おととい、
——たぶんきっと全国的にそうだったのかもしれないが——
かなりの雨が降った。
その雨のなか、
仲間と一緒に波を待っていると、
いつのまにか雨は止んでいて、
それぞれのマンライに喜んだ美しい日となった。
Cosmos Classic 8’
.
『ベンチュラ・セイジのブルドラ講説』
というものがある。
ブルドラとはサーフスポットの名前だ。
日本語表記で青龍と記されると、
ブルース・リー宗派の目に止まるだろう。
チュラ先生による講義の内容は、
かなり熱が入ったものだが、
たいていは推察と考察によって一話完結する。
たとえば、
波の観察。
昨日にくらべてどうなのか、
数時間前にくらべてと変化を見つけていく。
つぎにその規則性を調べつつ、
法則を組み合わせ、
それを考察とする。
さらには、
その法則にまみれた波群に際しての、
波に乗るチャンスを見つけ、
自身や他のサーファーへの適用先を発見していく。
なぜ彼のことをここまで高く評価するのか?
きっと彼は大谷翔平くんの例と同様に、
極めてハンブル(謙虚)だということで、
事象の異なる
「無と有、否定と肯定の両方の意味」
という因果関係も含めて、
再構築できる覚悟がある。
ということで、
将来はさらに飛躍するであろう期待値までもがある。
これは余談だが、
チュラ先生は生粋の農家らしく、
いかに農作物を獣から守るかということに目を光らせている。
で、
昨日シャッチョさんによって、
タヌ氏が退散したとここに書いたが、
そのことを思い出すと、
あれはチュラ印の案山子(カカシ)によって、
タヌ氏の接近を許さなかったのかもしれなかった。
で、
ファースト・ピークには、
シャッチョさんやイズミくん、
またはしんじょうヤス君が待った。
セットが来ると、
セカンド・セクションの外れにブレイクする
「はぐれ波」をベンチュラ・セイジこと、
チュラさんがことごとく乗っていくのだった。
このはぐれ波のことだが、
英語名で、
『スインガー(swinger=当てはまらないというようなこと)」
とするのが適切だろうか。
とにかくチュラくんの読みがことごとく当たるので、
「あの波が来るのがわかるの?」
そう聞いてみた。
「空の理法をさとることでわかりますよ」
チュラくんはそう言った。
「え?クウのリホウを悟る?」
「くうとは、空なることです」
「お、般若心経か」
「はい。シーニャ(ゼロ)です」
「この世のものは存在しないというアレだね」
「本日はたいてい南空と南南西空がありまして、
それが合わさったものが、
あのスーパー・ライトでして、
それ自体の本質は存在しませんが、
ワタクシめはそれらに乗ります」
「ふーん」
「けれど、
乗った波は因縁によって生じたものであり、
不変的な実体はないのです」
「もうわからないよ」
「え〜、ナキさんならかんたんにわかりますよ〜」
「大乗仏教ならさ、
初期仏教を勉強した人を知っているよ」
「そんなお人が!」
「サンスクリット語界では、
はっぴいえんど並だとされる*人の三十八大弟子だってね」
「おお、バンチュータさんか!」
「さすが!伴さんだよ」
(*佐々木閑氏)
タキローと同じく、
高度な*DIQ(ドラグラIQ)38²(38の二乗)を誇るベンチュラ・セイジは、
明日からでもドラ大の講師ができるほどこの世界に精通している。
それにしても、
伴さんのことをここまで知っていることにはおどろかさせられた。
(*ドラグラ知能指数については巻末リンクを参照ください)
ちなみに伴さんは、
初期仏教の輪廻に入ろうとする人であり、
オーストラリア波で仕込んだクネクネを、
このようなドラグラボードでねじりこめるサーファーだ。
お人柄はすばらしく、
けれど地域性なのか、
甲賀忍者ケムマキの子孫であるようで、
または佐々木六角氏の印象を残している。
さらには、
特にむずかしいとされる海水魚類の気持ちを読みつつも、
チュラくんが心酔する般若心経の分野にも詳しいのだった。
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【巻末リンク:ドラグラIQ38²について】
【巻末リンク*2:伴宙太さんと草津へ】
【巻末リンク*3:ベンチュラ・セイジの由来】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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