昨日のことだ。
低気圧が沖を通っているようで、
それまでオンショアだったのが、
突然オフショアとなった。
しかも強風だ。
ばらついていたうねりが合わさっているようで、
波は突然まとまってきた。
パドルアウトしようと、
南側に歩きはじめると、
遠くからタキビ神モービルに似た車がこちらに向かってきた。
千葉は、
この冬で一番寒い雨の日だった。
辺りには人気(ひとけ)はないのと、
雰囲気がそのようなので、
これはきっとタキビ神だという直感そのままに、
車窓が下がり、
中にはやはり破顔したタキビ神の御顔があった。
「どうですか?」
「かなりいいです」
私は見たままの波を伝えた。
「そうですか。すぐに追いかけます」
そんなことになって一人パドルアウトすると、
ジェフリーズ・カレントというか、
沖に吸い込まれるような大河があった。
その激流を越えると、
向こうには切り立った波壁が、
折り重なるダブルアップが、
3m以上もある波壁で展開していた。
分厚く、
重い波質と、
波面のすべてを跳ね上げるようなオフショア。
そして砕ける重轟音。
写真はないが、
この冬で一番良い波に乗った。
オフショアに押さえつけられた波壁と私は、
降下していても浮遊している感覚でもあった。
大きなバレルにも包まれた。
「ワールドクラスの波です100%完全に」
パドルアウトしてきたタキビ神とそんなことを話しているとき、
虹の予感がありありと満ちてきた。
「もうすぐあちらあたりに虹が出ます」
その感覚をタキビ神に吐露すると、
「虹ですか!」
そう言って、
たいそう目を輝かせてくれた。
神は時計を持たれていたので、
オン時間を聞くと、
まだ1時だと教えてくれた。
ご存じのように虹は、
太陽の位置が低くないと出ないので、
夕方まではまだ先だし、
当分は出ないかもと心配になった。
けれど、
数分すると突然色彩が立ち上がって、
水平線の向こうにアーチを描いた。
その虹はずっと空に大きく浮かんでいて、
「消えない虹」という楽曲を思い出した。
ちなみに上の画像は、
ポパイ・ケイスケが、
九十九里船長業をしているときに撮ったものなので、
きっと私たちが見たものと同じものだ。
虹はずっと出ていて、
ようやくなくなったが、
1時間は出ていたような気になったが、
サバ読みで38分だと言いそうになった。
最後の良波を駆け抜けて上がってくると、
また虹はあがり、
うっすらと色彩の追体験をしてくるのだった。
タキビ神のマンライ成仏後のディスプレイ。
これは、
たった二人だけの波乗りを媒介とした、
忘れられない色彩と剛健な波の記憶を焼き付けた日の記録だ。
これは銚子は、
根本さん家でいただいた辰巳寿司。
美しい伊達巻き寿司と、
銚子が誇る海産物の結晶のことも同時に思い出していた。
それはまた虹の様子と、
伊達巻きのアーチが似ているのかもしれなかった。
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【巻末リンク:虹の別編】
【巻末リンク*2:カッシーニとは?】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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