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【春波万雷号】嵐に伊豆に、波乗りにありがとう!_(2388文字)

Catch Surf Skipper Fish 6’6″

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昨日の日曜日。

ご存じのように大嵐が、

未明から朝にかけて通過していった。

「風速35mだとか、40m」

そうやって静岡TVは言っていたのを聞いて、

そういえば去年の全く同時期もこの

「今年一番の嵐」だったと思い返していた。

すばらしき伊豆!_多々戸浜_大野仙雅さんの心(真)のサーフィン_巨匠水口さんからのプレゼント_(2222文字)

天気予報は前日までは、

「終日、雨と風が強い」とあったが、

いざ起きてみると”曇のち晴れ”へと変更されていて、

ただ嵐を追いかけるような風だけが吹き荒れていた。

こういうときは、

普段波が立たないところに世界的な波があるかもしれない、

そんなロマンを持って各ブレイクを探っていったが、

オープンオーシャンは荒れて、水平線の彼方でブレイクしている。

「白浜は猛烈なオフショアで肩です!」

先発しているツナくんとシギーGよりそんなSMSが届いた。

他のサーファーが入っているところはあまり行きたくはない。

「西南西の風」

千葉ならば、

NAKISURF周辺が全てオフショアになる風。

うねりは東と北東のグランドスウェルに加えて、

荒れた海からの風波のトリプルミックス。

これこそはビーチブレイク日であろうと見当を付けて、

前日、鈴木直人さんから聞いたアソコに行ってみると、

すばらしい波がやってきていた。

水の色、

波のパワー、全てハワイのようであり、

実際は、左への流れがものすごいので、

あなどれないほどの強敵かも知れなかった。

ウナクネSX7か、

タイラーのボンザーに乗ろうとしたが、

両方共レイルにフィンが突き刺さったような傷を発見し、

この波質でレイルに傷があると、

キリトリ線が入った割り箸のように簡単に折れてしまうので、

およそ折れないキャッチサーフのスキッパーフィッシュを選択した。

さらにはオフショアが強いので、一番重い6’6″を持ち、

ジェイミー・オブライアン顔のつもりで集中し、

キリリとツナくんたちを見ると、

ふたりはなんだかやたら困っていた。

「どうしたの?」

「あ、(ボード)何に乗っていいのかわかりません」

「なんでもいいんじゃない?」

「あ、折れてしまいますか?」

「普通のボードだったら一本目で折れてしまうかもね」

「そうですよね。そうでした….。キャッチサーフなら折れませんか?」

「キャッチサーフならば、4364本目まで折れないかもね」

「あ、ではそーします」

そうやってイチローさんの現在の日米通算安打数で教えたので、

そこに触れて欲しかったが、

全く触れられず、シギーとツナくんは、

それぞれスキッパーフィッシュにフィンを付け始めた。

悔しいので彼らを待たずにパドルアウトすると、

やはりものすごい波で、

まるでパイプラインそのもの。

なるほど、大野マーくんやノリくんを始め、

前出の鈴木直人さんや各サーファーたちが、

なぜハワイの大波にきちんと乗れるのかを再確認した。

「無音になってね。自分だけの空間になるんだ」

ジェイミー・オブライアンのセリフを反芻させて、

JOBモデルということもあり、

彼になりきってのバレルアウトを果たしたのでありました。

ここ2か月間くらいは、

「ああ、波にひどく巻かれたい」

「波に叩かれたい」

「ものすごい圧力で飛び降りたい」

そんな快楽を知っている私の欲求が一気に満たされた。

しんのマンライであります。

(しん=心、真、深、神、信、芯、等)

そのまま上陸して、

昨日のタキビシではないが、

「これはですね。煩悩(ぼんのう)をですね、

解脱(げだつ)して、無上の悟りをひらいた状態です」

そんなめでたき気分となっていた。

【キャッチサーフ動画あり】不思議無人週末伊豆波の旅_(1701文字)

Catch Surf Skipper Fish 6’6″

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ツナくんは、

「良い波って、大変なんですね….」

「どうして?」

「乗るためにはアソコまでいかなくてはなりません」

「そうだよね」

「出られるかな?あ…、だめかも….」

そうやって自信喪失風走れメロス文体+「…..」、

つまり語尾がテンテン点になるのはいつものことなのと、

ツナくんはハワイ波も経験しているので、

「大丈夫だよ。らー!と思い切って行ってさ、

レイルをグワシとつかめばなんとかなるよ」

そうやって、安心させるように、

パドルアウトのことではなく、

乗ってからのことをアドバイスしておいた。

事実、このパドルアウトが難関で、

幾度も沈められるという戦意喪失セットがおよそ3〜10連発やってきた。

ある特大セット3連+セット15連発では、

全員が下田港方面に流されて、

ペリーの乗る黒船に漕ぎ出した吉田松陰の気持ちとなった。

Catch Surf Skipper Fish 6’0″

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「死ぬ気で行きます!」

「死んではだめだよ。タント600新車だし、ちゃんと戻ってきてね」

「はい!なんとかやってみます」

やたらと明るくそう言っていたシギーが乗った渾身の1本は、

彼にとって向こう10年は語り継げるものらしく、

昨日のムーチョアロハビールがさぞかしうまかったことだろう。

そうやって温泉に再び入り、

大谷翔平くんが深夜3:15より登板するので、

BS番組表を見ると、

なんと前出のジェイミー・オブライアンのNHK特番がやっていて、

おどろきつつ、このタイミングのすばらしさにうっとりとしながら、

そのスマホと同調する360カメラで、

ジェイミー視線でパイプライン(バックドアだったが)を見ていた。

するとそれは、

まるで昼間乗った伊豆のアソコのような波でありました。

感情移入しやすく、感激した夜でした。

波に乗っていないと、

ここには来ていないだろうし、

そうして人や土地がつなぐ魂みたいなものを波を通して、

感じられたことを再確認した日。

嵐にありがとう。

伊豆にありがとう。

そして波乗りにありがとう!

Happy Surfing!!