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【サーフィン研究所謹製:精神世界号】戯曲『ショアブレイク』_(2060文字)

台風うねりはついに小さくなった。

現在室戸岬沖のブイで100cm@8.5秒とあり、

ちょうど1mくらいの波が東南東から届いている。

Catch Surf® Skipper Fish Ⅵ 6’0″

Nakisurf Original Twin + Vektor VMK

.

空海のことを勉強していた。

「唐のサロン内」の脚本を書こうと、

カラス天狗の正体を調べていくと、

内容がSFみたいになってしまうのが悔しい。

Sting 1973 Ben Aipa / Hiroyuki Maeda

6’2″ x 21″ x 2-1/2″

.

これは最大サイズがあった

『ビッグ・ウェンズデー』の波。

エッジがしっかりと立ったパワフルな波質だった。

こういう日の波は、

反響音というか、

轟く音を想像するが、

実際にはそうではなく、

波トップが海面を叩く音の連続が重いビート音となって響く。

具体的には、

バキバキバキ

という輪郭が立った音だ。

これはこの日のパドルアウトの風景。

当然だが、

ここを通らないと波に乗ることはできない。

浜に立ったシギーGは、

長時間に渡り、

詳細からリズム、

鼓動と炸裂、

そして水平線の仔細と膨大の履歴を研究しつつ記憶していた。

そして、

ある瞬間、

「行ける」

と決意してパドルアウトしたが、

ごらんのようなことになってしまった。

今だから言えるが、

シギーはよくぞこれで無事だったと思う。

生き残った極意を聞いてみると、

「一切皆苦です」

ときっぱりと言う。

「イッサイ・カイクです」

実際にはそう聞こえた。

私がこうして漢字で書けるのは、

この音を知っているからなのと、

シギーは空海人なので、

彼のボキャブラリーの標準的な範疇だからだ。

さて、

このイッサイカイクとは、

「人生は思い通りにならない」

という意味だ。

なるほど、

この極限において、

普段からの教えを浮かべるだけで

「気持ちが落ち着ける」と気がついた。

さらに「他には?」と聞くと、

「諸行無常です」

そう言った。

ショギョームジョーは

「すべてはうつり変わるもの」

という意味で、

ブッダの教えでもある。

「達観が大切です。

肉体を即身宇宙へとうつすのです。

怖くはありません」

とも言った。

即身については、

サーフ世界では私の研究がございます。

巻末リンク(1〜5)しておきます。

精神的なことはわかったので、

具体的にシギーは何をしたのかと聞いてみると、

「手先を伸ばし、

波底部分に海底斜面と平行となるようにして、

指先から体を針のようにして、

まっすぐ深く波の中に突き刺しました」

「そして?」

「波の厚みはおよそ知っていましたので、

その塊が通過していくであろう時間を感じていました。

無心ですが、両手で頭と首を守っていました」

「波の中に入りこむときだけ体を棒状にしたんだね。すると?」

「僕はジュッダージャラジャラという音の中で気がつきました」

「砂利だ…」

「そうです。僕は砂利に包まれていました」

「ラッキーだよそれは」

「はい。イメージとしては、

天空の城ラピュタでの冒頭部分のシータをイメージしていました」

「ふーん。ゆっくりと空からシータが落ちてくるやつだ」

「その感覚が連続した後、足が底に付いたんです」

「やった!」

「けれど、立ち上がると、その次の波も怪物のようになってまた僕を襲うのです」

「村上春樹文体か」

「違います。1938年のデレク・ハートフィールドです」

「へぇ(わからなかったけど)」

そうやって、

話題は二人がしたかった文学話に移行していったが、

長くなるのでここまでとする。

その無事を祝うように波に乗ったシギー。

「沖に出たのはいいのですが、

今度は海から上がるときのことをずっと考えていました」

彼の気持ちがよくわかった。

私の無事は、

やはりハワイやコスタリカ波等の経験があるからに他ならず、

とすると、

あの日に乗った波が体に宿っているのだとわかり、

うれしくてこのように力がみなぎった。

みなぎった後は空腹となった。

土佐市の「ハレタ」に行き、

シギーはチキン南蛮定食に玉子焼きを追加注文し、

私はカツ丼とあいなった。

このカツは揚げたてで、

まるで専門店のカツ丼のようだ。

ちなみに唐揚げも同様に揚げたてであり、

「玉子焼きも焼き立てです!」ともあった。

「食堂風情なのに偉い〜」

と誉めたたえながら大盛カツ丼をほおばった。

ナッキー家謹製の、

志堅原ドラゴン・フルーツ。

視界は濃い甘さを想像するが、

実際にはガルガー滝からのそよ風のような、

淡い風味が口の中を通り抜けるような味だ。

この雲鳥を見て、

もっと文学をしたくなったが、

そろそろマンダラ・コーヒーのミーティング時間だ。

いつも読んでくださってありがとうございます。

みなさんの良い日が続きますように。

Happy Life!!

【巻末リンク:即身について:その1】

【サーフィン研究所】宇宙的な感覚の相互通行禁止について_(1782文字)

【巻末リンク*2:即身について:その2】

【サーフィン研究所特大号】サーフィンで精神世界の扉を開く_マンダラコーヒー近況報告_(2222文字)

【巻末リンク*3:即身について:その3:文芸系】

【サーフィン研究所・文学編】上弦の月

【巻末リンク*4:即身について:その4:文芸系】

【サーフィン研究所文学編】(サーフィンは)淡く、澄明な清浄_(1260文字)

【巻末リンク*5:宇宙的感覚=即身】

Happy Surfing!!