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【サーフィン研究所渾身号】紅葉とオンダゲン_(1206文字)

このページは、

波情報の役割を果たすときもあるし、

そうではなく私の記憶庫として機能することもある。

本日は後者だ。

Cosmos Surfboards The Glider 9’8”

.

長いグライダーというボードに乗るようになったのは、

カルちゃんのおかげだと先週ここに書いた。

我楽多文庫というものを目にした。

創刊が明治18年(1885)とあったので、

いまから138年も前の文学誌だ。

私はメディアから文章を依頼されることがある。

内容はさまざまなのだが、

本当に書きたいことは読者がいる以上書けない。

たとえば、

「一般誌にニッチ(隙間、特徴的)なことは書かない」

これを説明すると、

つまり雑誌を手にした人(読者)のなかで、

サーフィンを知りたいのは何%だろうか。

サーフィン好きのなかで文章を読む人は?

そして、

読むことが好きな人と狭まっていく。

例えばこのブログの読者の多くは、

「サーフィンが大好きで、文章を好む」

人だけを相手にしているのだから、

もうこれ以上狭められない。

今日は138年前の文体について書きたいのだが、

すると、

もはや読んでいる確率は1%にも満たないとわかる。

これは大瀧詠一さんのオンダゲンこと、

『LET’S ONDO AGAIN』

(レッツ・オンド・アゲン、1978)

的であることは明らかだろう。

オンダゲンがわからない人は、

巻末にある楽曲を聴いて理解できるような仕立てとした。

よし、

もう誰も読んでいないと確信し(たぶんタキビ神だけ)筆を進めると、

尾崎紅葉の文章に立ち止まったのである。

元日快晴、
二日快晴、
三日快晴と記されたる日記をけがして、
この黄昏より凩(こがらし)がそよぎ(風が吹く音のこと)いでぬ。

この名文が100年も前に存在していることに驚き、

のみならず魅せられ、

これを数夜かけて解体して解釈し、

またさらにそれを違うフィルターで読んでいた。

尾崎紅葉のことを

「洋装せる元禄文学」

と言ったのは国木田独歩(くにきだ どっぽ)だが、

明治文学は入り組んでいる。

先人たちは138年後にやってくるAI時代に、

活字を楽しむ人がいると思ったかどうかはわからないが、

字数も増えてしまってもうしわけないと書くのはもう誰も読んでいないので句点も句読点も必要ないと思ったのだ。

たまにこんなことになるのは、

文章へのフラストレーションだと思う。

リリー・フランキーさんの文体にロケンロールを知り、

村上春樹さんの精緻さに慟哭をおぼえる。

昔に戻ることで、

私はAIではないと声を上げているのもしれなかった。

そんなこんなで玉前神社に行くと、

あまりにも紅葉がきれいだったので、

そのまま山側まで行くと、

視界はこんなことになっていた。

季節は進んでいた。

【巻末リンク:グライダーの恩人】

【サーフィン研究所】新世界グライダーと恩人カルちゃんの開運_新作オルタナ・サーフワックスとハイジマさん_(1138文字)

【巻末リンク*2:オンダゲンについて】

Happy Surfing and Happy Lifestyles!!