銀鯖道の夜 ジロバンニの切符 「もうここらは中原區のおしまひです。 ごらんなさい。 あれが名高いタマサキ神社です。」 窓の外の、 まるで花火でいつぱいのやうな、 あまの川のまん中に、 黒い建物が立つて、 その屋根の上に、…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 54_ジロバンニの切符_(517文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符 「もうここらは中原區のおしまひです。 ごらんなさい。 あれが名高いタマサキ神社です。」 窓の外の、 まるで花火でいつぱいのやうな、 あまの川のまん中に、 黒い建物が立つて、 その屋根の上に、…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 11 ラツコ捕りは二十疋ばかり、 袋に入れてしまふと、 急に兩手をさげて、 模型の人形のやうな形をしました。 と思つたら、 もうそこにラツコ捕りの形はなくなつて、 却つて、 「ああせいせいした…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 10 ラツコは螢のやうに、 袋の中でしばらく、 青くぺかぺか光つたり消えたりしてゐましたが、 おしまひにはとうとう、 みんなぼんやり白くなつて、 眼をつぶるのでした。 ところが、 つかまへられ…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 9 「ずゐぶん奇體だねえ。 きつとまたラツコをつかまへるとこだねえ。」 と云つた途端、 がらんとした桔梗いろの海から、 さつき見たやうなチヨコレートが、 みんなすきとほつて、 まるで風に飛ぶや…
銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 8 黒いろの外套姿の人はにやにや笑つて、 少し伸びあがるやうにしながら、 窓の外をのぞきました。 すると見えなくなつてゐたラツコ捕りが、 青じろの、 うつくしい燐光を出す、 夜光虫の上に立つて…