不可能岬。
ここでサーフしたことがある人なら、
この写真を見て、
高速で滑走するべく、
レイルを波先に引き上げるように
ぐっと体の芯を硬くするだろう。
200mは軽く乗れて、
その後インサイドセクションに突入する。
インサイドは、
まるで波の大きな呼吸のように
バックウオッシュやウエッジが入る。
陰陽師ではないが、
あまりの奔放ぶりに
「小鬼の遊び場」とここに名前を付けたが、
それはやたら強い跳ね返りだったり、
激しい波揺れがあるからに他ならず、
今までさまざまな波に乗ってきたが、
こんな波質は初めてである。
これによって中級者+以上という格付けの特級波。
長い距離の波。
それはトム・カレンが、
『サーフィンの上達法』として伝えた
「ワックスはボード全面に」
「さまざまなサーフボードに乗る」
そして、
「長い波に乗る」
トップ3に当てはまるものがここにはある。
(不可能岬波の構成は、巻末に説明します)
Catch Surf Odysea® x Barry McGee DFW 7’0″
with Small Fins
.
高貫佑麻くんによるスイッチスタンス。
この高速セクションでスタンスを逆にするのは、
オオワザであり、
そしてとてもスリリングだと気づかされた。
Catch Surf Odysea® Skipper Fish 6’0″
with Special Fins
.
不可能岬で私が乗った最も良い波がこれ。
300mにもおよぶ波壁の連続だった。
波はどこまでも伸び、
まるで永遠に乗っていけるかのような錯覚系。
この波を表現しようとすると、
『解放』
という言葉に行き着いた。
「これは解き放つこと。束縛を解いて自由にすること」
ものの本にはそうあって、
私の考えることと同じなのでありました。
新たな知的冒険
生きる活力を獲得すること
これらが次点。
Catch Surf Odysea® x Barry McGee DFW 7’0″
with Small Fins
.
さて、不可能岬の波の構成。
この日が一番良かったので、
理想日のうねり種類を説明します。
まずはA(レッド)
これが東北東うねり。
Bも東北東うねりなのだが、
生誕が違ううねりが30:70程度の比で合わさっている。
そしてCは、
南東うねりが、数キロ後方の太東岬をかわしてきたもの。
Dは夏のバックグラウンドである南風からの風波が合わさって、
小うねりを形成している。
この4つが重なって、不可能岬の長い波が創りだされる。
こうしてうねりの要素を見ることも大切で、
ブイ情報のうねりの角度を見る機会が増えるだろう。
ちなみに風波は波間隔が短く、5秒から7秒。
台風のような強い波の際には、うねり間隔は10秒を越す。
ちなみに下記するのが、
湘南松風王国(平塚市)の沖合いにある海洋ブイ情報。
これによると、
土曜日の19時からガツンとうねりが上がって、
1.8m@15秒
3m@13秒
そんなモンスター数値をたたき出しているが、
これは土曜日波を狙ったケイスケや多くのサーファーたちの一貫する
「暗くなる頃に突然大きくなってきました」
という報告と合致する。
とにかく今回の台風12号は、
関東各地の各サーフブレイクに接近しすぎていた。
よって短い時間だけ波があったとわかった。
私たちが求める「台風波」というのは午前3時までだったようで、
とすると、
「良い波」は、たった8時間だけ、しかも夜間に入ってきていた。
夜=クリスチャン・フレッチャー⑬波。
(クリスチャンは夜にサーフする。巻末リンクを参照)
なので、翌日曜日の早朝に波を探しても、
「1m程度の高さで、間隔が8秒という普通の低気圧程度の波」
しかなかったわけが、ここに数値化されている。
話を戻すと、
これはメインとなる一番大きなうねりだけを取りだしての数値なので、
実際の海には多方向からのうねりがはいっている。
それは50%ずつのときもあるし、
または20:30:50というとき、
5:10:15:20:50
という5つが合わさるときもあるだろう。
そんな波を見極めるのも波乗りの楽しさで、
さらには奥深さだと思える。
今日の講義はここまでとします。
【巻末リンク:クリスチャン・フレッチャー⑬のナイトサーフィン】
【その後のクリスチャン】
タイラー・ウオーレンの今日_出発前日のクリスチャン・フレッチャー_サンオノフレでのフィッシュゴッドとコーリー・コーラピント_(1777文字)
Happy Surfing!!
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