新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

【サーフィン研究所特大号】コスモス・サーフボード_エンスー100年ストーリー_(2088文字)

Photo by @supertakibishiyasu

.

南岸低気圧が抜けていった。

各地から良波到来の便りがあった。

水温もいくばくかは温み、

冬という季節は越えたような感覚を得た。

マリエルに行くと、

日本のサーフ界では始祖であり、

エルビス・プレスリーか、

ビートルズと例えられる川井幹雄さんがサーフされていた。

川井さんこと、

ミッキー師には、

このリーフブレイクが発見されたころのことを伺った。

「あの山の上に車を停めてね、

ブレイクまで降りていったよ〜。

竹林の中にボードを隠していたんだよな、

誰が使っても良かったんだよね〜」

などと教えてくださった。

当時は大きく、

重いボードだっただろう。

みんなでぞろぞろと崖の下まで降りてきて、

竹林の奥に

「あったあった」と川井さんのボードを見つけ、

楽しそうにサーフするお顔が浮かんだ。

ノート(記録):

タキビ神、

父ちゃんと母ちゃん、

マグやん、

ロレックス松本さんたちにもここでお会いした。

閑話休題。

コスモス・サーフボードのことで、

前田博士のエンスーラボに行ってきた。

日夜活動される博士は、

さまざまな仮定による研究結果があり、

*エンスーなことをいろいろと聞けて、

私的にはすばらしい日になった。

*Enthusiast (*エンスー・~に熱中する人)

このことをまとめて専門誌に発表するぞと意気込んでいるが、

NALU、

サーフマガジン、

そしてcyxborg(最防具)までもが休刊している。

誰かがこれを読んでくれると信じて書き進める。

博士と話したことをここに全て書きたいが、

そんなことをすると、

また膨大な話となるので、

一つだけのエピソードをここで。

博士は、

種類の異なるクロスを重ねている。

これはこれまでもあったアプローチだけど、

博士は、

「重ねる順によって、

そして重なり端の位置で、

サーフボードの強度と硬度が変わることがわかりました」

そう教えてくれた。

これは机上論ではなく、

ボードを使いまくっているユーザーたち(私も含)のフィードバックもあるので、

その説得力は絶大だ。

たとえばこんなことをおっしゃった。

「Sクロスは軽く、高い硬度です。

よって剛性があります」

はい、

なので反発がありすぎて、

張り詰めたときに弱いと聞きます。

「はい、そのようです。

Eクロスは、

硬度はSほどではありませんが、

その代わりによくしなります」

私もそう思います。

「クロス関係では新作があります。

バイ・アクセル・クロスです。

これは先進系のEPSフォームボードで使用され、

実績を作ったもので、

縦横に加えて斜め方向にも強いクロスです。

これをEかS、

またはVに対して、

直角となるようにしっかりと重ねて、

それぞれグラッシングします」

そんなことになっていた。

やはり博士ならではのマニア度だ。

加えて、

任意の温度と湿度で、

長時間かけてゆっくりと硬化させていく。

大手サーフボード工場でこんなことは絶対にやらない。

だってこれでは生産効率が著しく悪いので、

大量に入った注文ボードをさばききれないのだ。

けれど、

博士はワンマン・ファクトリーだ。

逆に即硬化すると、

ほかの作業ができないので困ってしまうだろう。

理にかなっている。

ほかの作業とは、

シェイプだったり、

サンディングやフィン関係であり、

ホットコートも修理も含んでいるので、

まさに真性多忙である。

前田博士は、

ドナルド・タカヤマ系譜を継いだ未明の作業者であり、

果てぬ作業予定を抱えている。

「半世紀使えるサーフボード」

しかも半世紀前のデザインで。

すると、

100年後のサーファーたちに、

この1970年頃の

『ショートボード・レボリューション』の息吹きや、

気概が伝わるはずだ。

前田博士を知ってからというもの、

その歴史的ボードを解体し、

それを上記したグラッシングで、

樹脂とクロスをボードの上に重ねていく。

しかも硬化にはおそろしく気を使って仕上げていく。

ただ欠点はある。

大きな欠点は、

上記したようにボード作成は牛歩の歩みだということだ。

牛歩というのは、

「遅い」という意味だ。

しかも責任完成である。

単数での制作を善しとしているので、

完成まで日数がかかる。

けれど、

永年使えるサーフボードが届くのなら私は待てる。

なぜなら今までずっとそうしていたからだ。

Cosmos Surfboards

TheOne (旧モデル名: The Mid-length 2+1)

6’8″x 19-5/8″ x 2-1/2″

Nakisurf Original Twin-Fins

.

私は博士のサーフボードを10本以上所有しているが、

いまだに一本たりとも折っていない。

のみならず、

大きな修理をしたことすらない。

先日、

NAKISURFのミーティングで、

「あれだけの期間、

あんな波に乗ってそれはすごいですね」

しばしそんな話題となった。

コスモス・サーフボードの骨格はそんなところにあります。

【巻末リンク:書き下ろしのフィッシュ・ストーリー】

【サーフィン研究所:立春特大号】コスモス・サーフボード『サンディエゴ・フィッシュ』本当の歴史_(3088文字)

【巻末リンク*2:エンスー方面】

【サーフィン研究所】マニア&高濃度エンスー博士と日曜日『プロローグ』_昭和55年のゲームとは?_(694文字)

【巻末リンク*3:エンスー指向】

【サーフィン研究所】イリエの光る波_パイプラインのエンスーラボ_(1116文字)

Happy Surfing and  Happy Lifestyles!!