波が上がる予感はあった。
なぜなら冬型の気圧配置が続いていて、
この均衡が破れると、
反位相、つまり逆向きの風が吹く、
吹けば波が出る。
季節は春。
ということは、
吹くとすると、
かなりの風になるだろう。
Shimoda, Izu, Japan
.
あまり風が吹くと桜が散ってしまうのが心配だったが、
まだ9分咲き、
すなわち100%に向かっていく花弁だったので、
そこは気にしないで良さそうだった。
ちなみに伊豆に到着したときは、
まだ桜は咲いておらず、
この8日間でここまで開花するとは。
春の魔法。
はたして南南東風は吹き、
波は一晩で上がった。
風が創った海の使いである波。
昨日まではささやかだったのに、
今日は力強く、瞬速だった。
いつか書いた刹那の瞬間というのを、
波先が海面に炸裂するときに伝えるほどだった。
こういう日は、
普通のボードだと折れてしまうだろうから、
キャッチサーフで、
スキッパーフィッシュでというのは、
奄美からの日常。
Wari-Ishi, Shimoda, Izu
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今村厚プロをして、
「あそこは難しいです」と言わしめ、
鈴木直人プロをして、
「すごい波立つよ」という。
土屋高広さんに聞いてみると、
「干潮が良いよ。満潮だと短い」と、
オンザビーチ大浜ビーチ店で、
プレートランチをお盆からテーブルに置きながらそう言った。
その御三家の伝える通り、
難しいのと、満潮ですごい波だった。
何が難しいのかというと、
奄美バックドア同様、波離れが悪い。
具体的に書くと、
テイクオフのとき、
頃合いまで来るとボードは降下を始めるのだが、
ここでは波先に抵抗があり、
まるで掴まれているかのように降下しないのだ。
すると
!!
となる。
ご存じこういう波質ですから、
それがコンマ1秒でさえ刻々と変化している。
そして掴まれたまま降下を始めるのだが、
そのときには波は自分が想像している姿でなく、
畏怖の視界を伝えてくるだろう。
それでも初志貫徹です。
基本漕ぎ始めたら止めてはいけない世界です。
そのくらいの決意と勢いがないと乗れない波。
そんな瞬間を感じられて、
サーファーとして大きな旅だったと思える。
新月には天の川銀河が見えた。
とても寒い夜でした。
これを撮ったのが深夜3時で、
気温5度、
風速11m、
湿度54%
そうなると、
体感温度がマイナス9度となるらしい寒い砂浜。
もちろん誰もいない。
誰もやって来ない。
宇宙を感じるには最高のセッティングだった。(笑)
太郎くんと二郎くん。
本日、
五年生と二年生となったふたり。
「技巧派太郎と勇気力二郎」
そんなキャッチコピーを得た。
それぞれの個性を活かして、
仲良く、
楽しく、
真剣にこの令和という時代を生きてください。
元号が変わるというのは、
平成のときはそこまで感じなかったけど、
いまはなかなか感じ深いものがある。
寒く、
永い夜を通過したら夜が明けた。
なんと、
海面から湯気が上がっていた。
波打ち際で湯気を立てているのは見たことがあるが、
こうして海全体に出ているのは初めて見た。
虹色にも見えて、ただただ感動。
この後、
吉佐美の名店リアルサーフさんに行って、
この海湯気光景のことを話した。
すると、
オーナープロの鈴木直人さんが、
「それはさ、ケアラシって言うんだよ」
そう言う。
レジにいた松山ケイくんが、
「はい、気嵐と書きます」
漢字表記を教えてくれた。
伊豆ではナライ(東風)もそうだけど、
こうして現象が言葉になっているのがすごい。
この波が割石(ワリイシ)。
このサイズでこれだけの威力なのだから、
サイズを上げたら軽く大岩を波で砕いたことだろう。
それを見た人はどれほど驚いただろうか。
(実際に聞いたのは、大波で大岩を崖の上に持ち上げて割った)
ここは南海に突き出ているだけあり、
大自然に満ちあふれています。
奄美大島同様に伝説や奇譚に富んだ地です。
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ナッキーも勇敢でした。
これだけ水深の浅いブレイクでサーフするのは、
ウルワツ以来だろう。
敢闘賞授賞波をここに。
Happy Surfing!!
◎