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naki's blog

【京都特大号】朱雀門の鬼たち_京都酒蔵館_城陽酒造_東寺_晴明神社_(3177文字)

Tyler Warren 1973 Bonzer 6’4″

Amami Oshima

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夢を見ていた。

.

大きくてフェイスがどこまでも広い波だった。

その波にするするとテイクオフすると、

ずっと永く波に乗れて、

さらにどこまでも続き、

疲れ果てるほど乗ると、

上に螺旋状に昇るように乗ることができた。

〜〜この間に何かあったのだが思い出せず〜〜

波に乗りながら雲の上まで昇っていくと、

視界が突然開けて、

朱色の朱雀門(すざくもん)が出てきた。

波に乗りながらピアのように朱雀門をくぐると、

波がなくなり、水が引いていった。

そして青い鬼と緑の鬼が出てきた。

鬼たちは、

低い声で口を揃えて、

「お前の来るところではない」

「お前の来るところではない」

それだけを何度も言う。

周りにもたくさんの色の鬼がたくさんいて、

「お前の来るところではない」

こちらを向くとそう言ってくる。

何やらやたらと恐ろしいのだが、

なぜか逃げ出したくはなく、

そこにボードを持ったまま立っていると、

「応天門だけは通してやる」

そう言われた。

朱色と緑の応天門は、

横にいる鬼の色と同じで、

不思議だと思いながら、

その門の色と鬼の肌を比べていると、

大極殿の前で水が入った椀が出てきて、

赤い方の鬼がこれを飲めと言う。

それを飲んでみると、

信じられないほど美酒で、

「うまいうまい」と赤い鬼に言うと、

「お前の飲むものではない」

そう言う。

どうしたものかと思案に暮れていると、

朝陽がやってきて、

鬼たちは一人残らずいなくなってしまった。

.

そこで目が覚めた。

京都橘屋万寿寺亭の部屋の中だった。

興味深い内容だったので、

忘れないようにとこれを書いたところ。

ということで京都にいる。

今回は京都酒蔵館の撮影と、

そこにまつわる酒蔵を回って、

京都の日本酒についてを表現するというお題であります。

これは京都酒蔵館のエースである

「京都酒蔵きき酒セット15種」の

北中部、南部の各15蔵の銘酒。

合計30種の各酒蔵の作品群。

それぞれの杜氏や蔵人たちが丹精込めて、

心と人生を入れて醸造したものを地域に分けて15種、

または合わせると30種飲めるセット。

北は京丹後から南は城陽まで、

超味覚とされる橘未知夫さんが選び抜いた京都全域の蔵元の日本酒群。

(京都には酒蔵が44あると聞いた)

