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【サーフィン研究所スペシャル】いにしえのサーフボード編:タイラー・ウォーレン1973ボンザー@奄美大島_(2222文字)

Amami Oshima

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奄美大島龍郷町手広海岸の夜明け。

ゴールドグリーンという言葉があるが、

その字面にふさわしい、そんな色彩だった。

ボンザーボード。

そうです。

タイラー・ウォーレンにお願いしたボンザーボードが完成し、

バリの山崎さんにお願いして持って来ていただいたのです。

これがベースとなったオリジナルボンザー。

(詳しくは巻末リンク*1を)

1973年のデザインだから、

46年も前の宇宙的サーフボード。

それがなんと奄美大島で初乗りできる。

夜明け時間を調べ、

その前に到着して着替えたりワックスアップをしていると、

美しい太陽が淡く昇ってきた。

奄美地方はずっと曇天だったので、

太陽が見られるだけで満たされた。

そしてこちらも届いたばかりの新型Z1サーフスーツ『ライト』。

石井博士の監修の元で軽さにこだわり、

柔らかく、動きやすい。

そんな機能スーツであります。

そして1973ボンザー。

タイラー・ウォーレンの完全コピー。

(巻末リンク*2へ)

ファーストパドルアウト。

そしてファーストウェイブはバレルとなった。

なんという縁でしょうか。

結局この日は四時間ぶっ通しでサーフしたけど、

この『最初の波』こそがウェイブオブザデーだった奇跡。

ある1本のことだが、

一緒にサーフしていた熊ちゃんが、

「今の、めちゃくちゃ速かったですね〜」

そんな言葉を賜ったとき、

私は龍に押される心持ちで波に乗っていたのだった。

このボンザーはやたらと速く、

そのターンの色気は、

1970年代のサイケデリックな快楽があり、

そして私は波に乗るたびに、

熱い血が体内を駆け巡り、

波乗りの持つ深い魅力に引き込まれていくのであった。

夢か幻か、

忘れられない日。

Z1ライトの軽さといったら、

ライクラスーツを着ているようで、

パドリングのストレスは全く感じなかった。

軽いってすばらしい。

熊ちゃんは長いレフトに駆けていった。

島から世界に発信するアーティストでもあります。

ラカ法王が先に乗り、

私が次の波に。

法王はターン良く、

波待ちの姿勢良く、パドリングもよろしかった。

法王はレイルコントロールに長けてらして、

バレルが小さくとも、

視界だけは確保してバーチャル的にメイクしてみせるのだった。

法王の笑顔に癒される。

これを明治時代の最高敬語で表現するとこうなった。

言葉に興味がない方は飛ばして読み進めください。

後半にボンザーシステムの真実があります。

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法王親しく明神崎を北越に巡幸し給う北東波
万民為に輪廻を祝う時は
平成参拾壱年弐月鳳凰浮かばせ
この地に留めさせ玉ひて畏くも真鰻捻を行在所充て玉ふた。
波方には光照の近境悉く梵参持参家来ありて
一面朝陽を照らし浄め法王を待奉った。
東雲に法王は龍顔麗しくお着きになった。
(中略)
法王には本波にお出ましまして空なる成仏の火を点し、
波胎を翠雨滑走し光輝を放ち天乗あらせられた。
御聖情の厚き畏くも有難い艶姿行幸ここに。
玉響。

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[読み解くキーワード]

鳳凰浮かばせ=昨日のこのブログを参照のこと

真鰻捻=真のウネクネ

梵参=ボンザー

家来=私

東雲=しののめ、夜明け前に茜色にそまる空のこと

龍顔=天子の顔

波胎を翠雨滑走=バレル内の水しぶきを受けながら滑った

天乗=天に昇るライディング、テンライ

艶姿=あですがた

行幸=旅

玉響=たまゆら、儚き一瞬のこと

上がってくると、

3Dウエッジは激混みだった。

熊ちゃんは、

目を入れてボードをチェックするのであった。

Tyler Warren’s 1973 Bonzer

6’5″ x 19-7/8″ x 2-7/8″

ボンザーはサーフボードのシステムであり、

思想でもある。(巻末注釈リンク*3に)

そのことはアレックス・ノスト総帥が思想的に傾倒し、

また発案者キャンベルブラザーズをRVCAが支持し、

その作品群を展示することから読み取れる。

私たちのウナクネ式。

その総帥アレックス・ノストは、

誕生されたときに右手でサイドフィンを示し、

左手でセンターフィンの形をなぞらえ、

「天上天下唯BONZER独尊」と話したとされている。

「これは全世界でボンザーが一番尊い」

と広く解釈されているが、

じつはこの場合のボンザーとは、

サーフボードのシステムではなく、

「ボン=梵、ブラフマン:宇宙を支配する原理」

「ザー=3、参。欲界・色界・無色界の三界」

ではないか、というのが最近の学説に多く見られる。

総帥は16歳で解脱、

それからというものは、

常に一切智智を備えたクネリ(瞑想)を積極的に行い、

世界は空(くう)、つまりウナクネであると観ぜている。

そのウナクネを観ずる修行法は、

それぞれウナクネ三昧(ざんまい=サーフィングに多くの時間を割くこと)、

無相三昧(寛大な心で衆勢と接し、COOLを貫くこと)と、

無願(無作=多くを望まない、ターンの数を減らす)三昧とを伴い、

この三三昧を三解脱門(さんげだつもん)という導きで後世に伝えようとしている。

簡単ではありますが、

これが一切の衆生を済度する教え(ウナクネ式)なのです。

(ウナクネは巻末リンク*4に激烈詳しいのがあります)

そんな思想とセクシーな視界が迫るサーフボードがうれしく、

谷崎潤一郎の著書のような官能的な気持ちとなっていくのであった。

了。

【巻末注釈リンク*1:1970年製のオリジナルボンザー】

【週末タイラー祭り三連発その1】”タイラー・ウォーレン1973ボンザー”誕生までのドキュメント_(2015文字)

【巻末注釈リンク*2:タイラー・ウォーレンについて】

【巻末注釈リンク*3:ボンザーについて】

【巻末注釈リンク*4:ウナクネ式思想】

【ウナクネ大全】天上天下唯梵参独尊_アレックス・ノスト総帥は龍顔麗しく教会岬にお着きになった_(1887文字)

Happy Surfing!!