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【サーフィン研究所奄美大島支局渾身特大号】ハミダシ学園_浮力編:滑走への感動_55リッターも120リッターも_(5536文字)

Amami Oshima, 2021 January

.

今日は、

サーフィンにとって、

とても大切な『浮力』のことを書こうと思っている。

きっと原稿用紙10枚、

4000字以上も書いてしまうかもしれない。

まずはお知らせから。

『ハミダシ学園』

というオモシロ学校の講師として、

2月7日にクラスを受け持ちます。

テーマは、

「養浜の今後」

そんことをお集まりいただいた方と情報共有できたらと考えています。

このハミダシ学園の学園長は宮原秀雄さん。

宮原さんは、

あの『AOSHIMA BEACH PARK(宮崎)』

の総合プロデューサーとして世に知られていて、

他には、

千葉の波乗不動産のブランディング・オフィサーだったり、

サウナのいろいろとか、

コーヒーもそうだ。

とにかく、

ありとあらゆることの達人だが、

その彼が展開するプログラムのヒトコマとなれる喜びもひとしおであります。

詳しくは、

こちらをご覧ください。

(バナーをクリックすると、詳細ページが開きます)

どうぞよろしくお願いします。

さてさて、

ドラグラ・プロには、

総帥や王子、

グリズリーやタヌキ、

教授に神、

法王やジローたちがいる。

(巻末リンク*3を参照ください)

例えば、

このタイラー・ウォーレンは、

裏(影)皇帝としてクレジットされている。

なぜ彼が裏皇帝なのか、

そのことを書くと、

また長くなるのでいつかの機会にするが、

とにかくタイラーの仲間は、

この称号に

「なるほど」と、

そうニヤリとするだろうか。

特にタイラーの親友クリスチャン・ワックならば、

なおさらこのことに同意してくれるだろう。

Christian Wach

at Amami Oshima, Japan 2014

.

さて、

友人がボードを作りたいということになった。

お題は、

「身長165センチ、

体重60キロの熟練サーファーがオールラウンドに乗れるボード」

というものだった。

どのくらいのサイズかと、

ご要望を聞いてみると、

どうやら体積30リットルくらいのボードを所望されていた。

体積30リットルのボードを的確な波の位置に合わせて、

しっかりと腕を引き絞れば、

たいていの波は乗れる。

波のスイートスポットと、

サーファーの合致というやつだ。

ひとたび、

テイクオフして乗って(浮かんで)しまえば、

60キログラムのサーファーが、

たかだか30リットルくらいの体積を操るわけで、

足首やつま先でチョイとやれば、

ターンができるほど軽快だ。

さらに書くと、

この60kgのサーファーは、

普段から30サイズで波に乗っている。

サーフ経験も深く、

長く、

根性もあり、

思慮深く、

そして運動神経も良い人だ。

この30ボードを軽々と操り、

ジョン・ジョン・フローレンスまではいかないにしても似たようなことはできる。

そして、

乗った後にこう感じるだろう。

「サーフィンとは、なんとおもしろいのだろう」

「波乗りこそ人生だ!」

そんな掲揚感というか、

達成感を得られる。

だけど、

この30リットルのボードに60kgのサーファーが乗ると、

あまりパドリングは進まない。

長距離となると、

ちょっとした忍耐修行で、

ただひたすらこのパドル速度に慣れるしかないだろう。

その代わり、

ダックダイブは深くまで入れられる。

入れた後もテイルをつま先で思い切り沈められる。

恐ろしい波先をかいくぐることができる。

流れに翻弄され、

大変な思いをしパドルアウトを完了すると、

いよいよ本題のサーフィンとなる。

波待ちの姿勢でうねりを見極め、

スイートスポットを探す。

その位置からでないとテイクオフできないので、

真剣に波を見る。

付近にそれを見つけたら、

そこに少しでも近づく。

気を抜いていると、

波に乗ることはほとんどできない世界だ。

Tyler Warren at Salt Creek

.

