未明から雨が降ってきた。
雨の降り始めに感じる香りは、
『ペトリコール』
(Petrichor:石のエッセンス、ギリシャ語)
というらしい。
そういえば、
同名のベーカリーがあったことを思い出した。

そこからしばしオゾン(Ozone、O3)という、
三つの酸素原子のことを調べていた。
このページは、
『ブログ』という形態を保っているが、
じつのところ 私の記憶の格納装置である。
宮崎まで行き、
佐田岬まで戻ってきて、
さらなる驚きや、
ヒラメキ、
ヨロコビに輝く瞬間がたくさんあった。
たとえば、
須崎は池の浦のイセエビ汁のこと、
yoiyoでのナチュールワイン・パーティ、
須崎みもと酒店の衝撃、
または学術的にうねり群が浅瀬に巻き付いていくこと等々。
その順序を入れ替えて収納するのは、
「スープリームにすばらしい日」
を通過したからに他ならない。
形容詞をWで使うのは、
確かにおぼえておきたいことからだ。

例によって長くなりそうなので、
お急ぎの諸姉諸兄は、
ぜひ再度お越しください🙏
上記したyoiyoでのパーティのとき、
高知からの出発が迫っていて、
仲間でサーフしたいということになった。
「文旦で忙しいんですよ」
森本果樹園のチュラさん(ベンチュラ・セイジ)が自慢げにそう言った。
今年の文旦のできがいいからだと察した。
週のなかばごろならなんとか時間が取れるかもです。
というので、
その日にサーフしようとなっていた。
前日に連絡すると、
「波乗りですか?
サーフラインも何もかも、
どこもフラットだと言っていますよ」
でも前回もフラットだという情報だったが、
じゅうぶんすぎるほどの波に乗れたことを思い出した。
(巻末リンク*2)
「マジョリティに反するのが私たちの流儀なのだよ」
そう返そうかと思った。
だが、
京都大学卒であり、
博識かつタキロー並の高IQのチュラさんは弁が立ち、
「言い負かし」の達人とチャンピオンの2階級を制覇した人なので、
そんな単語を出すのははばかれた。
シャッチョさんに電話をすると、
「秒数が上がってきました〜」
ナウファスを見ると、
これまで4秒台だった南うねり周期が7秒となっていた。
いわゆる倍増であり、
フラットではない予感がありありとあった。
結局チュラさんは、
「NAKIさんとサーフできるのも当分なさそうなので行きますか」
多忙の網から脱出することになり、
シャッチョさんは二つ返事で
「行きましょう〜!」となった。
現地にいる、
というか🐻B(クマ・ビーチ)の上に住むクマさんこと、
スマイリー・グリズリーに連絡すると、
「ガォー(潮が)干いてる方が良いがぉ〜」
調べてみると、
クマビーチあたりは、
10:38に77cmの干潮だとあった。
「10〜11時ごろがえいやろね(良いでしょう)」
そう付け加えてくれた。
ならば少し早めの到着、
9時半をめざしてクマ・ビーチまで向かった。
クマ浜の8kmほど手前にコパカバーナという秘蔵サーフブレイクがあり、
そこをチェックすると弱い波がブレイクしていた。
しかも良い!
ここで待ち合わせてもいいかもしれない。
これは南西うねりだ!
この波は南東?
そんなふたつのうねりが、
快晴オフショアのなかブレイクしていた。
波情報は、
あいもかわらずフラットだと言っているので、
メインの駐車場ですら誰もいなかった。
あ、クマさんがいた!
がぉ〜〜!
半魚人というのがいるが、
クマさんはスマイリー・グリズリーといって、
人とクマのハーフである。
いわゆる最小単位のマイノリティだ。
クマさんと遠浅のブレイクを見にいくと、
南東うねりがパーフェクトにブレイクしていた。
高さが80〜100cmくらいしかないが、
大きなボードならば十分すぎるほどの波だ。
シャッチョさんもやってきた。
セット各種を見たクマさんは、
「🐻Bのほうがえい(良い)かもしれませんね」
そう言ったので、
「行こう🐻Bへ!」
ということになった。

到着すると、
チュラさんがすぐにやってきて、
私のキャラバンに追従していたらしかった。
さらには、
その絶品の文旦ゼッケロ(10kg)をみんなに持ってきてくれた。
森本果樹園のブンタンは、
標高が違うのと、
その複雑な土壌によって、
他の作物より甘みと旨味が強いのが特徴だ。
森本果樹園はいの町にあるのだが、
あまりの高さに層雲などは軽く越え、
酸素が薄くなった気がして、
ドラゴンボールのカリン塔を思い出したほどだ。
話はそれた。
この日を記念して、
身も心もドラグラ派の達人たちを撮った。
波はやたらと良く、
すぐに着替えよう!
冬のならわしなのか、
各人がウェットスーツをひっくり返したところでモタモタし始めた。
オルタナティブ・ワックス・アップをすべく、
グライダーを出すと、
今度はボード話に夢中となった。
シャッチョさんだけはいつものように、
さっと着替えていた。
クマさんもシャッチョさんもグライダーに乗ったことがあり、
チュラさんだけがまだ乗っていなかったこと、
新作グルービーフィンの粘りについて話した。

