〜8号までのあらすじ。
1970年代、ノースショアに住む「ぼく」は、
タウンに向かう途中でマウイ島に住む美女と再会する。
ワイキキでサーフする約束を車内でし、
カカアコで軽い食事をするため、
ポルトガル人の食堂にやってきた。
9.
「それで、そのカップルの話はどんなあらすじなの」
「ぼくたちみたいに、こうして出会うということだよ」
「まあ」
夏子ははっきりとした瞳を大きくして、
けれどとてもうれしそうな表情をした。
「もっと聞かせて」
その一言とともに、
彼女は、
突然、
にこっと笑った。
強いまっすぐな性格がそのまま出ている。
はっきりとした顔立ちのなかに、
その笑みは、
人の良い屈託のなさをも、
すくなくともぼくが顔を向けているあいだは、
見せてくれた。
(10に続く)
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