こうなってくると武術であり、

サーフィンが愛される理由のひとつだろう。

私もこの浮力世界にいた。

浮力を磨きに磨き、

その眼力を研げば研ぐほど良い波に乗れて、

「最高の波」を得て、

「人生を彩るサーフィン」という結果となる。

ある日。

前出したクリスチャン・ワックとタイラー・ウォーレンが、

「こちらの世界も楽しいですドーゾ」

「膝波がオーバーヘッドに感じるデショウ」

そんなことを言われて、

サンオノフレなどでログなどに乗ったが、

重くて大きなボードは、

ワックスを塗るだけでしんどくて、

まるで電信柱のように重くて持ち上がらない。

けれど、

みんな抱えて波打ち際まで行っているのだから行けるはずだ。

そう念じつつ言い聞かせ、

息を止めて、

その電信柱を平たくしたようなボードを持ち上げ、

なんとか海に浮かべてパドルアウトする。

泡波が来る。

ノーズをまっすぐにするのはいいのだが、

少しでもナナメにすると、

その電信柱が暴れる。

自分の力などでは押さえられないほどだ。

けれどやるしかない。

パドルアウトすると、

他のサーファーが乗ってくるのが気になる。

こんな小舟は沈められないので、

交錯しないように方向転換するが、

とにかくじれったい。

沖までパドルアウトするだけで心身共に疲れ果ててしまった。

ただ、

波には乗れた。

逆に言うと、

緩慢な波質で知られるサンオノフレは、

腰くらいのサイズでは、

30ボードでは乗れる波はなかった。

うねりが来た。

長年サーフしているので、

それがピークになる予兆はよくわかった。

電信柱を漕ぎ、

その予兆にひっかけて、

テイクオフしたらどこまでも乗っていけた。

ある意味、

ハワイのサンセット・ビーチで、

人生で一番いい波に乗ったような気持ちとなった。

違うのは、

あの恐ろしいような激しさと、

スピード感がなかったことだが、

距離、

そしてスケール感がサンセットと同一で、

あちらは生死をかけて、

そして大混雑の中、

全て自身の手の内を見せ、

運だけを頼りに乗った貴重なる波だ。

こちらは沖に戻れば、

静かな世界でまるで禅だ。

そして混雑とは無縁でそのパーフェクションが乗れる。

多少スイートスポットがずれていたって乗れる。

上がった後もしばらくその感覚にひたっていた。

あまり濡れないので暖かい。

けれど、

重いボードを積んだり、

あの120リットル、

つまり自分の倍近い体積のボードでターンをするのは大変だ。

そんなとき、

ライアン・イングルが、

私に7フィートのシングルフィンをハンドシェイプしてくれた。

ハンドなので、

正確な体積はわからないが、

55リットルくらいのものだった。

乗ってみると、

慣れが必要だったがダックダイブはできるし、

パドリングが速く、

30ボードの半分程度の労力でパドルアウトできた。

しかもチャーチ岬の長い距離である。

パドルアウトが10分かかるところを5分に短縮できるのはうれしかった。

しかも毎回乗るたびにこの速いパドルの恩恵を受けた。

浮力が倍近くなっているのだから当然なのだが、

このことはなぜか、

今までは自分の世界の中に隠れていて気づかなかったのだ。

テイクオフも切り立つ前にバイト(咬む)するので、

良い波を逃すことはなかった。

でもどうやってもゆるやかな乗り味で、

マルチフィンのようにバリバリとやりたくなった。

セッションを終えて、

その気持ちを持ち続けていて、

翌日ライアンに伝えてみると、

「(55サイズでも)できる」

「(150でも)バリバリはできる」

「できないのは、

自身の能力を最大限に使っていないからだ、

お前ならできる」

そう丹下段平のように言われると、

自分があしたのジョー(©梶原一騎/ちばてつやさん)になったようで、

なんとなくできるような気もしてきた。

Catch Surf® Skipper Fish  6’0″

Nakisurf Original Twin x 2 = Mega Quad

6’0″ x 21 1/2″ x 3″(48リッター)

.

その後、

その55ボードでもライアンの言うように、

バリバリとできるようになった。

波を読み、

ステップバックをしっかりとし、

きっかけとなるレイルの入れ替えを的確にすると、

その55ボードは、

猛る性質もあるのだと見せてくれた。

小波でもピークを読み、

セクションをトレースしていく。

Catch Surf® Skipper Fish Ⅵ 6’0″

Nakisurf Original Twin + Vektor VT(48リッター)

.

ある日、

自身が違う次元というわけではないが、

パワフルなサーファーになっていたと気づいた。

具体的にはこんな感覚を受けた。

長く波に乗れるようになった

(緩慢なセクションもつなげられる)

どんなに長い距離のパドリングアウトにもめげない

(パドリング速度が速い)

波を越えていくルートをさらに読むようになった

(沈めづらい、沈められないので)

すると、他のサーファーとの接触が減った

(波の下に潜る機会が減った)

滑走速度が格段に上がった

(本当に速い)

テイクオフが確実になった

(ハワイのグッドサーファーの気持ち)

なぜハワイなのかというと、

あちらの波は激しく強いので、

この55ボードとかに乗らないと、

波に乗れないというか沖に出られない。

(後述します)

