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【サーフィン研究所:SR三部作最終編】この次はモアベターよ_(2259文字)

波が樹木よりも高く立ちのぼって、

はげしく海面に叩きつけているとする。

そのことを、

自分が持つ感覚や、

あるいは、

画像や映像でその高さを知ることを一般的理解であるとすれば、

私は、

多くのサーファーと同様にだいたいがそのほうにむいている。

The Boss on

7’2″ Pintail by Don Johnston

.

だが、

ドラグラの考えはまったく異なっている。

サーフィンとは、

認識や知覚をとびこえて、

波そのものになることであり、

さらにドラグラにあっては、

波そのものですら、

神や法王の普遍的原理の胎内に入り、

原理そのものになることを目的としている。

Tim at First Peak

.

ティムさんは、

ずいぶんと昔に日本に移住してきて、

教育者として生計を立てて今に至っていると伝え聞いた。

彼の卓越したサーフ力と、

この土佐の波が見事にマッチした一例だろう。

ティムさんは、

波が強くなればなるほど、

そしてうねりが大きくなればなるほど、

光り輝くオーラをまとうサーファーとなる。

Catch Surf® Skipper Fish 6’0″

Tyler Stanaland model

Mega Quad Fins

.

今回のSR三部作、

最終回においては、

「SR5000波の忘れられない1本」

でまとめてみる。

ティムさんがいて、

波待ちをしているとき、

「社長さん♪」

の唄を作詞しつつ、

雲の形を眺めていると、

この波がやってきた。

見た目はふくらみきって、

土佐料理で言うのなら、

まるまる太った、

メジカのシンコのようにムッチムチだった。

テイクオフ、

自身のコンディション、

全てが上手くいっていた。

思い通りの世界だった。

セカンド・セクションのボウルは、

一瞬まるでフィジーにいるかのような感覚に陥っていた。

しかし、

ボトムが激しく泡を吹き出してきた。

これは浅い岩群が海面下にあり、

波が、

その起伏に反応しているのだった。

こんな感じの海底隆起であり、

この急浅によって、

このセクションの下に潜んだ怪物が、

その片鱗というか、

正体のかけらを表した。

だが私は、

高速で滑っている最中であり、

斜面がこんなことになると困るのだが、

波とはそういうものでもある。

予測通りになるときもあるし、

このように全く予想もつかないこともある。

写真には写っていないが、

私側——ボイル(泡)の手前に——

ボール状の茶色の岩が直径2mくらいであり、

その横に黒岩の突起が見えた。

この視界が、

あまりにもおぞましいので、

理想ラインはとっくに捨てていた。

とにかく岩に当たらないように、

突っ込まないようにハイラインに持っていった。

すると、

ボイルも大したものなので、

「そうはさせないよ〜!いただきます!」

「かんたんです!」

怪物はジローくんのような文体で、

波の底からナイフとフォークを両手に掲げ、

落ちてくる私を待ち構えているのだろうか。

ワナだったのか!

疑心暗鬼になるなか、

こんな怪物に食べられたらどうなるのだろう。

まずは岩で頭を砕かれ、

それから…。

————

Yakushima 2016

.

ネガティブ思考は止めた。

目下おかれている状況を的確に判断し、

やはりどう考えても上へ行くのが適切だとわかった。

さらにはこのまま進行方向に加速し、

この岩群から

「サヨナラ・バイヨン」と、

細野晴臣さんの歌詞のようにしなくてはならない。

怪物の武器ボイルも

「私を逃すまい」

とばかりに持ち上げた。

突然斜面が屋根のようになり、

波の中の波に私は持ち上げられていった。

けれど、

岩に気が取られたのが38%、

ボイルに押し上げられたのがこれも38%、

その他のたくさんの理由がいろいろ細々とあったのだろう。

ラインを上げすぎてしまっていた。

そういえば、

このあいだムカデを殺した罰かもしれない。

こうなったらフローターだ。

そのラインに持っていって、

この絶体絶命を乗り切ろうと決断した。

かんたんでした!

だが、

ここはリップ(波先)の上で、

その厚さだけでも2mはあり、

このユラユラとしながら奇っ怪に、

恐ろしく崩れた怪物波だ。

高い位置から見る海面は、

岩の茶色と黒色の影が、

「死の宣告」

みたいなものをこちらに伝えていた。

ただ、青と緑色もあちらにあり、

きっとこれがまだ生きていられる未来を表現していた。

ならば、

キャッチサーフをジャンプ台にして、

その海色だけを目がけて飛び込んだ。

あきらめるのは好きではないので、

あまり飛び込んだことはないのだが、

これはやるだけやった結果であり、

仕方がない。

「これでいいのだ」

バカボンパパの気持ちとなった。

思った位置に着水でき、

伸ばした腕の角度を使って、

イルカのように波の裏側に出ることができた。

その間、

じつに5秒程度だろうか。

奇跡である。

これは普段から率先して遊んでいるボディサーフのおかげであり、

波をメイクすることはできなかったけど、

この怪物から逃れられることができて、

うまくいった気がして笑いが止まらなかった。

画像をよく見ると、

あの押し上げられる波の下に行けばメイクできたはずで、

もし同じようなことがあるのならそうしてみたいと感じた。

(理想ラインをレッドラインで示しました)

サーフィンはやはり面白い。

前出の細野晴臣さんではないが、

「この次はモアベターよ!」

(細野さんのトロピカル三部作、

最終アルバムである「はらいそ」より)

そんなアウトロが頭から離れない。

【三部作前編】

【サーフィン研究所:SR三部作前編】海神波_SR5000_ハードロック・地獄波とセクションT_(1782文字)

【巻末リンク*2:長安での空海】

【サーフィン研究所:感動号続編】大日如来_さまざまな神_強波チューンのメガ・クアッド_(1854文字)

Happy Surfing and Happy Summer!!