新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

【サーフィン研究所:テクニック編】インパクトパドルという必須概念_張り付きの術_(3963文字)

Nation The Connector 6’5″

.

怖ろしい怖ろしい干潮波。

浅すぎるので誰も入ろうとしないのは、

コスタリカでも同様だ。

なのだが、

軽くワールドクラスの波であり、

さらには無人という一大チャンスだ。

体を小さくし、

バレルラインを高く。

いわゆるハイラインだ。

連続写真としてまだ続いているが、

ここまで走ることができた。

下の画像のバレル・セクション内、

フォームボール上に私の手が映っている。

バレルの芯にいることができたら、

ボトム(海底)には直撃しずらい。

なので最後まで目を向けていた。

プラヤネグラの干潮時は、

世界クラスのロングバレルが、

無人という大きなチャンスがある。

【テクニック編】

本日は、

バレル波への、

重要な技術編としてみる。

「掘れ上がる波へのテイクオフ」として、

そのメカニズムも交えて、

まずは『インパクト・パドル』の重要性を。

Catch Surf Skipper Fish 6’6″

.

今回のコスタリカは、

連日に渡る猛風オフショアの威力もあって、

波にテイクオフすると、

飛ばさてしまうか、

落下してしまい、

ウエイブ・メイクすることができないということをまざまざと知った。

これぞノースショアぽいな、

バックドア系のすごい波がある。

ちなみにバックドアのあるハワイもトレードウインドが強いので、

海底の隆起といい、

水温と水の色といいコンディションはほぼ同一である。

あちらが乗れて、

こちらが乗れないわけがない。

同じ波です。

まずは、

なぜ乗れないのかを聞いてみました。

すると、

生徒たちからはこんな意見が集まった。

「リップ(波先)で止まってしまいます」

「こんなのテイクオフできません」

「出来たとしても目つぶしのまま落下します」

「あんなの行けません。無理です」

で、

私はこう言いました。

「いままであきらめていた全ての波は、今のあなたのサーフ能力と、

サーフボードであれば滑り降りることができます」

そう全員に伝えると、

半信半疑どころか、

釈然としないほど疑心を感じたようで、

こちらを見ながら以下のことを言った。

「無理です」

「あんな波には乗れません」

「自信がありません」

そう聞こえてきた。

少し考えてから、

それぞれの悩みを抱える人にこう伝えました。

「もう一漕ぎ、
またはもう二漕ぎしよう」
「掘れる波には、壁に張り付け」
「行けないのは、大きな理由がある」
「こうして斜めに」
「波と自分が合わさった瞬間に、腕を最も伸ばし、指も伸ばし、
波を掴んで大きな腕で最大トルクのパドリングを一度すること」

ということも伝えました。

今回のお題『インパクト・パドル』です。

パドリング能力

波の位置の見極め

サーフボードの浮力

身体能力

テイクオフ動作

に加えて、

インパクトパドルを合致させることにより、

ほぼ垂直に近い波壁ですらメイクすることができる。

そう伝えると、

みんなかなりの波を滑り始めた。

けれど、

それでもパツパツの波となると、

まだ降りられないようだった。

で、

その連続写真を撮って、

なぜ降りられないかの理由に迫ってみた。

まずはナッキー。

テイクオフ位置。

最初の漕ぎ出し。

こちらも完璧。

継続性、確実性。

こちらも◎

ここが、

前出したインパクトパドルの位置。

「波と自分が合わさったところ」

その全ての自己結集となるインパクトパドルを一度しておきたかった。

斜面が立ち上がってきたが、

波の位置も良く、

パドリングの経緯も良かったので、

かなり良いテイクオフ姿勢にはなっている。

ただ「最大トルク」のインパクトパドリングをしていなかったので、

波の切り立つ速度と、

サーファーのタイミングが合致していない。

具体的には、

サーファーが波に対して遅れている(ディレイ)という状態。

(このコマからゴースト=理想が出現しました)

こういう場合のサーファーは、

自分を遮る他サーファーがいない

危険ではない

良い波だと決めた

等々によるコミットメント(決定)後は、

初志貫徹するのが基本です。

そして「怖い」または「自信がない」だけで、

この遅延状態とは気づいていないので、

テイクオフ動作は続いていく。

(逆に言うと、もしここで止めてしまうと、

トップから浅いボトムに直接ヒットするので、

大怪我をする確率が高くなります)

ここでご紹介したいのは、

さらなる新概念『張り付き』です。

要は、

「どんなに掘れ上がっても、

切り立っても、レイルが張り付いていればメイクできる」

ということ。

テイルだけでもメイクできるのですが、

これだと直滑降になってしまうので、

『メイク』という観点ではNGとなる。

その張り付くための角度をここに青矢印としました。

そして完全なるテイクオフという観点から

マリオカートで言うところの”ゴースト”を出してみた。

今回のゴーストは、

キャッチサーフ将軍ジェイミー・オブライエンと、

ウナクネ新皇帝であるジョンジョン・フローレンスです。

青い矢印にあるのが壁に張り付くゴースト(青)。

しかしボードは赤の直滑降のモーメントに留まっている。

これはやはりあの『インパクトパドル』、

つまり、

「波と自分が合わさった瞬間にするパドリングのこと」

をしなかった結果がここに現実となって現れています。

けれど、「張り付き」

をするのならまだまだメイクできるチャンスがあります。

Go Go!

ここではかなりゴーストに離されてしまったけど、

まだメイクできるチャンスはある。

張り付くのだ。

具体的には左手を肩の方に「グイ」と持ち上げて固定する。

これでレイルが入り、

直進性を固定することで得る。

これも同じ。

滑り出すボードに乗せるようにレイルを立てて。

波壁に食い込ませてはわせよう。

これを「張りつきの術」と言い、

冒頭に書いたインパクトパドルとともに後世に残る大切なことだ。

この状況においてもじつはまだメイク可能。

掴んでいた左レイルを弧のように回し入れるだけだが、

それはまた別のテクニックなので、

いつかの機会にお伝えいたします。

ゴーストくんは、

すでにチューブセクションでオフザカーブをしていますが、

こちらはワイプアウトの入口です。

何度も言いますが、

これも全て『インパクトパドル』がなかったからです。

足から行くと、

海底は激烈に浅く、

全面尖った岩なので大怪我をする。

けれど、

それを避けるためナッキーは、

足を支点として前に倒れ込んだ。

完璧です。

幸運なのか、

体術なのかはわかりませんが完璧だ。

けれど、

海底も浅いリーフなので見ているだけで怖ろしい。

怪我をしてしまうと、

旅もそこで終わってしまう。

こんな運命みたいな挑戦となったのは、

『インパクトパドル』があったか

『インパクトパドル』がなかったか

の違いです。

よく『テクニック』とありますが、

それらのたいていは、

ボトムターンやらカットバックですが、

何が一番大切なのかを考えてみてください。

「テイクオフ」ができないと波に乗ることはできない。

今回はテキサスとか、

イタリア、

はたまたカナダからと、

あまりサーフの盛んでない地方から来たサーファーたちに会いました。

けれど彼らはか弱い波だと乗ることができるのですが、

こういうハワイ系となった途端に姿を見せなくなります。

つまりこういう波に乗れないことを知っているのです。

または初日はサーフしたけど、

前出したように怪我をしてしまったり、

自分自身の最大能力を知って、

他のサーフブレイクに行ってしまったのでしょう。

でも

「こういう波にテイクオフできる」

のと、

「波にも乗れずにひどい目に遭ってしまう」

のでは、

どちらが良いかは明らかだろう。

なので、

テクニックよりも最初にあるのがテイクオフ。

良い波に乗るのには、

まやかしのテクニックは必要ない。

きちんとセクション内からテイクオフして、

波をメイクするだけで、

サーフィンは夢クラスまで到達する。

ベンチュラ・セイジとも話すと、

「今までサーフトリップに行っても、

伝説的な波になるとなぜか乗れなくなっていました」

そして次に

「今回のトリップで、

インパクトパドルの重要性と、

そして有効性を嫌と言うほど知ることができました」

「こんなに大切だったのだかと」

「なんでナキさんたちだけ乗れるのかすらわかりませんでした」

「ただあの人たちは本当に上手なんだとばっかり思っていて、

自分が乗れることすら知りませんでした」

「でも今は、その謎も解けましたし、

この自分でも乗れる手がかりを掴みました。

これからも精進できますし、明日からの波乗りに役立てます」

めでたしめでたし。

「姫、ご無事で何より」

「お、若殿、サーフというよりボディサーフをしましたぞよ」

そんな一枚。

ご無事で何より。

Catch Surf® Skipper Fish 6’6″

.

風に押されつつ、

ボードの角度だけでテイクオフしてみた。

私はほとんど速度がついていない。

波は切り立っていく。

波に対しての浮力体であるサーフボードは、

ようやく重力を感じて滑り降りてくる。

テイルが先に落ちてくるのは、

それだけフィンの抵抗がある証拠だろうか。

けれどしかし、

そのままグラブレイルという柱をもちいて、

レイルを固定すればメイクできる。

わざとイニシャルパドルをせずに、

ボードがどんな挙動になるのかを試し、

その新発想というかスリルの源となる

『張り付き』の有効性を見ていただきました。

次回のテクニック編は、

【テイクオフ編2〜ボード角度の重要性(仮題)】に続きます。

ミッドレングスでのダックダイブ編をどこかにはさもう。

フィンレス・サーフィンに感謝しつつ、

千葉エックス波のあれそれ、

スカシー・ナイトのあれこれ、

さらにはタカラ鮮魚の鯖味噌煮定食までを思い出した。

法王と二郎、

そしてタキビ師(タキビ神)にもありがとう。

シャッチョさんと、

総料理長、

ニコニコ・クマさん(スマイリー・グリズリー)にもありがとう。

水原一平くん、

賭けごとはだめですからね〜。

それではまた明日ここで!

Pura Vida!!