何を胸に刻むのか。
風を切り裂くこと、
海の上を自分の力だけで滑ること。
あれだけむずかしかった波乗りが、
道具の発達と自身の経験で簡単になってきた。
新しいボードがやってくる。
この板は俺に何を与えるのか、
そんなことを考えはじめた。
波乗りは、終わりなき挑戦なのか。
人の指紋のように全て違う波。
波の形はそのブレイク(場所)によっても違い、
潮位、風向き、そしてうねりの強弱、
角度、速さ、地形によって千差万別、
千姿万態となっている。
シンプルに「波に乗ること」
それだけを求めて海に行く。
自分の相棒ともいえるサーフボードを浮かべて沖に出る。
水平線が見えたところで「波」を待つ。
この波はいい、あれはどうだろうか、
うーんフェイスが開きすぎる、広すぎる、
弱い、セクションが閉じている。
もう少しこっちだ、あっちだ。
沖にいすぎるのか、上流にいけばいいのか。
そして、
いつかきっと、夢に見た、
想像を続けていた「その波」はやってくる。
やってきたときに勇気を問われるのだろう。
己を磨いていたのか、
それとも言い訳をしてきたのか、
全部波が教えてくれる。
波と遊ぼう。
自分の背丈の半分以下の波高を目安にすれば、
あなたも明日から波に乗ることができる。
どんな乗り方でも正解はなく、
また間違ってもいない。
人がいるところが苦手だったら、
インサイド、
つまり波打ち際で遊べばそこはほとんど無人地帯である。
フィンがついていなければ、
どの方向にでも滑っていける。
後ろ向き、前向き、
横、斜めと自由に滑るのは楽しい。
波乗りは武道みたいなものだと思っていたが、
俺に波乗りの深さを教えてくださった大先生が言うには、
「海遊びの一種」なのだそうで、
ほんの少しそのココロがわかってきたと感じている。
夢波
悦波
逸波
娯波
楽波
嬉波
歓波
愉波
喜波
福波
いろいろあるけれど、
「波の夢を見続ける人生」
というのもいいなあ、と思った2013年の夏。
海で遊びましょう。
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