京都は古都でもあるので、

早咲きのソメイヨシノがなぜかあり、

少し早い花見酒となって夜は更ける。

一夜明けると、

京都は快晴となった。

橘未知夫さん(手前)は、

橘逸勢(たちばな の はやなり)の生まれ変わりとされているのだが、

私たち仲間の間ではラッコ旦那と呼ばれている。

波乗り世界は厳しいのだ。

彼の案内で、

最南端の酒蔵から行きましょう。

そんなことになった。

「行きましょう」

「行こう」

これではまるで陰陽師内の安倍晴明と、

源 博雅(みなもと の ひろまさ)たちのセリフだが、

本当にそんなことになったのがおもしろい。

さすが京都。

高速道路を経て、

城陽市奈島の、

奈良街道沿いにそれは見事な「しだれ梅」を見た。

これも陰陽師の世界であると、

うっとりとしていると、

ここが京都最南端の酒蔵だという。

京都南部で唯一の造り酒屋

『城陽酒造』さん。

明治28年(1895)創業の老舗酒蔵さん。

「ここはですね。

木津川の伏流水を使った「純米大吟醸 城陽」や、

青谷梅林で栽培された「城州白」のみを使用し、

添加物を一切使用せず、

三年以上という長期熟成をした濃厚な純梅酒で知られています」

とは、前出のラッコ旦那(橘さん)。

そのラッコ旦那と城陽酒造の大野さんとの語らいは、

今年の大吟醸の出来であり、

原料である山田錦のことであるらしかった。

酒蔵見学となり、

ふたりは今年最後というモロミが入ったタンクに行き、

その出来を話し込んでいた。

これがそのモロミ。

もろみは醪と書き、

発酵中の液体のことだという。

酒母(しゅぼ)、

麹(こうじ)、

蒸米(むしまい)、

そして仕込み水だけで構成されていて、

これらが発酵して日本酒となる。

なので、もろみは「日本酒になる前段階」のものだろう。

このもろみに圧力をかけ、

細かい目のフィルターで漉すと日本酒となる。

その漉したばかりの大吟醸を試飲することになった。

ラッコ旦那は、

「ナキさん、超ラッキーです。

これを飲める機会はそうそうありません」

そう言う。

大野さんは、

「これを摂氏5度で保存し、

瓶詰めして、加熱殺菌したものが製品になります」

そうことになっているらしい。

加熱前なので酵素や酵母が生きていて、

フルーティーな香りがあり、

ふくよかで、キレのあるお味ですと伝えると、

ラッコ旦那は「さすがです」と言い、

大野さんとうれしそうにしていた。

それから、

「梅酒を漬けた後の梅があるから持っていってください」

となって、

その桶に行くと、

梅酒の香りがあたりに充満していた。

うわー!

すごい!

梅酒になった後の梅が、

こんな大量にあるのを初めて見た。

一粒いただくと、

銘品で知られる城州白梅と、

城陽酒造の日本酒が交ざり、

渾然一体となった美しい純梅酒の風味だった。

「この底に残っている梅酒がまたおいしいんですよ〜」

そんな隠れた逸品をいただいた城陽酒造さんでした。

そのまま次の酒蔵に行くのかと思っていたら、

ラッコ旦那号は五重の塔がある駐車場に入っていく。

空海好きとなった私を東寺に案内してくれると言う。

残念ながら仏像の多くは、

この東京国立博物館で26日から開催される特別展に向かっていて、

ここにはないという。

「すいません〜」

ラッコ旦那はそう言うが、

私のお目当ては金剛界曼荼羅図と、

胎蔵界曼荼羅図なので、

精密に復刻した約1mx1mの複製があるというので、

その前で長い時間をかけて閲覧していると、

ラッコ旦那が

「ナキさん、両界曼荼羅図の位置とか記憶しようとしていませんか?」

「あれ、わかっちゃった?」

「そんなことをしなくてもそこにポスターとか売ってますんで、両界曼荼羅図が買えますよ」

「え!」

「そうみたいです。1700円でした」

「そーだったのか!」

そんな顛末でした。

金剛界曼荼羅図。

(Wikipediaより)

胎蔵界曼荼羅図。

(Wikipediaより)

梅と五重の塔。

それから、

「次は安倍晴明好きのナキさんにとっておきの場所があるんですよ」

「なんだろう?古本屋さん?」

「違います。すぐですのでお待ちください」

うぉ!晴明神社!

「そうなんですよ。安倍晴明が祀られています」

「すごい!」

「ここは陰陽師の作品内でご存じの一条戻橋のたもとでして、

その安倍晴明の屋敷跡がここなんですよ」

「ならば博雅とゆらゆら飲んでいたのがここなんだ」

「そのようです」

「むう——」

狛犬もなんだか物語内に出てくるような顔立ち。

五芒星(晴明紋)があちこちに。

安倍晴明像。

ふむふむ。

晴明神社の龍。

後ろには晴明井という井戸が見える。

ここから湧く水は晴明水と呼ばれ、

陰陽道の霊力より湧き出たといわれている。

無病息災のご利益があり、

千利休がここから汲んだ水を沸かし、

茶の湯として利用し、

さらには豊臣秀吉もその茶を服されたと伝えられている。

なんだかすごい水です。

これでコーヒーか、

前出の梅酒を割ったらすごそう。

夜はまた京都酒蔵館に戻り、

夜景と、

お料理写真の数々を撮った。

春の刺身5種盛り。

美しい。

日本の美。

京都の宝石。

今回お世話になった酒蔵館の主要メンバー。

左から今日の主役ラッコ旦那こと橘未知夫さん、

料理長の長山さん、

ソムリエ&部長の羅久井(らくい)さん、

そして広報部SVの山本美幸さん。

ありがとうございました!

【巻末リンク:夏の京都酒蔵館】

圓光寺_京都酒蔵館の衝撃_(1935文字)

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