Amamian Backdoor, Amami Oshima
.
アマミアン・バックドア。
私はこの波に魅せられている。
ここでサーフし、
潜り、
干潮時にリーフの位置を確かめ、
グーグルの航空写真を見て、
さらには優人くんが撮ったドローンショットでも研究している。
現在までわかっているのは以下のこと。
こちらは随時改訂、
または加筆修正をしていきます。
こんな解析をすると、
——例によって——
「混んでしまう」
「混んでしまいます」
そんな近代ならではの懸念もあるのだが、
ここは『バックドア』という冠が付いているほどの波で、
すなわち、激浅地区によって手足ズタズタ、
または「額のキズはバックドア」ということにもなる聖域でもある。
簡単に言うと強烈な波である。
ここはボードをまっぷたつにしたり、
3つだったりバラバラに破壊する大山倍達の全盛期の手刀並の威力、
または神話ライオンのような激速前肢リップが降ってくる。
よって、
オフザウォール(OTW)あたりでひょいと乗れる達人クラスでないと、
この波には乗れないと断言できる。
「バックドア(本家=ノースショア)は腰くらいでもブレイクしますか?」
そんなことを聞くが、
それは浅いサーフスポットなのでもちろんブレイクするが、
波サイズによって猫とライオンくらい波質が変化し、
ひとたび爆弾低気圧だったり台風の太く、強いうねりが入ると、
野獣だったり、または魔獣、
さらには前出した神話世界の波となる。
よって、波が上がれば決して混雑しない。
さて、アマミアン・バックドア波質の詳細。
岸から80m沖程度行くと突然深くなる。
そして沖合いには、
右から左に流れる黒潮。
黒潮は世界二大海流の一つであるが、
これに並走するように対馬海流も流れている。
対馬海流は「対馬暖流」とも呼ばれる海流で、
九州西方沖にある温かい黒潮水塊が、
対馬海峡を通り日本海に流入する暖流。
このふたつの複雑かつしっかりとした海流と、
多様多種なリーフ=岩礁のミックスがこのバックドア域の特徴であります。
さて、
この銘波の下に沈むその岩礁(リーフ)だが、
黒い溶岩のようなものに姿を変えたゴジラがインサイドに沈んでいるような、
までる化石を散らしたような岩が数百箇所も突き出ている。
この隆起を調べてみると、
古生代のジュラ紀(約1億9960万年〜約1億4550万年前)
〜白亜紀(約1億4500万年前から6600万年前)
にかけて形成された基盤岩類だとあった。
そんな昔からのリーフ群。
ただ、
インサイドはギザギザだけど、
沖のブレイク近辺は、
3Dウエッジと同様の一枚リーフが重なり合いながら拡がっていて、
さらには沖に向かって礁段丘となっている。
リーフの形を上から見るとこんな形をしていて、
青い部分が浅く、
白い箇所は急深となっていて、
この際、またはリーフの上に砂が付いていたり、
いなかったり。
オレンジで囲んだ箇所がバックドア。
有効うねりは主に3種類。
170°の南うねり以南は、
開いていく波質。
つまり「波面が陸と平行」というのを標準とすると、
乗っていてフェイス、
波面が沖側に向くのを「開く」と表現している。
開くと、たいていの波は弱くなる。
よって、
そこまでのバレル(チューブにならない)。
ただこれはサイズにもよるので断言レベルではない。
次にリーフの基調線と同期する南南東150°。
これは波サイズにもよるが、
うねり角度としては最良最大のバレルを創り出す。
そして東からの回り込みのうねりは明神崎によって、
角度を南南東135°程度に替えてラップ(巻き込む)してくる。
これが寄る波質となり、
頭からオーバーヘッド程度の小サイズならば極上のものとなる。
(「寄る」というのは、「開く」の反義語で、
波が陸と平行よりも内側に曲がってくるという波質)
とにかくここに必要なのは、
長周期の南から南南東うねり(SSEスウェル)。
長周期というのは、
うねりとうねりの間隔が広く、
同じ高さの長い幅を持つうねりのこと。
ビーチブレイクだと、
ダンパーとかクローズアウトという波質が最も良いです。
これは上記したように猛烈な台風や、
少し沖を抜けた爆弾低気圧などがこの長周期のうねりとなり、
それは各々(おのおの)伝説の基となる。
沖にある岩礁や左右の岬から各うねり群は屈折する。
よって、単方向からだけのうねりというのも存在しない。
なので、
重なり合うウエッジ系のピークを形成するのがここの真骨頂で、
ときに感動的なほどのバレル波となる。
さて、
屈折でも正面からでもしっかりとしたうねりが、
バックドアリーフの理想的なSSEラインに乗ると、
うねりは増幅し、
深みから浅瀬による押し出しによって揺れながら、
交差、合致したピーク(ウエッジ)を作り出す。
理想的な風向きは北西320°前後。
ある程度強くても小さな崖、
そして後方には小山があるのでオフショアを弱める。
潮位はオーバーヘッドまでなら満潮140cm前後、
それ以上の波ならどの潮でも良い。
ただ激烈な流れと、岩群に注意すること。
頭を打つのでワイプアウト時は必ず頭をカバーすること。
以上、波詳細の研究報告でした。
バックドアの波に乗る筆者。
キャッチサーフ、
スキッパーフィッシュ6’0″でのレイトドロップ。
Great Waves.
浅瀬奥。
Happy Surfing!!
◎