銀鯖道の夜 ラッコを捕る人 2 キヤラバンはもう、 しづかにうごいてゐたのです。 シギパネルラは、 車の天井を、 あちこち見てゐました。 その一つのあかりに黒い甲蟲がとまつて、 その影が大きく天井にうつつてゐたのです。 …
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 43_ラッコを捕る人_(506文字)
銀鯖道の夜 四拾参 ラッコを捕る人 1 「今晩は。」 親切さうな大人の聲が、 二人のうしろで聞えました。 橙の二輪車が描かれた服を着て、 白い布でつつんだ荷物を、 二つに分けて肩にかけた人でした。 ジロバンニは、 なにか…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 42_南十字路とタキビシン海岸15_(446文字)
銀鯖道の夜 四拾弐 南十字路とタキビシン海岸15 シギパネルラは、 窓から外をのぞきながら、 勢よく云ひました。 「ああしまつた。 ぼく、 コスモスを忘れてきた。 COJI-COJIも忘れてきた。 けれど構はない。 もう…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 41_南十字路とタキビシン海岸14_(554文字)
銀鯖道の夜 四拾壱 南十字路とタキビシン海岸14 二人は、 その白い岩の上を、 一生けん命走りました。 そしてほんたうに、 風のやうに走れたのです。 息も切れず膝もあつくなりませんでした。 こんなにしてかけられるのなら、…
【サーフィン研究所:連載】銀鯖道の夜 40_南十字路とタキビシン海岸13_(444文字)
銀鯖道の夜 四拾 南十字路とタキビシン海岸13 タキビシン海岸のはてのもつと向うからか、 龍の形のぼんやりした狼煙のやうなものが、 きれいな桔梗いろのそらにうちあげられるのでした。 じつにそのすきとほつた綺麗な風は、 苹…