さらに書くと、

カレントに吸われづらくなった

パドリングが速くなった

(浮力由来ではなく、

前出した体幹筋等の鍛錬により強くなった)

体幹が強くなった

(ボードをしっかりと押さえつけるからだろう)

80サイズでもダックダイブ(ドルフィン・スルー)ができるようになった

(クリスチャンやタイラーたちは10フィートログでもダックダイブする)

背筋が伸びた

ビンテージボードも乗れるようになった

小波でも楽しくなった

大波のときに大波用ボードを使わなくなった

ボードが壊れなくなった

(長いボードは強いグラッシングが良い=重い&強い)

重いボードの滑走速度がより速いことを知った

で、結局は

サーフィンがおもしろくなった

そんなことになり、

30から55サイズが日常となり、

たまに120なんとかということになった。

Tyler Warren’s Bonzer 6’11″

San O Watu, California

Photo by Brian Miller

(たぶん55サイズ)

.

上記したが、

ボードを大きくすると、

サイズが上がった波で有効だ。

ノースショアの波に乗るには、

大きなボードが必要だった。

初めてノースショアに行ったときは、

4本のボードを持っていった。

(提供:ブルーワー・サーフボード/下重さん)

5’10”

6’2″

6’8″

7’6″

というサイズだった。

きっと

5’10″が30ボードで、

6’2″が35、

6’8″が50、

7’6″が60ボードだったことだろう。

ププケアのヒザ波は30ボードで乗ったけど、

たいていは6’8″、

とにかく50ボードだったことを思いだした。

ノースショアは、

それほどまでに流れが過酷だったり、

やたらと混雑しているので、

スイートスポットを広く取って、

とにかく波に乗りたいのが理由だった。

Brewer Surfboards Shimoju Shape 7’6″ Tri-fin

1988 Pipeline

Photo by Takahiro Tsuchiya (Ta film)

.

結局、

パイプラインを60ボード(7’6″)で滑り、

このサイズのボードの重要さを深く認識したのだが、

日本に戻ってくると、

普段使いにはいたらず、

つい楽だからと30ボードで60の真似事をしていた。

またハワイに行く前に台風が来るから、

鍛錬はその時でいいでしょう。

そんな感じだった。

EC Surfboards Cosmic Fonzer Step-up 7’2″

Bonzer fin set-up (約60リッター)

.

もしあのとき60ボードに気づいていれば、

これこそがミッドレングス世界の入り口だったのだろうが、

私は軽いボードが足に付いてくることに酔っていた。

そして冒頭に書いたように120ボードがやってきて、

いまはその世界に足を踏み入れている。

North Hawaii Life

.

ジョエル・チューダーだったり、

前出のタイラー・ウォーレン、

クリスチャン・ワックや総帥など師範だらけなのもいい。

そんなことで私はその◎◎サイズということに囚われず、

またはサイズを限定しないようになった。

サーフィンとは、

大きな世界で、

さまざまなものがあり、

異端、
正調、
古式、
ニューウェーブ、
パンク、
ロック、
不良、
武道、
ジャズみたいなものだろうか。

とにかく人生のなかでも知って良かったのが、

浮力のいろいろということだ。

浮けば乗れる波が増える。

例えば、

笠利のマカロニ弁当の先に小さな浜があるが、

そこでブレイクする「くるぶしサイズ」の波にも乗れるだろうから、

海を見るのが楽しくなった。

笠利町名店「マカロニ」謹製

『チキン南蛮弁当カサリンチュ風』

.

さらには、

波によって浮力を変えたり、

もちろん30ボードも「その日」が来ると乗り、

さらにかんたんになったターンだったり、

とても強くなったパドリングを実感する。

そんなことを冒頭のサーファーに伝えようと、

手紙を書き、

その詳細をこのブログで書いたというのが、

本日の長編ポストという顛末(てんまつ)です。

Alex Knost on

5’3″ Fish  (Justin Adams Hand Shaped)

.

さまざまなボードに乗ることによって、

波乗りがさらに楽しくなった。

サーフィンの拡がりや深奥(しんおう)というのは、

乗るボードサイズにこだわらないと、

宇宙のように前後左右だけでなく、

上にも下にもと、

全方向に拡がるとわかった。

【巻末リンク:先週の浮力編】

【サーフィン研究所】適正浮力はカニカマ説_(1828文字)

【巻末リンク*2:落語への道】

【テクニック編】海賊岬病_3838文字の真実_ボディサーフのすすめ動画_(732文字)

【巻末リンク*3:ドラゴン・グライド・プロダクションズとは?】

【お知らせ】ドラグラ・プロダクションズ発足!!_(2629文字)

Happy Surfing and Happy Lifestyle!!