少し前の画像だが、
TheOne68が写っている。
このボードデザインの元々は、
タイラー・ウォーレンが、
「無人島に持っていく一本」
そんなお題で作った65だった。
果たしてそれはマジックボードとなり、
各地ですばらしい波を得た。
唯一の失敗としては、
6フィート台のボードでタイラーが、
軽いものを好むことに迎合して、
4ozS+Eという薄いグラッシングで製作してしまったことだ。
そのカウンターでというか、
使用感と老朽化が進み、
将来を考えると、
次のボードを作っておいた方が良いとなった。
そんなとき前田博士のエンスージアストの高度な度合いを知り、
この2+1の複製をお願いしてみた。
すると、
——たいていのシェイパーは複製なんかとても嫌がるのに——
いつもの笑顔で、
「いいですよ!まったく同じでいいですか?」
そんなことになった。
「同一か」
思案を巡らせると、
ジェフリーズやブルードラゴンのたいていは、
「もう少しレングスがあれば」
セッション中にそんなことを考えていたことを思い出した。
そこで、
3インチ長くして「68で」ということになり、
完成したのがこのTheOneだ。
乗ってみると、
2+1の複製だというのに65のマジックを悠々と凌駕してしまった。
のみならず、
「折れないように」
というバイアクセル45度角のエンスー・グラッシングの重量感が絶妙で、
瞬時に私の大切なマジックボードとなり、
各地の波に対峙させた。
大師範のダニー・メルハドをして、
「このシェイプいいね。誰?」
そんなときには、
博士のうれしそうなお顔を思い出していた。
やがて、
さらなる波、
つまり自身にとって極限的な波に際して、
レングスを短くして64を作った。
なんとこれが、
「生涯で一番のマジックボード」となり、
50歳代となって、
人生一番のサーフボードに乗ることになった。
それからはしばし波乗りに狂い、
各地の名作波を得た。
よく考えると、
これら68(203cm)と64(193cm)は、
上記したように2+1の複製であったはずだ。
だが実際には、
博士のマジック・タッチというか、
卓越したモディファイによっての啓示があり、
別物というか時代が変わったといえるほどの感覚だった。
で、
2+1でなく、
きちんと命名しようとなった。
瞬時に浮かんだのは当初のテーマ
『TheOne(これ一本)』ということで、
それがそのままモデル名になった。
冒頭の画像から始まって、
そんないろいろを思い出した。
そしてこのTheOneは、
石器ではないが各地の友人たちに伝わった。
上はチュラさんこと、
ベンチュラ・セイジの「かんたん波」だ。
@shacho_house
.
これはシャッチョハウスの偉容というか、
マジックボードが持つ縁(えにし)が映り込んでいる。
シャッチョさんは、
このTheOneの啓示により、
人生が好転し、
先月の始めに少し長いTheOne Pureを追加オーダーされた。
長くなったのでまとめると、
ここに書きたかったのは、
「いま銘波には乗ることができない」
そんな原則のことだ。
サーフィンは、
「儚(はかな)い」
やってくる波は、
まるで泡のように去っていく。
サーフィンの特徴としては、
波は毎日違うということが挙げられる。
とすると、
祈っても願っても、
これから数日のあいだにこんな波があって、
それに乗ることができる確率はほとんどない。
そう考えると、
すばらしい波のことを考えてみる。
たいてい台風5日目だとか、
そんなことで、
連日の蓄積疲労によって背中は裂けるほど痛く、
古傷である腰も肘も肩、
首に膝と足首までが激痛が走る。
さらに強い紫外線によって、
瞳がやられてとても敏感になっている。
よって、
テイクオフの視界は、
滲みる水滴によって奪われ、
それでも波を仕留めるためにインパクトパドルを入れて、
波の中に落としていく。
そんな苦難の結果が記憶に焼き付いている。
そう考えると、
そんな状況でも気合いと根性でパドルアウトして良かったのだ。
サーフィンとは、
現在完了型に思えるが、
じつのところ記憶に訴えかけるものなので、
こうしていつかの波を取り出しては、
各部のかけらを慈しむように、
または俯瞰してスポットの流れまでもありありと蘇らせる。
ハッピーサーフィン!
□
お店はお休みしますが、
ヘルパーさんが店内巡回もしてくれます。
さらに通信もほぼ毎日できるので、
さまざまなインプットをお待ちします。
各地で発見した銘品を発送というのを考えておりますので、
それらはNAKISURF HP、
インスタグラム(@nakisurf_chiba)、
そしてこのブログでお伝えしていきますのでどうぞよろしくお願いします。
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
◎