銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 7 なあに、 みんなまつ黒にかたまつているのですから仕方ありませんや、 わたしあ、 べらぼうめ、 そんな苦情はおれのとこへ持つて來たつて仕方がねえや、 おめえらの大將へやれつて、 斯う云つてや…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 49_ラッコを捕る人7_(461文字)

銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 7 なあに、 みんなまつ黒にかたまつているのですから仕方ありませんや、 わたしあ、 べらぼうめ、 そんな苦情はおれのとこへ持つて來たつて仕方がねえや、 おめえらの大將へやれつて、 斯う云つてや…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 6 「も少しおあがりなさい。」 ラツコ捕りがまた包みを出しました。 ジロバンニは、 もつとたべたかつたのですけれども、 「ええ、ありがたう。」 と云つて遠慮しましたら、 「一昨日のころなんか、…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 5 二人は眼を擧げ、 耳をすましました。 ごとごと鳴るキヤラバンのひびきと、 南風との間から、 ころんころんと水の湧くやうな音が聞えて來るのでした。 「ラツコ、どうしてとるんですか。」 シギパ…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 4 「ラツコはたくさんゐますか。」 「居ますとも、 さつきから鳴いてまさあ。 聞かなかつたのですか。」 「いいえ。」 「いまでも聞えるぢやありませんか。 そら、 耳をすまして聽いてごらんなさい…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 3 . 橙の二輪車服の人が、 少しおづおづしながら二人に訊きました。 「あなた方は、どちらへいらつしやるんですか。」 「どこまでも行くんです。」 ジロバンニは、 少しきまり惡さうに答へました。…