新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

【新春スペシャル】超タキビシヤスの波乗道_『波中有何楽』(2179文字)

私は不滅不生であり、

生死の区別を超え、

全ての煩悩を超え出ている。

よってどんな魔、

どのような悪にも誘惑されることはない。

大虚空はさらに大きく広がり、

そこに円い光が遍(あまね)く満ちている。

これこそが寂寞無為(じゃくまくむい)で、

これを楽と言う。

818年(弘仁9年)空海著『山中有何楽』より抜粋

この文章を知ったとき、

タキビシの顔を思い浮かべていた。

(詳しくは巻末注釈リンク*1に)

彼は波乗り道に没頭し、

フィンレスサーフィンによって、

レイルワークのすばらしさ、

効用に開眼した一人であります。

彼のトリムラインはスキップ・フライから、

近しきところだと、

ジョンジョン・フローレンス、

そしてJOBを思い浮かべることになる。

本人に聞いてみると、

常に彼らのラインをなぞるように思考しているという。

仕事をしているときも、

歩いているときも、

そして寝ているときまでもだと言う。

これぞサーフィン道の結晶のような行為で、

よって、

彼のトリムサーフィンは確かな実を結んでいる。

空海ではないが、

文字で書くと「結実(けつじつ)」となる。

むずかしい字にふりがなを付けるのは、

ラカ法王の教えによるもので、

つまり太郎くんや二郎くんのような次世代が読めるように、

サーフ文学に興味を持つようにしている。

さて、この幼名ヤス。

フルネームでスーパー・タキビシヤスは、

千葉勝浦の、

ノース・ブバラカという岩盤ブレイクで、

Wave of the dayという賞を得た。

これは二郎くんのハッピー・サーフィンデーでもあるし、

(二郎くんのWave of the dayの詳しくは巻末注釈リンク*2)

遠く海外では、

パイプラインやバックドア辺りが出やすく、

これを狙って賞金稼ぎが闊歩している。

愛すべき読者のひとり

高貫佑麻くんもパイプラインで授賞しているし、

(巻末注釈リンク*3を)

それはそれはすばらしい称号で、

末代まで自慢できるものであります。

これがそのWave of the day。

水深などほとんどないところを、

こうしてパーフェクトにバレルインして、

トリムラインを引き上げながら、

ドギードアからバレルアウトした。

もっと書くと、

セッティングまでには、

この76もあるDFWログがスライドしていた。

それを立て直してのバレルインだから、

一緒にそれを見た瀧朗までもが

「やりますね…」

悔しそうに、

そしてうれしそうにそう言う重さはRVCALOHAハウスに滞在し、

つまりバックドアのJOBやブルース・アイアンズ、

そしてハービー・フレッチャー始皇帝を見ての、

その背景あっての発言だということをここに付け加えておく。

バレルとしては完璧であります。

パイプラインマスターズでも、

ボルコムパイププロでも10点満点が出たことだろう。

さてこちらはフロントサイドの岩盤バレル。

バックサイドも岩盤です。

だから正月の大混雑の中ですら誰もいないのだが、

それがその理由でもある。

ジローくんがぼそりと、

「なんだ、がんばんだなと思いました」

そう言ったときに、

「なんだがんたんだと思いました」

そう法王が応えたのは、

それが元日だったからだ。

浅すぎて吸い込まれるようにバレルとなる。

分厚く、

狭い空間であります。

横に構えたタキビシの視界が、

斜めになっているのがここからも見えるようだ。

完全にバレルイン。

彼はまだ内部をひた走っていることだろう。

その速度に感動している私が映っている。

クローズアウト。

この瞬間、轟音(ごうおん)が内部に反響し、

ごくまれにだが、

打ち消し合って無音となる瞬間がある。

これは以前、

フロウのコラムに書いたことで、

シエィ・ロペスやドノバンたちに聞いてみると、

『ホワイト・サウンド』と呼ぶらしい。

私は精神的にそう感じるのかと思ったのだが、

あまりにも無音状態が完璧だったので、

宇宙空間に突入したのかと思ったほどだった。

そのホワイトサウンドの主は、

タキビシヤスを包みこんで、

まるで生きもののように一度大きく跳ねた。

そしていらないものを吐き出すように、

サーフボードだけスピットアウトされて、

主体であったタキビシヤスが、

文字通り波の中に包まれて、

咀嚼(そしゃく)される瞬間が映っている。

私たちが上がった後もずっと無人だった。

バレルはずっと走り、

波はひっきりなしに来ていた。

だが、

反位相のように50m隣のメインピークは100人くらいが、

あまり来ない波を動かずに待っていた。

駐車している横にやってきたサーファーが、

エンジンをかけたまま降りてきて、

そのメインだけを一瞬見て、

「(波)ないよ、波情報ムカツク」

そう聞こえてきた。

全体主義者たちの叫びであろう。

これは昨日、

正月二日の満潮時の頃のお話。

【巻末注釈リンク*1:タキビシヤスはタキビーシヤスだったこと】

[ウナクネ三部作完結編]スーパー・タキビーシヤスについてのまとめ_(2628文字)

【巻末注釈リンク*2:二郎くんのWave of the dayはこちら】

【二郎のハッピーサーフィン日記】プレクリスマスセッション・ヘバラ編_(3393文字)

【巻末注釈リンク*3:佑麻くんのWave of the dayはこちら】

https://youtu.be/4Ve4_DRuX_4

Yuma Takanuki

Catches the Wave of the Day at Pipeline,

Hawaii on March 25

Happy Surfing!!