〜11号までのあらすじ。
1970年代、ノースショアに住む「ぼく」は、
タウンに向かう途中でマウイ島に住む美女と再会する。
ワイキキでサーフする約束をし、
途中に立ち寄ったカカアコで、
ぼくは彼女に抱く気持ちを伝え、
フォード・ランチェロを走らせていると、
レッド・ツェッペリンの『天国への階段』がラジオからかかり、
伝説のHIC公演のことを思い浮かべた。
12.
8分にもいたる楽曲は、
フィナーレの第三部にさしかかった。
ダブルネックのギブソン12弦(EDS-1275)が鳴らされ、
膨張して、
破裂に近いアッチェレランド(accelerando)があった。
ジミー・ペイジのヤードバード時代のことをぼんやりと思い浮かべていると、
KIKIラジオからの、
トラフィック・インフォメーションがぼくをカラカウア大通りに連れ戻した。
“ロン・ヴァネッサ”
という歯切れのよいオフィサー によるトラフィック・インフォメーションは、
H2の工事によって、
パール・シティのジャンクションの混雑を伝えていただけで、
他は、
めずらしく順調だった。
アメリカ政府が介入し、
ドルが変動相場制となり、
日本からの観光客が激増した。
その来島数と比例するように、
建設業、
サービス業、
そして商業と、
島の景気が劇的に上がっていた。
(13に続く)