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【サーフィン研究所特大号】 小島さんの天界味覚とハッピーサーフィンの絆_『ベージュ アラン・デュカス東京』_(4743文字)

大瀧詠一さんの「雨のウェンズデイ」は、

シングルA面の曲だが、

こちらは、

『雨のサーズデー』という写真を本日の冒頭に持ってきた。

場所は銀座。

ここではランボルギーニの新しいSUVを生で初めて見た。

この前身は、ランボルギーニLM002だ。

そう思うと、

LMも東京(西麻布)で品川ナンバーで見かけた。

こういう一流車があふれるのは、

きっと大都市である大阪も、

同時に京都や福岡も同じなのだろうか。

そのLM002のライセンス・プレート(ナンバープレート)が、

『・723』だったとまでおぼえている。

これがそのLM002。

LMはランボルギーニ・ミリタリアの略。

これは本稿とはあまり関係がないので先を急ぐ。

大瀧さんの「雨のウェンズデイ」に戻る。

この楽曲はティンパンこと、

ティンパン・アレーのメンバーでレコーディングされたことはあまり知られていない。

ティンパンとは、

べースがYMOの細野晴臣さん、

ピアノがユーミンの夫松任谷正隆さん。

はっぴいえんどの鈴木茂さんがギター、

そしてここ北鎌倉に住む林立夫さんがドラム。

作詞が松本隆さんで、

ヴォーカルが大瀧さん。

当時のオールスター・メンバーである。

さて、

銀座に話をもどしていく。

マリリン・モンローは、

「シャネルの5番だけをまとって睡る」

という話は有名だろう。

私的にはすでに忘却の彼方に行ってしまっていたが、

この作品を見てそのことを思い出した。

いままで香水の成り立ちというのをあまり知らなかったが、

大きく分けてセクシー系と清楚系があり、

前者はジャスミンとチューベローズ(月下香)の精油がベースだとあった。

化学ではなく自然派なのである。

そしてちょうど100年前にこの有名すぎる香水

『シャネルの5番」が誕生した。

(1921年5月5日)

Sting 1973 Ben Aipa / Hiroyuki Maeda

6’2″ x 21″ x 2-1/2″

.

そのシャネルの5番ではないが、

わたしには1973の62(シックス・ツー)がある。

そして私には、

ルーク・スカイウォーカーをも上回るフォースの持ち主がいる。

それは横山泰介さんだ。

私は18歳のときに彼の理力を初めて見た。

当時、

ビジターが100%悪いというサーフィン事件があった。

この被害者となった先輩は、

自分は100%正しいという正論を背中に気合を入れて怒る。

でもなぜかそのビジター・サーファーは逆ギレ。

スカシーの河合さんなら「うわうわ」と言うシチュエーションだった。

「ああ、どうしようか」

どうなるのかと感じたその瞬間に泰介さんがさっと出ていって、

「ダメだよサーフィンで喧嘩したら」

びしりと二人にそう言ったのだ。

さらに、

「サーフィンは楽しいものだぜ」

そうやってその場を収めた。

先輩は泰介さんの裁定に目を丸くし、

ビジターは強がっていただけのようでホッとしていた。

Photo by Yuko Torisu

at Surfers Zushi

 

それまでマイヒーローはトム・カレンだったが、

思想のヒーローは泰介さんと制定した瞬間だった。

泰介さんがハッピーサーフィン王だと今でも思っている。

鎌倉の怖い先輩たちも泰介さんには一目置いていた感がある。

Photo by Yuko Torisu

.

このときはちょうどサーファーズ岬でサーフして、

それからヌマさんと同じタイミングで泰介さんがやってきた。

いま、

この鳥巣さん作品を見て、

小島さんは本当にサーフィンがお好きなんだなぁと改めて感じた。

Photo by Yuko Torisu

.

