五輪書 浪の巻
波乗法というものは、
海人家の法である。
達人たる者はとりわけこの法を行い、
入門したる者もこの道を知るべきことである。
今、世の中に、
波乗法の道をしかと弁えているという達人がいない。
他には道がたくさん示されている、
まずは、
仏法として人を助ける道。
儒道として文の道を正しきものにし、
医者は諸病を治す道があり、
和歌の道を教える歌道者。
あるいは数寄者、
弓法者、
その他として諸芸までも、
思い思いに稽古ならびに鍛錬し、
各々心を寄せるものである。
だが、
波乗法の道には心を寄せる人が稀である。
青龍寺奥の院、烏天狗近影
.
(原文)
浪乗法と云事海家の法也
逸たる者はとりわき此法を行なひ
卒たる者も此道を知るべき事なり
今世の中に浪乗法の道慥に弁まへたるといふ武士なし
先道を顕して有は仏法として人をたすくる道
又儒道として文の道を糾し医者といひて諸病を治する道
或は歌道者とて和歌の道ををしへ或は数寄者
弓法者 其外諸芸諸能までも
思ひ思ひに稽古しこころこころにすくものなり
浪乗法の道にはすく人まれ也
「青龍寺の上に守護龍が出る」
ここで何度も書いてきているけど、
またもや出た。
この巨大な龍頭部は、
朝陽の雲と共に出て、
夢の記憶のように散っていった。
Catch Surf Skipper Fish 6’0″
Nakisurf Original Twin
.
波高30cmで、
間隔が10秒あれば、美しくブレイクする。
ふわりと乗って、波に包まれる。
そんな地形。
けれど、
あまりにも小さく、
チューブかそうでないかと言えば、
薄い故にわからなくなるようなはかない波だった。
現実のことだ。
後ろでテッペイさんが見ていた。
この後、
テッペイさんからサーフィンについての質問をされた。
「バックサイドでテイクオフのとき、
フィンが抜けてしまうのは、前足を踏みすぎなのかな?」
さすが、
ブルードラゴンのサーファーならではの問いです。
なぜなら急斜面でないと、
テイクオフでフィンが抜けるほどのシチュエーションにならない。
そしてここまで攻めるテッペイさんが見えた。
ちなみに彼は、
高知からジェフリーズ・ベイまでサーフしに行くほどのサーフマニアです。
私からの返答は、
大きく分けて2つ、
バラバラしたものでした。
1.フィンは抜けてもレイルが入っていれば大丈夫です。
(レイル加重、接着すれば、フィンの有り無しはあまり問われない)
2.波の下に落としていないから、テイクオフした際には、
切り立ちすぎているのかもしれない。
(フィン面積とテイルロッカーの限界値を超えてしまった)
とにかく、
前に前へとパドルでボードを波の前に押し出して、
滑り始めて波の下に入ったら、
ボトムまで落ちていく間に
レイルを限界値(接着、加圧)まで切れこませます。
加圧がマックスとなれば減速完了。
この瞬間は、
波の上で無重力というか、
無動状態に感じられるでしょう。
そこからリリース(抜重)すれば、
バックサイドのテイクオフ編は修了する。
だけど、
机上、頭の中ではそうわかっているのだが、
身体がついてこない、
精神的に視界の畏怖によって、
筋肉が硬直して思ったように動かなくなる。
それを避けるために鍛錬し、
心=イメージトレーニングするのです。
崖の上に立ったとき波を想像し、
壁があれば、波壁だと思い込んで滑る。
加圧する等々。
セクションが速く(長い)場合は、
リリースと加圧のバランスが最速となり、
セクションが短いときは、
加圧を続け、
失速気味でチューブの中に残る。
レイルが入っていないと、
フィンも有効でなくなるので、
波に入った内側のレイルと、
つかんだ外側を波に切れこませるようにしてください。
そんなようなことをお伝えした。
Blue誌巻頭コラム、
最終入稿を果たしました。
トム・カレンのこと、
デビッド・ヌイーヴァのこと、
そして夢で見た波とマリオ・ブラザーズについて書きました。
3月10日発売です。
その頃には、
季節はしっかりと春の中に入っているのだろう。
とすると、
10日は朝3時に満月をむかえる日でもある。
この月が新しくなって、
そして満ちるまで何ができるか、
何が起きるのか。
その日は晴れて、月が見えるのか。
Happy Surfing!!
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