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純粋ローカル図鑑_ワイプアウト厳禁&泳げるサーファーになりましょう_(2345文字)

Costa Rica Pelican

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私たちはコスタリカ北部にいるわけだが、

すばらしい地元のサーファーたちに恵まれている。

簡単に言うのなら「純粋」なサーファーたちだらけ。

このロングボードを持っているアントニオは、

泊まっている宿の向かいにいつもいる庭師だが、

その仕事が始まる前にいつもプラヤ(海岸)にやってくる。

普段はトランクス一丁だが、

少しでも風が吹くと寒いのか、

派手なアウターとサーフボードでパドルアウトしてくる。

彼は誰よりも奥からテイクオフするが、

横には行かずにまっすぐに滑り降り、

岩場まで来ると、

腹ばいになり、

上手く岩を避けながらインサイドセクションまで乗っていく。

そのままチャンネルからパドルアウトして、

またピークの奥で波を待っている。

なので、

彼のことを

「傾奇者(かぶきもの)」とニックネームを付けるに至った。

他にもボス、AJ、クリスチャン、KC、ラリー、カルロス、

タツヤくん似のタツヤくんがいて、

それぞれみんな自分世界の波乗りを表現している。

なので純粋スタイルのサーファーたちばかり。

または奇天烈。

タツヤくんはやたらと波乗りが上手なので、

パイプラインマスターズに出場させたら、

きっといくつかのヒートを勝ち上がるだろう。

こちらはボス。

私はノースハワイにいた頃にローカルから教わったのは、

「リーシュをしないでサーフしろ」ということ。

トム・カレンもそう書いていた。

そうすればライディングラインも無理なところには設定しないし、

バレルの中でさえも最後までメイクできれば、

つぶされてしまってもボードは流さない。

もし何かあって流してしまえば、

ボードはあきらめて横のビーチまで泳いでいって上がっている。

よく「危ない」と聞くけど、

それはビーチブレイク等でどこもかしこも波がブレイクしていて、

さらには沖を見ない子どもたちが、

ボードが流れてくるところにいる場合は当てはまる。

こんなリーフブレイクは、

つまりボードが流れてくるところは、

バキバキ岩場なので、

そちらでパドリングしている方が危険だろう。

サーファーたちは波がブレイクしないチャンネルを通るので、

そこにボードが流れてくることは皆無。

(浮いていることはある)

逆にノーリーシュの魅力は、

海を最大限に味わうということと、

「ワイプアウトして、ボードを流したら強制終了」

という潔さにある。

真剣勝負なのであります。

それは、

「完全にメイクできる波でないと乗らない」

というコミットメントで成り立っている。

なので、

常に無理なところからは行こうともしないし、

乗ったら最後まで乗るので、

当分帰ってこないので順番は適正となる。

「ワイプアウトしたら強制終了」

これはノースハワイでおぼえたことで、

とても大切なサーフィンの基本原理である。

さらにかなりの距離が海で泳げるようになるので、

もし台風の大波の時にリーシュが切れたとしても、

隣のビーチくらいまでは泳げる自信が付いた。

で、私のノーリーシュサーフに感じたボスが、

今日はノーリーシュでやってきた。

入る前にこちらに向かって、

「紐ないぞ」という身振り手振りに手を振ってきた。

でも、ボスはいつもリーシュをしているからか、

一本目からボードを流してしまい、

岩場でさんざん泳いだ後、ビーチに上がってくるや否や、

私に笑顔で最敬礼をしにきてくれた。

これはボスと私のサーフィンでの会話が成立した瞬間で、

サーファーとしてこれほどうれしいものはない。

じつは逗子サーファーズ岬もローカルたちはノーリーシュを推奨していて、

これは、

「乗れないサーファーはワイプアウトで強制終了すべき」

という先輩たちの考えに基づいている。

でもこちらコスタリカでは、

この後、

2台のツーリストSUPが入ってきて、

波を取っては、3m後に板を蹴り出して、

また沖に陣取って、すぐに波に乗って、

「波を、または滑りを気に入らなければ即蹴り出し」

という下等技を見たミラーが、

「SUPは強制的にノーリーシュにすべきだ」

そんな政策ではないが、妙味を思いついていた。

リーシュをしているからわざとワイプアウトするのだから、

サーファーとして、

何がルール&マナーなのか考え直した方が良いと思う。

「危ない」と言っている人のほとんどは、

人のサーフはおろか、

波も見ていないし、

海が危険なことも知らないでいる。

事実、足が痛いからといってサンダルを履き、

まぶしいから、水が目に沁みるからと帽子をかぶり、

実際に波乗りを見ると、

終了時にはボードを蹴り出してワイプアウトしている。

(本人たちにすると、コンプリートしていると思っているのだろうが)

なので、多くのサーファーが、

逆光等で突然他のサーファーを進行方向に発見したときに

反射的にこちらに向かってボードを蹴りだし、

自分は安全に生き延びようとするが、

あれでは他者が本当に危ないし、

結局はサーフィンの本質をわからないで何十年も海に行くのだろう。

事実、

腰サイズの波で、リーシュが切れた人が、

溺れそうになっていて、助けたことがあるが、

その彼は底に足が付くやいなや

「これはリーシュ会社を提訴します」と意気込んでいたが、

私は、

「あの〜【リーシュは命綱ではありません】と、

パッケージに明記してありますよ。

それよりも泳ぎを覚えたほうがいいです。

力を抜けば人は浮くので、こんな程度の波で、

たった5m泳ぐだけなら子どもでも帰って来られます」

そう言うと、

困惑した顔でこちらを見ていたことを思いだした。

Nation The Connector 6’5″

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さてさて干潮。

あれだけ怖ろしかった干潮波にも慣れてきた。

けれど、

たいていはこういうときに怪我をするので、

毎波、常に祈るように波に乗る。

陽はまた昇り、そして沈む。

Pura Vida!!