これは日曜日の夕方から夜にかけて催された、
「クレージームーン・パーティ」その後編であります。
前編はこちら↓
https://www.nakisurf.com/blog/naki/archives/66077
それはすごいクレージーな月(スーパー・ブラッドムーン)だというので、
アレックス・ノスト総帥(そうすい)の呼びかけで、
フォードアーズに集まったウナクネ支持者たち。
総帥が着ているのは、
1970年代のバドワイザーロゴT。
「この形がサーフボード中央に入っていたらかっこいいのに」
そう言うので、
いつか彼のボードブランドロゴのデザインをしてみようと思った。
このスーパー・ブラッドムーン日は、
総帥のアイロニーを貫くインスタグラムが珍しくまともだった。
もしかすると満月は、普通の人を狂わせるとされているが、
このクレージームーンは、まともでない人が普通になる日なのだろうか。
このインスタグラム投稿を整理すると、
ジャスティン・アダムスことフィッシュゴッドが、
彼が言う「究極な長さ』の4’8″フィッシュをシェイプしたという。
そしてこの宴はそのフィッシュのお披露目日でもあったようです。
まずはそれをフォーちゃんことフォード・アーチボルドが乗った。
それは上手にクネっているフォードを見て、
その感動的であるはずの感想を聞きたくて、
彼が上がってくるのを今か今かとわくわくして待っていたジャスティン。
「ううう、どうだった?」
「ヘイ、ジャスティン、これじゃ短すぎて波に乗れないぜ」
そんな正直な意見をフォードが伝えると、
純粋なジャスティンはショボーンとしてしまい、
そのやりとりを見ていた総帥が、
「そんなことないよ。これこそは良いフィッシュだ。グッドフィッシュ、いいお魚だ」
そう助け船を出しながら乗ることに。
ジャスティンの大きな落胆に気づかないフォーちゃんは、
ソースイボンザーを手にして、「うん、これなら浮くな」
とワックスアップ。
総帥は、やはりウナクネ流派の最高師範だけあって、
そのJA4’8″フィッシュを軽くハングファイブしてみせた。
これをまばたきもせずに目撃したジャスティンは、
「うう、ウナクネの精神性の中に原理的なものを再発見するにいたるファイブだ……」
ぶつぶつとつぶやいていた。
たかがサーフボードされどサーフボード。
精神性やら原理的と、やたらとむずかしい世界であります。
そんなむずかしさのひとかけらも持っていない二人は、
30分ほどのマンライセッションを終え、それら笑顔がさらなる笑顔になっていた。
やはりウナクネ流派は、
いつくしみの豊かさと、許しの大切さが根底になるのだと再認識した。
ザ・ペソズの谷田くんことヤーン・ペシーノと、
ブレンダ・シーピーがロスアンジェルスから登場した。
人生50年近く生きてきたけど、
谷田(ヤタ)くんほど、
宇宙クラスの天才的な才能を持っている人を見たことがない。
偉大なる彫刻家のアーリック・ユールが、
彼が創造したフィンレスを抱えて参加した。(右)
次にシングルフィンに乗った総帥。
レフト方面に行くと、
フランスに帰ったはずのロビー・キーガルが波に乗っていて、
この美しくも大胆過激なカットバックを見せた。
彼もまた個性的なウナクネ師範であります。
7フィートサイズ・シングルフィンの総帥。
そのスタイルは大気圏を超えている。
フォーちゃんは、
「おーし、この板で今一度」そう言いながらパドルアウトしていった。
これこそが、オリジナルのキャンベルブラザー・ボードだと知っているのだろうか?
コレクターにとっては美術品そのものである。
沖でアーリックとボードを交換した総帥。
突然フィンレスとなっていて、
銀河系クラスの波乗りを披露していた。
フィンレスはウナクネ流派にとってなくてはならないジャンルだが、
その難易度のために乗るメンバーが不足している。
これまではデレック・ハインドとジャスティン・アダムスが、
フィンレス乗りの達人だと思っていたが、
総帥はその彼らの表現以上のものをしてみせた。
彼こそが、
ウナクネ流派の最高位満足乗者の称号を得るものだと目撃者たちは完全確認した。
こうしてありとあらゆる角度でボードを滑らせるというのは、
どういう気分なのだろうか?
本当にすごい。
陸側の宴。
Seeaのマケイラと目覚めたばかりのジャック・リンチが見える。
また時間が前後してしまうが、
ジャスティン・アダムスの4’8″に乗った私。
フォードが言うように凡人には短すぎて浮かないのと、
アウトラインが丸すぎて、
それはまつでコネコネ団子を丸めているようなターンになってしまう。
「まあ、乗れないことはない」
そんな評価をしながら先日乗ったドリームクラッシャーでこの波をうんならかしたい衝動に駆られていた。
干潮のオールドマンズが後ろに見える。
ウナクネメンバーがオールドマンズに行かない理由は、
岸から遠いブレイクなので、サーファーとギャラリーとの一体感がないからだと思う。
夕陽頃に上がってきたフォーちゃん。
美しいフィンレスでのボトムターンをする総帥。
角度、速度、スタイル、全てが完璧。
ここに登場しているウナクネ幹部たちは、
天才写真家ジャック・コールマンに連れられてノースショアに行ってしまったが、
彼らがいなくなったら突然さびしくなってしまった。
私もそろそろ新しいことをしなくては。
このような月を見ることは人生でもう一度あるのか、または次の生だろうか?
または1000年後?
そんな果てしなさ時間の長さが天体にはある。
さよならこの人生、
もし1000年後に戻ってこられたとしてもこの記憶はどこにもないのだろうか。
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閑話休題。
ユーリイ・ノルシュテイン作品の
『霧につつまれたハリネズミ』(Ёжик в тумане / Yozhik v tumane)をみなさんにご紹介したい。
これは40年前(1975年)のソビエト連邦発のアニメーション。
宮崎駿さんが出現して長い間この部門を凌駕していたが、
次の世代のユーリイか宮崎さんの創造をつなげるものは誰なのだろうか?
私も想像力の世界をもっと拡げたい。
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