銀鯖道の夜 ジロバンニの切符7 「もうぢき酒井の停車場だよ。」 シギパネルラが向う岸の、 三つならんだ小さな青じろい三角標と地圖とを見較べて云ひました。 ジロバンニはなんだかわけもわからずに、 となりのラツコ捕りが氣の毒…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 59_ジロバンニの切符6_(1206文字)
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符6 すると、 ラツコ捕りが横からちらつとそれを見てあわてたやうに云ひました。 「おや、こいつは大したもんですぜ。 こいつはもう、 ほんたうの天上へさへ行ける切符だ。 天上どこぢやない、 どこで…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 58_ジロバンニの切符5_(584文字)
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符5 「これは三次空間の方からお持ちになつたのですか。」 車掌がたづねました。 「何だかわかりません。」 もう大丈夫だと安心しながらジロバンニは、 そつちを見あげてくつくつ笑ひました。 「よろし…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 57_ジロバンニの切符4_(560文字)
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符4 車掌はちよつと見て、 すぐ眼をそらして (あなた方のは?) といふやうに、 指をうごかしながら、 手をジロバンニたちの方へ出しました。 「さあ。」 ジロバンニは困つて、 もぢもぢしてゐまし…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 56_ジロバンニの切符3_(628文字)
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符3 「あれは、 波の高さをはかる器械です。」 ラツコ捕りが云ひかけたとき、 「切符を拜見いたします。」 帽子をかぶつたもうひとりのラツコ捕りが、 いつか三人の席の横に、 まつすぐに立つてゐて云…