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【テクニック編】「テイクオフ時のレイル角度」_ここはエンドレスサマー2のロケ地_(2051文字)

Nation The Connector 6’5″

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ミドルタイドのプラヤ・ネグラ。

エンドレスサマー2(1994年)内でサーフされたのもここ。

ビデオで波質を確認すると、ちょうどこの潮位の波だった。

「同じ波は二度と来ない」とあるが、

どうやらなにやら同一に見える。

とすると、

こうして20数年という時を越えて、

あの銀幕に、

20代の自分が出演者たちに重ねた波に乗ることになったロマン。

人生はすばらしい。

Pura Vida!(純粋人生を)

さて、大人気のテクニック編だが、

これは読者が「さらなる高み」を求めているからに他ならず、

そう考えると、『ハッピーサーフィン』の提唱者としては、

これほどまでにうれしいものはない。

さて、今回のテーマは、

『掘れ上がる波での、テイクオフの際のボード角度』

というのは、

“手練れ”と自他共に認めるベンチュラ・セイジですら苦しんだのが、

ここのワールドクラス波の干潮ピーク。

グワリと一気に掘れ上がるので、

前回の『インパクトパドル』も加えて指導したが、

そのセイジでさえもメイクできるときもあるし、

失敗するときがある。

↓その特大号のリンク↓

【特大号:テクニック編】インパクトパドルという必須概念_張り付きの重要性_(3951文字)

そこで連続写真を撮ってみると、

「テイクオフ時のレイル角度」に弱点があることに気づいた。

フェイドさせて深く入るやり方もあるが、

この波はそんな猶予すらないまま瞬時に丸まる。

そこで理想の角度を青矢印で示し、

実際のボード角度が赤としてみた。

上の画像を見ていただきたいが、

セイジはここまでは完璧だった。

だが、ボード加重をした瞬間から、

ボードは直滑降しようとする角度になってしまう。

これはテイルを踏んで、

フィンのトラクションを得すぎるのが原因だが、

実際には、

セイジが反射的にそうしているのに他ならない。

想像するに

「掘れ上がる視界に怯み、ついテイルを踏んでしまう」

といった感じだが、

このたった0.1秒の遅れ(EOS7は1秒間で10コマ)が、

バレルメイク、

ひいてはウエイブメイクにここまで影響を及ぼすのです。

その0.1秒引いて(直進)から、

レイルセットをしているので、

斜面に再びレイルセットをし直さなくてはならない。

よって、セッティング不良、減速、

ブレ等の不都合が生じてしまう。

何よりも、そのままテイクオフするよりも

「遅れてしまう」とか、

「ラインが低くなる」というのが一番の不利だ。

わざと遅らせてバレルインという大技もあるが、

それは一般の上級者サーファーにとっては、

ギャンブル的なものであるからここでは触れない。

とにかくテイクオフをメイクしないと、

波には乗れないわけだから、

よって、干潮時には誰も来ないというのは、

この激掘れ波をテイクオフできませんということである。

逆にテイクオフできれば、

キックアウトもバレルもあるわけで、

それはゼロか、

そうでないかというほどの違う結果となる。

ここで出現したのが前回好評だった『ゴースト』。

つまりレイルを入れ替えていなかったセイジがここにいて、

完全な位置でバレルメイクを狙っている。

ここではレイルセットをし直した遅延が、

セイジの希望を絶望へと変えている瞬間。

「ぐ、ぐやじい〜」

と波の中に沈んでいく気持ちはいかほどのものか。

まとめて具体的にしますと、

「極限時でのテイクオフは、レイルを波壁に食い込ませたまま」

と定義してみました。

これをセッションを終えたセイジに写真を見せながら伝えると、

「自分がこんなことをしていたとは知りませんでした」

そうやってすぐに修正し、

翌日、

一本目よりすばらしいテイクオフを開始したセイジ。

イニシャルパドル。

インパクトパドルを1、2パンチで入れて、

テイクオフの姿勢に。

片側のレイルを押しつけて、

テイクオフを完遂していく。

滑走が始まっても、

レイルは押しつけたままにして、

立ち上がる瞬間でも同様に。

ほぼ完璧です。

ここからはラインに乗せて、

ドリームグライドすればいい。

テイクオフのつまずきが解消された瞬間です。

バックサイドでも同様に波側のレイルを継続的に押しつけるのです。

「すごい!自分ではないみたいです。

やはりコーチングというのは、重要ですね。

今までなぜこうなってしまっていたのかが理解できませんでした」

そう新しいレベルに突入したセイジ。

「彼の動きがこれから目が離せない!」

そう、カラーズマガジンのヨゲさんの言葉を置いておきます。

美しい波に乗るには、

さまざまな事象を絡ませ、混合させて、

自身の肉体とサーフボードを合致させて乗る。

懸命に、大胆に、些細にそして的確に。

これでセイジは、

記憶に残る波を手に入れ、

そして手に入れることができるのだろう。

Happy Surfing!!

 


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