの向こうにあるのが、
本日目指している『プア・キニキニ・リーフ』で、
このショアブレイクの右沖に位置している。
ミンチリーフから500mほど北にあり、
それはそれは長いブレイクだ。
うねりは下がったが、セットでダブルオーバーはあり、
十分なサイズのサーフセッション。
このリーフはメジャーリーグベイと似ている。
4つあるセクションがそれぞれ特徴的にダブルアップしていく。
メジャーリーグベイと比べて、
パワーが倍ほどに感じられる強烈なブレイク。
しかも無人の日が多い。
これは「シャーキー」だから。
つまり「鮫が多いから」と敬遠されている場所でもあります。
(カイル鞠黒の友人がこの横のメジャーリーグベイで左足を失っている)
いつものように2人だけでパドルアウトしようとしたら、
大波乗りのデレックが突然現れた。
どうやら走ってきたらしく、息を切らせている。
「トップ(リーフの突端)に行こうぜ。一昨日もあそこがよかったんだ」
と俺たちを先導し、真っ先にパドルアウトしていく。
よーし、と俺とフレちゃんは彼の後を追う形でゲッティングアウト。
沖まで1/3ほど行った地点でダックダイブしたら、
浅く、しかも硬い溶岩リーフで、
フィンの先を全部こすりつけてしまった。
これはめっちゃくっちゃ浅いよ!
と、ぞっとしていると、
フレちゃんも同様にこすったようで、
「おいおい、浅いぞ?」
後から声がした。
腰から膝くらいの深さだろうか。
なんとかというか、
やっと沖に出ると、すかさずデレックがセット波をつかみ、
ものすごい距離を乗っていった。
さすがだなあ。
と見とれながら後から波と彼を見ていると、
それはサンセットビーチを思い出す波景色だった。
10分後くらいに戻ってきた彼に岸の目標物を聞いたり、
鮫の話などをしていると、
沖に特大の波が入った。
デレックは左沖に逃げていく。
俺は斜め左だが、正面側に全速力で逃れる。
このとき10mほど岸側にいたのがフレちゃん。
ここは深い海底から一気に浅くなるので、
近づいてきた波は一瞬でフェイスを持ち上げ、
怪獣(海獣ですね)が口を開くように波面をえぐれさせた。
「でー!」
と思いながら、深くダックダイブを敢行する。
ギリギリセーフ。
と、なんとか波の裏側に吸われるように出ることができ、
デレックも同様に喰らわずに済んだようだ。
けれど、フレちゃんがいなくなってしまっていて、
俺とデレックは岸側に弾けるように動いていく海獣を追いながら、
フレちゃんの手がかりを探す。
波泡がずいぶんと向こうに行ったころ、
フレちゃんのBD3が浮いてきた。
まだ浮いている。
フレちゃんは見えない。
俺は近づこうとパドルをはじめる。
デレックを見ると、真顔になっている。
まだ浮いてこない。
中波がやってきてしまった。
フレちゃんのボード周辺を見たまま、
トップでそれを見送る。
「水の下で2発喰らっちゃう!」
と思った瞬間、
フレちゃんは両手を開いて浮いてきた。
目も開いているし、体も動いていた。
また波がフレちゃんの上に行く。
俺はフレちゃんを追う。
波の後側。
今度はボードが浮いてきてすぐにフレちゃんも浮いてきた。
確認のため手を振ると、
フレちゃんは勢いよく右手の親指を立て、こちらに向けてきた。
よかった。
と沖に戻り、デレックと目を見合わせると、
彼もうれしそうだった。
結局大波はそれだけしか来ずに、
「しかし、あれはすごい海獣でしたね」
と戻ってきたフレちゃんに波の下の話を聞くと、
.
「あれはね、ダックダイブを途中までしたんだけど、
これは無理だと思い、ボードを捨てて潜ったんだ。
インパクトの真下だったから、
そのまま衝撃と圧がやってきて、
全身をたっぷりと叩かれたんだ。
でね、体を丸めてその衝撃をやりすごして、
さて上がろうと思ったら、
全然浮かないんだよ。
目を開けると、
砂が舞っていて真っ暗だった。
それがようやく落ち着いてくると、
海面はずいぶんと上で、
でもそこから浮かないんだな。
で、一生懸命に掻いて掻いて上がってきたら、
次の波が目の前に来ていたというわけなんじゃよ」
と怖ろしいことを言っている。
「*クラムシェル(ここのピークの愛称)はそうなる時があるよな。
浅い棚から一気に深くなるからそれで浮かないのかもね」
とデレックがフレちゃんに確認してこの話は終わったが、
もし俺がそうなったらパニックにならず、
リラックスして上がってこよう。
そんなことを再び教育されたセッションでありました。
.
*クラムシェルとは、
貝が閉じるときのように崩れるからで、
あっという間に閉じるほどブレイクが早いのです。
.
でもいい波を1ダースちょいも乗った俺たち3人はご満悦で、
フレちゃんも無事生還した歓びからか、
帰り路に
「イシハラマーケットに行ってマグロポケ買おうぜ!
ワシがごちそうするから」
と気前がいい。
(年金生活のフレちゃんにごちそうになるのもあれなので、それはお断りしたが)
そういえば月曜日のイシハラマートはキッチンがお休みなので、
今日の品揃えはこのように冷たいものばかりだった。
この中からソーメンサラダとブレッドプリンのランチとする。
これがソーメンサラダです。
通常5ドル25セントが、
鮮度落ち商品ということで、3.25という数字が付いていた。
マートの横で食べていると、
Gランド・ランディ(キハダマグロ)もランチを食べにやってきて、
「ニギリ・スシ」(確か8ドル)という名の、
じつはマグロご飯を豪勢に食べ始めた。
↓これがブレッドプリンで、
甘くなく、牛乳にまぶされて焼かれたパンの隙間、
ほんのり甘い干しぶどうと、リンゴの食感がうなる逸品。
ランディに波の自慢をしながら食べるこのデザートのおいしかったこと。(笑)
フレちゃん家に戻ると、
新顔のラリー(Larry)があいさつにきた。
昨日のメスネコちゃんはダリー(Dolly)だと言う。
フレちゃん家の下に降りると、
今日の無人市場はレタス2個で1ドル、
キャベツが75セントだった。
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今日は「文化の日」なので、
何か文化的なことを書かなくては、
と思って書き始めたのですが、
なかなか文化的にするのはむずかしいですね。
でも、よく考えると文章を書くというのは文化的であるから、
これは正しかったんだなあ、と思いました。
ということは、これを読んでいるみなさんも文化的なのでありまして、
ハッピーエンドとなりそうなのでここまでとします。
他に文化的なことは何をされましたか?
また明日?!
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