ボードを見る目が違う。

やはり超一流は、

好きなものに対して目をハートにさせる理力(フォース)を持つのだろう。

そういえば帰りの車内で小島さんがボソリと、

「あのボードいいね」

そんな話題になった。

材木座海岸に抜ける夕陽トンネルの話にもなり、

私たちはサーフィンの話を続けた。

小島さんには、

このスティングでこんないい波も乗り、

波壁をGを感じながら滑走したことや、

ジュクオンのタル(緩慢)波で、

レイルをパウダースノーのように傾けたこと、

このサーフボードのことをもっともっと話したかった。

けれど、

話はあちらに飛び、

こちらにちぎれ、

けれども私たちは、

大好きなサーファーズ岬波にささやかに乗った感動を胸に抱きつつ、

ウニの恐怖を陰と陽という位置として、

夕陽色となったアーバン・アイランド・ソシエティを左手に見ながら車を走らせた。

時は少しさかのぼって、

冒頭のランボルギーニとシャネルの5番の舞台となった銀座に戻る。

日本中に銀座はあるが、

この銀座が本家というか老舗だろう。

メイン通りのひとつ、

3丁目シャネル・ビルのエレベーターに招かれると、

ベージュと書かれた丸いボタンがあった。

それを撮ろうとすると、

鳥巣さんが同じことをされていた。

撮るタイミングが同じことにうれしくなった。

銀座には世界一があるという。

なんの世界一かというと、

料理の世界一だ。

もちろんパリにも、

ベルギーにも、

そして各地方と、

さまざまな場所で食の世界一があるが、

前出したサーフィン大好き40年超えのコジマさんこと、

小島景さんを料理界で例えると、

大谷翔平くんと同じ世界トップ・タイだ。

(現在:メジャーリーグ・ベースボールでの

ホームラン・トップ・タイが大谷翔平。

このペースだと年間49本強という計算となるそうだ)

鳥巣さんとのお祝いごとがあって、

その世界一の小島景さんのお料理をいただけることとなった。

Photo by Yuko Torisu

.

ベージュのフロアに上がり、

小島さんと七人の侍ではないが、

11人の料理人たちを拝見させていただいた。

国際色豊かであり、

しっかりとした未来が約束されたチームだともわかった。

このキッチンを見て、

料理好きの母をここに連れて来たかった。

おいしいものが大好きな父親と来たかった。

魂ならばもしかしたら来ているかも?

だったら中村のおやっさんも来ていたらいいのに。

そんなことを考えていた。

食器もお皿も、

なんでもかんでもすてきでエレガントだと思ってしまうのは、

アラン・デュカスの魔法だからだろうか?