これが月曜日の朝。
同じ週とは思えないほど暖かい。
春が来た。
チュラさんたちが夢中になっているスノーボード世界があるが、
その最上級には、
マイティ・ジャミングのジャッキーやムーティがいて、
教祖のひとりがアラタくんだとわかってきた。
妙高にも支部があり、
麻顔のちーたんやリンたちがいて、
まるで秘密結社のようだ。
クマビーチのエクセレントは、
南西うねりのライトと、
南東うねりのビッグ・レフト。
またはその両方が合わさるピークが展開されていた。
ちなみにこれは南西単体のワンダフル。
ドラグラ派の写真を撮ろうと、
三脚を持ち出して浜まで行った。
小ぶりだが、
みごとなセクションがずっと岸までやってきていた。
クマさんは、
家の下にあるクマビーチで毎日サーフしている。
拝見すると、
さらなる自分磨きをしているようだ。
人とクマのハーフでありつつ、
音楽を愛し、
夢枕獏や村上春樹の小説に感動する文芸インテリでもある。
彼が波に乗ると、
つい私たちはガォ〜とやってしまうのだった。
サーフィンは童心に戻れるもので、
このとき私は、
小学生のときのように、
どこまでも遠くまで、
高くジャンプできるような気持ちになった。

波面に的確に立てたレイルワークがすばらしい。
パラレル・スタンスにプーレーニング・ハル魂を感じた。
南東うねりの大セットは、
こうしてオープンフェイスが長距離続く。
ガォーのポーズと、
デューク・カハナモク像がだぶった。

誰よりも早くパドルアウトして、
誰よりも沖でお化けセットを待っていたシャッチョさん。
脱エンゲッツ宣言なのか、
クルーズスタンスでのバックサイドだったり、
クラウチングのフロントサイド。
水温16℃ / 気温15℃。
NBAではないが、
ダブル・ダブル(double-double)のめでたい日となった。

ナッキーの上達めざましい。
やはり高体積のボードを操作することに長けてきて、
さらには,
波を読む能力が高まったということに由来するのだろう。
キャッチサーフの86も、
98のグライダーも1本目から完全にアジャストできるのは、
普段からさまざまなボードに乗っているからだ。

センタースタンスのトリム。
ナッキーは、
これ以上でも、
これ以下でもないというラインを滑っていった。
Ventura Seiji on Cosmos Surfboards The Glider 9’ 8″(295cm)
チュラさんは、
ひさしぶりのサーフだと思えないほど、
美しいスタイルかつ、
的確な加重で、
最大限のサーフ表現をした。
「やはり足腰はスノーボードですよ」
わかっちゃいるけどやめられない的な発言をしていたことを思い出した。
186cm/86kgのチュラさん。
(後日連絡があり、
グルテンフリー等の食生活に変えて78kgになったという)
彼が295cmのボードを持つと、
まるでミッドレングスのように見える。
私の番となったので、
砂浜でウェットスーツを着替えて入水した。
暖まった砂が心地いい。

センタースタンスは、
私がもっとも好きなサーフィンのパートであり、
たった50cmほどの波が、
まるで小宇宙にも感じるほどの瞬間を感じた。
それから、
クマさんの師匠スーちゃんにお会いし、
1尾10円と値崩れしたシラスウナギ、
ブリの稚魚を捕るモジャコ漁のこと、
クマ家の向かいのキミくんとは最近の情報交換と、
水揚げの推移による魚類の驚きを聞いた。

テッタともしばし話し、リンゴちゃんは文旦の選定に忙しく、
マーくんは結局会えずじまいで、
お元気なのだが冬はあまり海には来ん(来ない)と聞いた。
キクちゃんの、
気品あふれる酔っぱらい話。
それらのことを書きたいのだが、
規定の3800文字が近づいてきたので本日はここまでとする。
to be continued…
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【巻末リンク:これまでのクマビーチ】
【巻末リンク*2:前回のフラット】
【サーフィン研究所】しんの夜明け_サーフィンという遊びと思想のはざま_無人祝日ハッピーサーフセッション・ガォ〜_(1044文字)
【巻末リンク*3:チュラさんの渾身その38】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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