〜3までのあらすじ。
1970年代、
ノースショアに住む主人公は、
タウンに向かう途中、
ハレイヴァで知り合いの美女と会い、
一緒に行くことになった。
4.
雨が降っていたようで、
木々の緑がかがやいていた。
空は水色だが、
ハイウエイの左奥に海岸線に沿ってのびる山なみの重畳は、
その水色の空に淡いコントラストをつけていた。
ツリー・トンネルと呼ばれる樹木のトンネルがある、
そこを通り抜けるとき、
大粒の雫がおちてきて、
ランチェロのフロント・シールドを濡らした。
ステアリングの右にある四角柱の細いバーを下げると、
ウィンドシールド・ワイパーが動き、
水をぬぐった。
左右のワイパー・ブレードが届かないところでは、
水滴はガラスの表面に薄くひきのばされ、
たいていの場合、
その薄い水の膜は横に流れていった。
カメハメハ・ハイウエイではなく、
カウコナフア・ロードを使ったのは、
景色と交通量の少なさという理由に相まって、
ミリラニ・タウンに出られるから迷わずに使った。
ミリラニで軍用のブーツを探そうと思っていたのだが、
夏子にとってはきっと関係がないだろう、
寄ろうか寄るまいかと考えつつ、
ぼくはKPOIのハワイアン・ミュージックのヴォリュームを少しだけ上げた。
(5に続く)