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naki's blog

【サーフィン研究所】NALU誌コラム『ルールよりもマナー』_(1774文字)

Catch Surf® Skipper Fish Ⅵ 6’0″

Nakisurf Original Twin + Vektor VMK

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奄美大島のサーフ・ブレイクはシャープなリーフで、

不変なるピークと性質を持ち、

深み=チャンネルも同様だった。

うねりの向きによって、

ピークが数メートル程度ずれるだけ。

とにかく正確な波だ。

なので、

バレルメイクへは『山立て』という方法を使い、

手前の木々と、

稜線を重ねながら自身の位置を求め、

そこからテイクオフしては、

波のことを修正しつつ学習していく。

ここで私よりも年上であろうグッド・サーファー氏と出会った。

氏の波乗り技術はもちろんだが、

ピーク周りでは誰かが良い位置からパドルすると、

氏はストンとパドルを止める。

波が見えている。

セクションが読めている。

彼とのセッションが楽しい。

話しかけてみると、

ニュージーランド出身であるという。

人生のほとんどをサーフすることに費やし、

シェイパーでもあり、

58歳だという。

そんな彼とのセッションが8回目のときのことだ。

波サイズは腰くらい。

満潮時にサーフしていると、

サーファー三人組が登場した。

普段は見ないし、

飛行機の時間を確認しているのが聞こえてきたので、

きっとゲストで、

その告げた時間から推測するに長い時間サーフしないのだともわかった。

有名ブランドのサーフボード、

長中短と一揃え。

きっとこのサーフ・トリップ用に新調した最新ボードだと思われ微笑ましい。

だが波が来ると、

その見え方が一変した。

良い波がやってきて、

ずっと待っていた私がパドリングをはじめると、

なんとその三人が横で漕ぎ出したのだ!

しかもまるで競争のように猛烈に脇目も振らずに漕いでいる。

前述したが、

ここはリーフ・ブレイクなので

「そこで波は崩れない」

とわかる場所であっても各人は猛烈に漕いでいた。

これは完全にマナー違反であるが、

本人たちは乗れないだけだと、

そして立ち上がらなければルール違反ではないと思い込んでいて、

まったく悪気もない。

それまでは、ジェントルマン氏と二人でクリーン・サーフしていたので、

波上部に出現する必死な顔を見て、

氏と顔を見合わせて苦笑いをしてしまった。

とにかく乗れないのは、

自分のパドリングが遅いだけだと、

または有名ブランドのボードのせいかもしれないと、

波の位置とかピークということは一切考えないというか、

まったくもって理解せず、

サーファーとしての協奏セッションにならないまま、

彼らは飛行機の時間が来たと言って、

まったく乗れずに上がっていってしまった。

「あの人たちは何も持たずにサーフ・トリップに来て、何も得ないで帰リマス」

氏のそんな英語表現が耳に残った。

成長するサーファーは「素直さ」と「謙虚さ」を持っている。

人のサーフィンを見て、

自分のレベルを上げるのも、

その人の素質の一部だろう。

自分のやり方でチャレンジする「下地」も大切だが、

まずは「謙虚な気持ち」を持って「純粋」に人のサーフィンを見る。

すると、

「同じ場所で波を待っているぞ」とか、

「ここが深いからこの脇から乗ればいいのだ」

ということがたちまちわかるはずだ。

もしわからなくとも、

洞察しようとすれば、

次回その結果に近づいていく。

または他の状況を知ることができるだろう。

混雑するブレイクでおぼえた「ルール&マナー」と、

人のサーフィンを見ない「頑固さ」を履き違えてはいけない。

これはサーファーとして世界共通言語だ。

多くの人のサーフィン力が上がり、

高いレベルのサーフセッションがしたいと互いに願っている。

次回はヨーイドンではなく、

波の良い場所がわかり、

少しでも良い位置から、

しかも波に乗る順序というのを知り、

その重みを持ってテイクオフする姿を期待している。

サーフィンというのは技術的なこと、

または道具ということではなく、

波に乗ることによってこころを満たすものだと思う。

なのでHOW TO通りにやらないことも重要だ。

サーフィン好きが高じて道具好きとなるのはいいのだが、

その結果、

冒頭のようにマナーを学ばず、

または技術優先となり、

本人はもちろん、

周りも楽しめない本末転倒派となってしまうのだろう。

(NALU誌2021年4月号掲載。加筆済み)

【巻末リンク:冒頭のスキッパーフィッシュ2022について】

【サーフィン研究所感動紹介号】スキッパーフィッシュ X NAKISURFスペシャル_(1809文字)