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naki's blog

イナリにキックアウト_ワイカリヒでミニボード_子供の上達は秒進分歩_ローカルよりもローカル!?_ココナッツクリームアイス_サーフ源流の祖マテオ_(2555文字、短編です)

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Say Goodbye to Inaris!

そんな言葉を思いながらキックアウト(プルアウト)した。

これは”アイランドプルアウト”

という波の裏側に出るターンで、

バレル日には多用するエグリなんです。

俺はかねがね、

「テイクオフ?キックアウトからパドリング開始まで」

ということを重視している。

だからリーシュを頼りにボードを捨てて、

ビヨーンとジャンプする少年技はあまり使用しない。

挙措というのはダイジですから、はい。

イナリーズを後にして向かったのは北海岸。

いわゆるノースショアであります。

このワイカリヒなるブレイクが、

「初?超上級者のこころを捉えて離さない」

と聞いたので行ってきました。

このブレイクは北東うねりが最適。

このうねりは北西だから、

およそ90度角も違う角度だった。

方角というのはおもしろいもので、

ここでは呼び名こそ北東、北西と

どうやら「北」関係だが、

90度となると、

実際には方角が違うほどだ。

(ご存知のように各方位は90度で分けられ、

時計回りに北0、東90、南180、西270となっている)

沖では真横にトリプルくらいの巨大うねりが過ぎていくが、

ここは安泰で、

やわらかなごゆるりサーフィングができるのでありました。

このくらいの波も最高に楽しいですよね。

「5’1″というボードは一生乗れないかと思っていましたが、

乗れちゃうんですね。しかも最高に走るし、小回りも利くし、

いやあ半端なくすごいです。このボード」

「やはり中空ということで、

当て込んだときにとても安定しているのでしょうか」

とは早川さん。

去年までは

「キリモミドロップの早川さん」

とここで表記していたが、

今年から

「美腹公(びはらこう)の早川さん」と呼び名が変化した。

美腹公の詳しくは以下のリンクで、

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/19376

キリモミドロップはこちら↓(必読ですよ?)

https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/9828

ミニノーズライダーを常用するカイラ。

俺の写真、

翻訳や編集等の作業のアシスタントをしてくれているんですよ。

コールから新しいルースキャノンが届いたノア。

とするともう「鳥に翼」状態だった。

なにゆえにそんなに速いサーフィングができるのだろうか?

クアッドフィンのセッティングで、

1本目だけはその特有のレスポンスに戸惑っていたようだが、

2本目からはジャンジャンバリバリ乗っていた。

さらにはトップでフィンを抜くことを覚えたようで、

こんな切り返しを多用していた。

子供の上達は日進月歩ですね。

いや秒進分歩かも!?

子供寄りの波質なので、

結局自分を撮ってもらう時間がなくなってしまったが、

「3本だけね」とハートブレーカーを駆って、

波壁にウリャとしてみた。

「シングルフィンはテイルをしっかりと踏まなくてはならないのだが、

このデザインだと、薄いからテイルを沈めやすく、

そして有事のときにレイルが抜けづらいという利点があるんですよ」

と先日イナリーズで、

ローカルたちにこのボードについて質問されたときに答えた。

ほら、テイルを踏まないでも十分なるターンができました。

これは早川さんの今年のレンタカー。

このようにジャンクなのが利点なんです。

このトラックに乗って、

地元の床屋でハワイアンカットをし、

よーく日焼けした早川さんは、

観光客だとは誰も信じないだろう。

イシハラマートで、

ポケボウルの昼食の写真を撮っているので、

「ブログを書いているのですか?」

と尋ねたら、

「いや、友人たちにメルマガを発行しているんです」

という一面を見せてくださった。

食後にかき氷を食べますか?

と聞くと、

「いや、かき氷はあまり」

「ただのかき氷ではありませんよ」

「歯が浸みるのが嫌なんです」

「ハウピア(ココナッツ)はお好きですか?」

「大好きです」

「ではぼくが買いますので、味見してみてください」

「なんですか、これは!もうかき氷ではありませんよ」

「でしょ」

「いやあ、半端じゃないです。

これはもう七里のビルズのデザート並です」

「かき氷ではない名前があればいいんですね」

「そうです。そうしたらぼくも迷いなく注文していたことでしょうから」

「ではココナッツクリームアイスというのはどうでしょう?」

「そればっちりです。半端ではありません」

と感動していただけたようだ。

話はハワイから北米大陸に飛び、

そこにロングアイランドのように伸びるバハカリフォルニア半島。

「サンディエゴとメキシコの国境。

そこからさらに19時間南に下ったところにマテオが住んでいるよ」

と教えてくれたのはクリスちゃん。

「NAKIのメールアドレスを教えてあげたけど良かったのかな?」

「もちろんです。元気にしていたんだね」

「元気も元気で、ものすごい波乗りをしていました」

「稀代の天才だからなあ」

そんな会話をしていたら、

本人のマテオから何通ものメールが届いた。

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世界的なブレイクの前で、

サーフとスケートをして、

シェイプもして、それはすてきな毎日のようだ。

マテオとは1990年代にカリフォルニアで知り合った。

とてもユニークなサーファーで、

当時のジョエル(・チューダー)とカルト人気を二分していたとは

後でサーファーマガジンのJPから訊いた。

2009年に発売した写真集

“feel the glide”内に彼の、

しかもこのメキシコに旅立つ日の写真が入っている。

彼はサーフ業界の色々が嫌になり、

「南に行くんだ!アメリカ最後の写真を撮ってクダサイ!」

とやってきて、

持っていたボードの数々を当時のアップサイドダウンオフィスの前に並べて、

この作品が誕生した。

彼はサーフィンの本流から外れて、

支流側で源流みたいなことをしている数少ないひとりだ。

よく考えると、

俺も彼と多くの時間を過ごし、

その種が発芽しているのかもしれないなぁ、

などとしばし窓の外を見ながら動く雲を見続けていた。

2011年現在のサーフィンの本流はどんなものか知らないけど、

俺はこういう源流に目を入れ、

それを大事にしていくという考え方です。

数より質。

そう質の良い時間を楽しめるのが波乗りだと思っているんです。

今日も暖かく、そして健やかに!

ALOHA!