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【サーフィン研究所:文学館】フィンのこと_宇治拾遺集より『木こりの事』_(1341文字)

強烈な朝陽だった。

夏を予感させるような陽の圧力。

本日の日の出時刻が5:16。

明日の19時に上弦の月となる。

波壁にレイルを当てて、

角度を決めて波を滑っていく。

「ダウン・ザ・ライン」

シングル・フィンとツインフィンでは軌跡が違う。

トライやボンザー、

2+1にはセンター・フィンが存在し、

シングルフィン同様、

このドラグ(抵抗)がそれぞれ違うという原則に気づいた。

例えば、

2側サイドの表面積と、

センター・フィンの関係と書いてみるとわかりやすい。

位置だったり、

角度、

フィン形状、

ボトム形状、

そして水が抜けていくテイル。

3日前にここで北原白秋のことを書いたら、

文学ファンからたくさんのお便りをいただいた。

その中でも鎌倉のシゲルさんからの内容が興味深かった。

彼は白秋のことを褒め称えながら、

現在私たちの置かれている現状の、

「正」と「誤」を学習して、

それを私に確認しているかのような内容だった。

とても興味深かったので、

いつかそれを詳しく書くが、

そんな「同意的な精神の押し上げ」

という昂揚を得ると、

古文が読みたくなる。

これは自分の持つ自然回帰ならぬ、

遺伝子回帰なのだろうか。

今日は、

800年も前の説話集

『宇治拾遺物語』

の中に海男ぽいエピソードがあったので、

それを現代語に意訳してみました。

この文中で主人公は「風」を操ります。

これは、

「風を読んだ」結果かもしれないと推測しました。

サーファーの多くにもこの能力が備わっています。

あ、現代サーファーは、

アプリで風を知るのか…。

じゃ、

空を見ても何もわからないので、

主人公にはなれない時代の話です。

名の知れた漁師は、

たいてい大気の湿度や、

雲の形、

色で吹く風や嵐を読めたという。

『木こりの事』

今は昔のこと。

ある島に木こりがいた。

木こりは、

並外れた気力と、

強靱なる身体を持っていて、

たいへんなる孝行者で、

樹木を切って親を養った。

あまりにも切って倒してしまい、

木こりの森は、

やせ細ってしまった。

木を切りすぎてしまい、

森林破壊が起きてしまったのだ。

森が再生するのにきっと5年、

いや10年だろうか。

つらい日々がやってきた。

木こりは山菜を取ったり、

漁をして親を養った。

ある日、

木こりの孝行心が天に通じ、

風を操る能力を賜った。

朝になると、

木こりは南風を吹かし、

舵もない舟で北の島まで行き、

木を切って舟に乗せ、

夕刻には、

強い北風を吹き付けて、

自分の島まで戻っていく。

「たいそうなことだ」

この木こりのことが多くの民に知られ、

やがては帝の耳にも入り、

「達者なことじゃ」と、

大臣として召し使われるようになった。

このときの木こり、

そして親の喜びはいかほどのものだっただろう。

めでたしめでたし。

【原文】

今は昔親に孝する者ありけり

朝夕に木を伐りて親を養ふ

孝養の心空に知られぬ

梶もなき舟に乗りて向ひの島に行に朝には南の風吹きて北の島に吹き付けつ

夕にはまた舟に木を伐りて入りて居たれば北の風吹きて家に吹きつけつ

かくの如くするほどに年比になりて朝廷に聞し召して大臣に成して召しつかはる

(後略)

宇治拾遺物語

(1213〜1221年成立の説話集)

巻第十二 一七 『鄭大尉の事』より

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