銀鯖道の夜 ジロバンニの切符24 キヤラバンは、 もう露の降りかかつた櫻の道をどんどんのぼつて行きました。 「いかがですか。 かういふ苹果はおはじめてでせう。」 向うの席の燈臺看守が、 いつか黄金と紅でうつくしくいろどら…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 77_ジロバンニの切符24_(463文字)

銀鯖道の夜 ジロバンニの切符24 キヤラバンは、 もう露の降りかかつた櫻の道をどんどんのぼつて行きました。 「いかがですか。 かういふ苹果はおはじめてでせう。」 向うの席の燈臺看守が、 いつか黄金と紅でうつくしくいろどら…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符23 ごとごととキヤラバンはきらびやかな櫻の道を進みました。 窓を見るとまるで幻燈のやうでした。 百も千もの大小さまざまのすきとほつた綺麗な花びらは、 夢のやうに燃えてゐて、 ジロバンニはわれ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符22 シギパネルラは 「なにがしあはせかわからないです。 ほんたうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら、 クローズアウトもクラヤミもみんなほんたうの幸福に近づく一あ…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符21 そこから小さな嘆息やいのりの聲が聞え、 ジロバンニもシギパネルラもいままで忘れてゐたいろいろのことをぼんやり思ひ出して眼が熱くなりました。 (ああ、そこはタキビパレスといふのではなかつた…
銀鯖道の夜 ジロバンニの切符20 シギパネルラは、 なにかほんたうに決心してゐるやうに見えました。 俄かに、 車のそとが、 ぱつと白く明るくなりました。 見ると、 もうじつに、 金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたや…