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naki's blog

奄美サーフィン研究所報告その4【フィン形状と揚力の関係】_ 快感以上失神以下_(2060文字)

Nation Eagle 6’8″

TW fin + VEKTOR VD (Reversed placement)

Photo by JN (nakisurf)

.

B-Passで乗ったとき、

イーグルのあまりの揚力に驚いた。

ホバークラフトのように浮き始めたのである。

Photo by @greengoodman

.

最初はあの波面の硬さはワールドクラスなので、

それを受けて浮いたのだと思った。

(巻末注釈リンク*1をご覧ください)

次にボードのコンケイブだったり、

ロッカーがその「浮き」を生むのかと。

けれど車では浮いてしまうと、

摩擦係数、

つまり動力の力速さを路面に伝えられないので、

良くないとされています。

適度なダウンフォースが必要とされる。

そこで究極のサーフボード

(巻末注釈リンク*2に詳しく)

『イーグル』の父であるライアン博士に手紙を書いた。

手紙と言っても、

現代、SMSであります。

「イーグルはそのように浮かないデザインです。で、速さはありましたか?」

それには、

「異常に速かった」

そう答えた。

すると、

「フィンは何を付けましか?」

「7.75″のタイラーウォーレンデザインのセンターフィンと、

2+1のトレーラーとして、ベクターコンセプトフィンです。

サイドフィンの最大面積部分がセンターフィンの先端に重なるようにしました」

「それだ!」

「!?」

「そのVEKTORフィンが水流を集めすぎています。

サイドからかき集めた水流が、

中央のフィンに抜けるから浮くのです」

「!?」

 

確かに、

このフィンを受け取ったときに

『太い側をノーズサイドに、

左側がノーズならば、

上の画像のように前方側に太くなるように取り付けなさい』

そんなお上の声というか、説明があった。

私はアマノジャクなので、

このようにわざと前後逆に付けて、

「とても速い」

という乗り味から、

「こっちのほうが速いです」

そう友人たちやブログで喧伝していた。

そのこの特殊フィンに対するのは波。

このVEKTORフィンの「速さ」が災いして、

奄美ビーパスのような世界クラスの波面、

そして威力に押し出され、

このベクターフィンと、

(少し大きめの)センターフィンが水流を集め過ぎ、

結果、

私ごとボードを浮かしてしまっていたのだった。

このことについて少し勉強してみると、

この強く、硬い波に対して必要だったのは、

ボードが波面に押しつける力

波面に押しつける力(フリクション、フォース)であり、
それは波面に押しつける力=摩擦係数x垂直抗力

簡単に言えばこうで、

読者に説明しなくてはならず、

さらに調べると、こんな数式があった。

Dはダウンフォース

Wは翼幅

FまたはH

翼の弦または翼の厚さ

Fは揚力係数

ρは空気密度

vは速度

さらには翼幅荷重にまで話は及び、

これをフィンの表面積、

ターン時の水流、加重等の事項を入れると、

大学の論文か、

ニュートン誌などに寄稿する内容だと思い、

それ以上の研究はあきらめた。

そこで、

このベクターフィンによる説明を読んでみると、

The longer base creates more drive and speed.

It works extremely well in point breaks and hard carves.

(正方向で)加速性能と速度に優れているとあり、

さらにはポイントブレイクでの

激しい加重転回に大変優れているとあった。

ただ、ここまでお話しているように、

究極のサーフボード性能+特殊フィン=高揚力

つまり、

波のパワーゾーンを通過するだけで瞬時に激速となる。

こうして写真を見ていただくと、

私のトラック(軌跡)が異様なまでの太さと、

深さを描いているのがわかる。

ここまでの加速Gがあり、

それをフルに使って、

この奄美の伝説波先に張りつくように疾走するのは、

「快感以上、失神以下」

そんな名言を得た。

じつはこのとき、

イーグルは悟空の筋斗雲(きんとうん)みたいだと感じていた。

私は、

サーフボードという名の飛翔体に乗って、

奄美のビーパスの波に浮くように飛んでいた。

龍一くんのように
大きな鳥が羽ばたくように

(巻末注釈リンク*3をご覧ください)

ここに研究所支店長としての報告とすると、

「威力のある波にはダウンフォースを、
そうでないのには逆向き、
リバースド・プレースメント(Reversed placement)を」

という結果を得た。

具体的には、

VEKTORフィンVDをリバース設定にすると揚力が増して速い。

つまり、

小波や緩い波への使用にはもってこいだと、

今まで抱いていた感覚が定理として説明できるようになった。

逆説のまた逆説が誕生した瞬間です。

波乗りは科学で説明できるのだと感得しつつも、

飛翔体に乗るわけなので、

風を読む心持ちで乗っていく。

いつまでもどこまでも。

今日はここまでとします。

Happy Surfing!!

【巻末リンク*1:この浮いた日をもっと詳しく】

【特大号】奄美研究所報告その2「猛烈低気圧B-Pass編」_(2899文字)

【巻末リンク*2:究極のサーフボード膝波編】

【超特大号】珠丸の続き_NATION”The Eagle”真の膝波インプレッション_(4770文字)

【巻末リンク*3:龍一くんのこと】