
長いコスタリカの夢を見ていた。
その記憶が消失しないうちにたぐりよせると、
すばらしい波に乗り続け、
街で唯一の夕食が食べられる食堂に行き、
ピザを食べるという内容だった。

コスタリカにはかなりの回数で行った。
ハコ・ビーチ周辺のカリチェ岬を拠点にしたこともある。

ロブ・マチャドがキロメートルの長さをリッピングし、
世界に伝えたスーパー・レフト、
パヴォネス、
そして初代SNAPTの撮影のためにチャッキーこと、
ローガン・ドゥリアンの、
三週間に渡るセグメントだったこともある。

けれど直近の、
プラヤ・ネグラの波は私に決して忘れられない記憶を焼き付けている。

なぜならサーファーズ岬の南西うねりにそっくりだったのだ。
ファースト・セクションだけがそうなのだが、
テイクオフのときに見える斜面の落ち方と、
実際の崩れかたが酷似していたのだ。

もっと書くと、
ここはタイラー・ウォーレンが紹介してくれたスポットで、
クリスマスを過ぎると、
どのサーフスポットよりも混雑するとも聞いていた。

そこで私たちがオフシーズンに行くと、
ご覧のような波が毎日ひっきりなしにやって来ていた。

しかも混雑時間で10人程度、
たいていは5人が散らばり、
当然ラテン系の笑顔と明るさのラインナップだった。

朝が早い国なので、
9時過ぎには人がいなくなって、
また夕陽の時間に向けて人は増えていく。

けれど最盛期でサーファー20人が沖に浮かび、
ブレイク前のホテルの中庭にはサンセットタイムを楽しむ人たちが、
数家族を合わせて30人くらいがいるビーチだ。

なにがすごいのかというと、
奇跡でもなんでもなく、
当然のごとく毎日、
終日オフショアなのだ。

違いは、
ものすごく強いか、
強烈なオフショアであるといったところで、
朝早くともしっかりと吹く風に驚かさせられた。

このオフショアの原因は、
内陸にあるニカラグア湖の仕業だという。

湖といっても世界10大サイズの淡水湖だ。
調べてみると、
なんと琵琶湖の12倍、
静岡県(7777km平方メートル)よりも大きな面積があった。

もはや途方もないほど広大なのだ。
(ニカラグア湖/8029km平方メートル、
琵琶湖669平方メートル)

常夏の中南米の中央は、
ご想像通り温かな海がある。

12月でも水温30度あるだろう。

その高い水温が大気を動かす。
この温度差が、
サーマルと表記するものだ。

この温かな海によって、
大気は暖まり、
上昇気流となって大量に空に昇っていく。

その大気を供給するのが、
後方にある冷えた水たまりの大気という気象システムだ。

「強烈なオフショア」と書いた。
これはいかに海が急激に暖まっているかを示している。

そのくらい温かい。
干潮になると、
私が「温泉」と呼ぶ水たまりも出現した。

陸側の浅いところでは熱くなるものもあった。
ただ、
カニだかエビの子のようなものが泳いでいるので、
痒いのが本物の温泉と違うところだ。

冷えた湖と温かい海の温度差が、
終日オフショアの要因を作り出す。

通常ならば、
暑い季節は気温の上昇に伴って、
陸地が急速に暖められ上昇気流が起こる。

陸地よりも冷たい海上の空気が陸地に向かって流れ、
オンショアが吹く。

これをサーマルと呼ぶが、
このニカラグア湖周辺では、
海に向かってサーマルが吹く。

つまり、
オフショアとなるのだ。
しかもその面積が膨大なので、
かなりの強風となる。

そんなサーフ天国にいた夢で、
あのときのことを思い出すと、
波、
食べもの、
土地すべてが無垢のようで、
都会や時代にすっかりと汚されてしまった私たちのこころを洗ってくれていたのだと、
そんなことをぼんやりと考えていた。

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【巻末リンク:旅後半で知り合った
ケーシー(KC)が車を持っていた編】
【巻末リンク*2:波それぞれ】
【巻末リンク*3:ナッキーのバレル】
Happy Surfing and Happy Lifestyles!!
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