いや、

小島さんの仕業だ。

シャネル・ビルに入ったときから変な感覚だったが、

そんな天界にも似たタキビパレス感がこのときにあったのだと今はわかる。

お上のお達しにより、

酒類の提供はできないというが、

なんと、

さすが世界一のお店だ。

ノン・アルコールのスパークリング・ワインがあるという。

それに合わせたディッシュが数々とやってくる。

信じられないほどおいしいパンがあり、

濃厚かつ細緻で透明な味のバターをたっぷりと付けていただくと、

『セテ・トロ・ボン(C’était trop bon)』

フランス語で鳥巣さんが感銘されていた。

パンはこれから多種いただくことになるのだが、

小島さんが教えてくれたところによると、

ベージュには、

フランスからやってきたパン焼き名人がいて、

彼は石窯の中にプレートを敷かずに直焼きするため、

パンの底を焦がしてしまうという。

「こんなに焦げて大丈夫なの?」

総料理長の小島さんはそう懐疑的に試食をされるとなんと、

「おいしい〜!」

感嘆符に変わるほど、

評価が変わったのだという。

とにかく、

このおいしいフランスパン群は、

チーズの際のイチジク仕込みまで私たちを楽しませてくれた。

色彩に例えられるほどの多様性を持つ微変なる味覚のさざなみ。

そんなことを書いたらYMOの

『君に胸キュン』の歌詞を思い出した。

さざ波のラインダンス

時間だけこわれてく

まなざしのボルテージ

熱くしながら

君に胸キュン

味の印画紙

こころの中に焼き付けて

君に胸キュン

ぼくはといえば

がらにもなくノン・アルコール

こころの距離を計る

罪つくりな一皿

目を伏せた一瞬の

せつなさがいい

なかでも圧巻だったのが、

ポワソンで出てきた初鰹とワカメのプレートだろうか。

和食に見えるが、

ブラッド・オレンジとホワイト・アスパラ。

メインのカツオくんに至っては、

高知はスカシーの近く、

土佐備長炭で焼いた芳醇なるみっしりとした身が、

絶妙なる味と熱の入り方で、

ココ・シャネルのヨットの帆にも似たワカメが慈悲のような風を受ける。

これは小島さんの外柔内剛(がいじゅうないごう)の探求があり、

さまざまなことが凝縮して、

原子と分子が配列して2021年5月に結晶したものだとすら思えた。

口直しのグラニテ。

私の貴重な食体験の最終章の幕明けとしては、

これ以上もこれ以下も考えられないほどの爽明な冷旨があった。

ヴィアンドは和牛をお願いした。

かねがね世界一を食べてみたいと思っていたので、

それを制定するチャンスだと羅列のような願いがあり、

その想いに十分すぎるほど応えたお肉とソースだった。

Photo by Yuko Torisu

.

マダムたちは子羊だという。

美しい盛り付けに銀座ではなく、

パリ8区のそらが反射して映っているようだ。

さらには、

007ではないが、

味のスパイとして、

モリーユ茸 (Morilles)が添えられていた。

これが絶品で、

これが裏メインという二刀流に全員のこころが溶けた。

さきほどの作品を撮ってくれた鳥巣さんをこちら側から撮ると、

雨に煙るそらが映っていて、

冒頭の雨のウエンズデーのメロディが湧き、

そして細野さんのベースラインが轟いた。

圧巻のデザート3種は、

ヴィンテージ・ラムのサヴァランと、

ベリー系のひかりが燦爛と輝くような逸品。

今まで明るいところで暮らしていたのに、

これまでが深淵だったと思えるほど視界は稲光りし、

自分の被光状態を示した。

シャネルのボタンを模したというテリーヌ・ドゥ・ショコラ。

チョコレート界の法王だとも聞こえてきた。

ホーオーホーオー!

重厚で華麗なアート感という味覚に満たされた。

伝統と奔放。

精緻と大胆。

さまざまな手法を使ってやってきた食体験が終わろうとするころ、

一枚のチョコレートがテーブルに置かれた。

なんと、

そこにはフランス語で

『Bon Surfant(ハッピーサーフィン)』と書かれていた。

うれしくて視界がにじむと、

小島さんが席にやってきてくれた。

私たちが作った自慢のカレンダーと、

ハッピーサーフィンのステッカーをお渡し、

料理のお話ばかりを伺った。

(写真を撮る時だけマスクを外していただきました)

初鰹の羽根となったワカメのこと、

信じられないほどおいしかったモリーユ茸のこと。

備長炭のこと、

料理の心構えのこと等々。

小島さんは、

サーフィンのときと同じように最後まで見送ってくれて、

なんだか名残惜しい気持ちとなった。

「セテ・パッフエェ(C’était parfait)」

と言おうか迷った。

(こういうのは、賛辞すぎて遠い言葉もあるので、

いつか小島さんに聞いてみよう)

それから私たちは美術を見て歩いた。

ふと気づいたのが、

フランス文化があり、

服飾にはガブリエル・シャネルがいて、

現代料理界に小島さんがやってきて、

今日も情熱を結晶させながら想像を実像化させている。

そんなことをここシャネル美術館で思った。

ちなみにシャツは、

アーバン・アイランド・ソシエティのアートピースなのもうれしかった。

(巻末リンク*3を参照ください)

メインパーソンとなった小島さんと泰介さん。

ご一緒した鳥巣さん、

香りと味に鋭敏なナッキーの感想、

ジャイアンのシャツ。

自分の周りにいる人の広大な魅力に触れた日でもあった。

そしてハッピーサーフィンがつないだご縁にもノン・アルコールで乾杯。(笑)

【巻末リンク:冒頭に書いた楽曲】

【巻末リンク*2:ハッピーサーフィン日記一覧】

小夏日サンオノフレ_スポーツ・ユーティリティ・ビークル今昔_(1278文字)

【巻末リンク*3:このシャツを得た日から幸運上向き】

【サーフィン研究所鎌倉本局特大号】ソフトボードのUSツアー2021開催!!_鎌倉のホノルル『アーバン・アイランド・ソシエティ』とアイス・キッチン_(2188文字)

【巻末リンク*4:この日の序章はこちら】

【サーフィン研究所】忘れられない食体験@銀座_鎌倉&逗子サーファーズ_(1458文字)

Happy Surfing and Happy Lifestyle!!