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【建国記念三連休特別作品】霊験灼然竜岬_トートゥガナシ_トロちゃんと私のタイムマシン_(3753文字)

Amami Oshima 2019 February

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鎌倉研究所の所長より、

インスタグラムのメッセージがあった。

「ヒロくんの店の先を右に折れ、
お好み焼き屋をまた右に。
海に出たらば、
左に500m歩いてください。
無人浜が出てきたら、
その先端に岬を司っているひとつの岩に立つと、
11時半の方向にリーフの切れ込みがふたつあります。
その切れ込みから見て、10時の方向に波があります」
「潮は?」
「140cm以上の満潮のみでございます」

ちょうど満潮に向かっている潮でありました。

それならばと、

心の中で護摩を焚き、

数珠を押し揉むように行ってみると、

その波はまるで喜ぶ龍のごとく跳ねておりました。

「トートゥガナシ」

そう奄美言葉で「ありがたや」と口から発すると、

なにやら与湾大親を勧請(かんじょう)したようで、

それはそれはのすばらしい波が次々とやってきました。

きっとこの寒波からの北うねりの回り込みだと、

波情報に長けた人なら言うのでしょうが、

この岬を望む与湾大親神社からのお告げは、

「天地心體(てんちしんたい)ひとつのものなり」

そんな真の声がやってきたのであります。

天の五行、地の五行、

そして海の五行が合體(がったい)した波でありました。

『霊験灼然(れいげんいやちこ)竜岬』

と降りてきて、

ふと気づくと、今日は建国記念日。

日本書紀による

『紀元前660年1月1日 (旧暦)に神武天皇が即位された』

という日でした。

明治に入ってからこの1月1日を新暦に換算し、

国民の休日としたとあった。

波とは海の五行説である。

この思想は、
「万物は火・水・木・金・土の五種類の元素からなる」

という説に準ずるもので、

これはいわゆる暦であり、

十干十二支もそうです。

「木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず」

そんな大切なことをこの竜岬から再確認しました。

ご縁にありがとう。

トートゥガナシ。

[建国記念日三連休番外編]

これは先月、1月のことでございます。

私は都内にいて、

その鎌倉研究所所長と会ったり、

ウナクネ心友会会長と食事をしたり、

見えぬスーパーブラッドウルフムーンをインスタグラムなどで見ていた。

普段の移動は車なので、

電車の中はSNS閲覧天国である。

みんな見ているのがうなずける。

少しすると、

キャプテンフィンで、

タイちゃん(タイラー・ウォーレン)デザインの

ツインスタビライザーが完成したとあった。

 

私はこのツインスタビの信者でもあり、

提唱者でもあるので、

このことについてはタイラーと論が合致する。

さて、

都内からトロちゃんことトロ松くんと千葉北、

具体的には地形が良かった一宮海水浴場に行くこととなった。

トロ松くんは、

辣腕編集者として知られ、

ポパイやブルータスのライターも兼ねている。

「レインボーブリッジはすごいね」私

「はい、本当に新東京の象徴です」トロちゃん

「あれが豊洲?」

「そうみたいです」

「あれ、アクアライン使わないの?」

「ぼくはいつも東金を抜けるルートです」

「へー」

「最初にこのルートで行ってからずっとこれです」

「アクアライン早いよ。ETCがあれば800円だし」

「そうなんですね」

そしてややあって、

東金を経由して、

東金九十九里有料道路に入った。

「ぼくこの道好きなんですよ」

「いいよね」

「ニールヤングみたいです」

「トロちゃんのような若い子からニールヤングという言葉を聞くと思わなかった」

「自分はその時代に生きてますんで」

「そうか、うれしいなあ」

「はい。孤独の旅路などは何度聞いても良いです」

「あれは涙が出る。かけようかけよう。

Heart of Gold(ハート・オブ・ゴールド)はすばらしい」

カセットテープをガシャリ。

「同じ。LPもA面の4番目だった」

「そうなんですね」

「だから盤をのせて、その4曲目辺りにナガオカのダイヤモンド針を落とすんだ」

「ナガオカ!さすがです!!佳い時代ですね」

♪ I’ve been in my mind, it’s such a fine line♪

「いいですね〜」

「ここはさ、”細い道筋をたどりながら(自分の)心の中も探求した”と訳し、

今となっては波乗りのラインと、

この人生のラインが重なってまた涙するんだよ」

「——————」

トロちゃんは、

この時代のかすれるような心の裡(うち)までを感ずる人で、

冒頭にあったSNSやインターネットもなかった時代に生きる人であります。

到着すると、

キヨくんがやってきて、

「おはようございます。ミッドレングスかログ波っすね〜」

「本当にそんな波(質)だね」

「ショート(ボード)の人が入っているけど、これじゃ乗れないでしょ」

「誰も乗れていないよ」

「これでログとかでパドルアウトすると露骨に嫌な顔をされるわけですよ」

「そうなんだね」

「ロング禁止というブレイクがあるなら、

ショートボード禁止というブレイクがあってもいいのに」

そんなことをつぶやいていた。

「何に乗るんすか?」

そう聞かれたので、

このボードというか箱を引っ張り出すと、

キヨくんは「ぐびび」とおののいて、

「ちょっとイスミに友だちがいるので呼んできます」

そんなことを言い残して、南下してしまった。

ボックス。

1926年代のボードのレプリカ。

ブライアン・ベントが作ってくれた。

(巻末にこのボックス製作風景ポスト・リンクがございます)

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釘以外は完全木製。

25kgはあるだろうか。

サーフボードというよりはタンスであります。

まずは何度も乗ったことがある私から。

パドルアウトするとトロちゃんが近寄ってきて、

「どうですか?」

「のどが渇いてきた」

「——————」

「ひさしぶりだから乗れるかどうか」

「それで緊張して喉が渇いたのですね」

「そうみたい」

それでも乗ってみると、

ムカシトッタキネズカではないが、

普通に乗れて、

むしろオモシロイほどでありました。

トロちゃんが乗るのは、

1970年代の銘品、

もしかすると最高傑作品かという

『ライトニングボルトby Gerry Lopez “PIPELINER”』。

7’11” x 20-3/8″ x 3-1/4″

シングルフィン

トロちゃんは、

そのジェリー・ロペスのボルトで、

千葉一宮の波をパイプラインのごとく疾走している。

数本乗ると、

ボックス内は空洞なので、

こうして水を出してやる。

ボックスではない、

つまり普通のサーフボードは簡単であり、

便利だと思い知った瞬間でもありました。

波との一体感は最高ですぞ、

もう喉は渇きませんよと、ボルトと交換する。

ついにジェリー・ロペスの霊験灼(れいけんあらた)かな

パイプラインボードに乗ることになりました。

トロちゃんは太古からやってきた

色彩が霞む頃のサーフボード。

調べてみると、

トム・ブレーキが(TOM BLAKE)1926年に誕生させ、

およそ1935年までは主流だとあった。

とすると、

93年も前のデザインとなります。

1926年、

大正15年、昭和元年であります。

川端康成が書いた伊豆の踊子が『文藝時代』に掲載され、

作品内では天城峠のトンネルを『異界への入り口』と仕立て上げた年であります。

他には、

『クマのプーさん』が発表され、

アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』が刊行されたとあった。

そんな時代の波に乗る箱。

トロちゃんは、

「最初は簡単だと思っていましたが、

ナキさんの言う喉が渇く意味がわかりました」

「でしょう」

「はい、半端ではない緊張が体を包みました」

そうして、トロちゃんはその1926年代のボードで、

90数年の時を駆けていたのであります。

「乗れた、乗れました!」

そんな文体で激しく喜ぶトロちゃん。

波に乗る感動はこうでなくてはいけません。

私はそのパイプライナーで、

ボックスと同じ系統の波を滑る。

「その速きことは彗星の如し」

そんな江戸時代のような文体が降りてきたが、

こちらのボードはたかだか昭和元年のものなので、

江戸時代は大げさだが、

池袋の文芸地下で見たチャップリンの無声映画が浮かんだ。

またそこからの昭和の流れで、

前出したニール・ヤングやよしだたくろうのメロディが心に宿った。

大団円で上がってくると、

私たちは93年前とか、

40年前からというタイムマシンから降りてきた時空の旅人であった。

あ、93年前はウエットスーツはなかったか。

大げさに言うのなら、

七代十神が生まれたときに見えた天の高天原に立つ二人でありました。

この後、

ベイシア長生店でカツ丼298円を求め、

一口茶屋前のフードコートで頬張り、

その後、

茂原長南より首都圏中央連絡自動車道(圏央道)に乗り、

ニールヤング景色ではなく、

アクアラインルートに変更して上京する。

そこで見たのは、

トロちゃんのタウンエースが、

クーラー&ヒーター搭載だということだった。

これはラカ法王の御料車、

特製サバットに搭載されているものと同じで、

この時代にこんなエレキテルがあったことに驚く。

なんと冷却は氷まで作成するという。

「トヨタ恐るべし」そう感じながら木更津を過ぎ、

アクアラインを過ぎると、

そこに見たのはシンゴジラか、

時空を越えてやってきた新たなるタイムマシンだった。

こんな建国記念日のポストでした。

Happy Surfing!!

【ブライアン・ベントのボックス製作顛末】

【特大号】_新南南西うねり_AVISOプレミアムでのバックサイド_コールとライアン_ユナイテッドフィフティのアート力_ロボとレッキンボール_インスタグラム_ブラ師匠の8フィートボックス製作記_(4517文字)